連載 #7199の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
Last Words >paragraph 1< 夏が過ぎ去ってからというもの、暑さが急になくなっ た。少しばかり肌寒く感じる夜も、時々あるくらいだ。 昼間は人の多いオフィス街も、夜になると少しばかり 静かになる。 常磐美菜は、人通りの少なくなったオフィス街を歩い ていた。街路樹は緑から赤へと色を変え、秋の気配を目 に映してくれる。 暖かい色のネオンに照らされた表参道を少し行くと、 JRの駅に着く。美菜は、ここから30分ほど所に住む、 ごく普通のOLである。 通勤ラッシュの電車に乗り込んだ美菜は、いつもと変 わらない、流れて行く外の景色を眺めていた。 車内には、仕事帰りの人が多く、会話のほとんどが、 仕事についてのものだった。美菜は鞄の中から、MDプ レーヤーを取りだして、雑音を消した。 ネオンで明るかった風景が、だんだんと減り始め、美 菜が降りる駅が近づいてくる。 ドアが開き、人の少なかったホームに、靴音が響きわ たる。ベルが鳴り、電車はホームを去っていった。美菜 は、コートの前を閉めながら、階段を下りて行く。改札 を出ると、降りたはずの人たちの姿はもうなく、街灯だ けが、煌々と道を照らしている。 駅から数分の所にあるマンションに、両親は住んでい る。社会人となって、一人暮らしがしたいという、美菜 の希望で、そこから数分の所に部屋を借りて、一人暮ら しをしているのだ。 美菜はふと、歩きながら、空を見上げた。夜空には、 雲が一つもなく、かけ始めた月が、スポットライトのよ うに、美菜のことを照らしている。その周りを小さな星 達が、申し訳程度に光を放ち、黒いキャンパスを盛り上 げようと、努力している。 体が少し冷えてきたところで、美菜はマンションにへ と着いた。郵便受けを開け、今日一日ため込んだ、手紙 や新聞などを取りだして、エレベーターホールへと、歩 き出した。入っていたのは、今日の新聞と、一通の白い 封筒だった。封筒の表には、差出人の文字はなかった。 美菜は裏返してみてみるが、そこにも、文字はなかっ た。 「誰からだろう・・・」 エレベーターに乗り込んだ美菜は、そういいながら、 3のボタンを押した。数秒で、エレベーターは3階につ き、美菜は目の前のドアに、鍵を差し込んで、扉を開け た。 電気をつけながらリビングに着くと、テーブルの上に 新聞を置いた。そして、差出人の名前のない白い封筒を 開け始めた。 中から出てきたのは、ハガキが1枚と、封筒と同じ色 の便せんが1枚。美菜は、便箋と封筒を置いて、入って いたハガキを読み始めた。 お久しぶりです。今度、中学の時の同窓会をやること になりました。場所はXX村です。(中学校があった 場所、覚えてる?) 忙しいかもしれませんが、是非、参加してください 花山 菊子 「XXかぁ・・・。懐かしぃ・・・」 美菜は中学を卒業するまで、XX村に住んでいた。父 親の仕事の関係で、村を出ることになったが、今まで一 度も忘れることはなかった。楽しい思い出がいっぱい詰 まっている場所だからだ。 「摩耶もくるのかなぁ・・・」 そう呟きながら、着ていたコートを脱いだ。 摩耶。村で一番仲の良かった子で、鳳と言う地主の子 どもだ。美菜と摩耶は、小学校も中学校も、行き帰りは 一緒で、遊ぶときもたいていは、いつも一緒だった。血 のつながらない双子のように。 花山菊子。学級委員だった彼女は、とても明るい性格 の子で、とにかく中心的な子だ。ハガキが菊子の名前で きたということは、幹事をやってるらしい。 「菊子らしいなぁ・・・」 美菜は、ここの住所を菊子にしか、知らせていない。 面倒であったせいもあるが、村を出てから連絡を取って いたのが、菊子しかいなかったという事実でもある。 今年で24となる美菜は、村のみんなのことを思いだ していた。 みんな、元気なのかなぁ・・・。 当時のままって事は、ないから、だいぶ変わってるん だろうなぁ・・・。 美菜は、もう一つ入っていた便せんを思い出した。 誰からだろう・・・。 三つ折りにされた便せんを、そう思いながら、開いて いった。 手紙は、摩耶からのものだった。 美菜、元気でやってますか? あれから、だいぶ経つけど、あの時のように今も、元 気でやっていると、思ってます。 同窓会のこと、聞いた? 美菜に久しぶりに会いたいから、忙しくなかったら、 きてほしいなぁ。 まぁ、とりあえず、当日、待ってるねっ 鳳 摩耶 読み終わると同時に、電話が鳴った。 美菜は立ち上がって、受話器の方へと歩き出した。 「はい。常磐ですが・・・」 「美菜っ!」 「えっ。菊子?」 「そうだよ。ハガキ届いた?」 「うん。届いたよっ」 「来るでしょ?」 「まだ、はっきりとは言えないけど、なるべくいけるよ うにはしてみる」 「仕事でもあるの?」 「今、休みが不規則だからさっ」 「そうなんだぁ・・・」 たわいもない会話が、少しの間、続いた。 「ねぇ、今日摩耶から手紙届いたんだけど、元気にして るの?摩耶って」 電話の向こうの菊子が、一瞬黙った。 不意に訪れた沈黙が、美菜にはわからなかった。 「どうしたの、菊子?」 菊子の声が、聞こえてこない。 「ねぇ?」 「美菜。それ、本当に摩耶からの手紙なの?」 「なに?それってどういうこと?」 「だから、摩耶からきたものなのって聞いてるの」 菊子の声が、幾分か震えているように感じられた。 「だから、さっきも言ったじゃん。摩耶からきたって」 また、静かな時間が訪れた。 菊子の震えていた声が、少し、美菜には気になってい た。何か、あったのではないかと。 「ねぇ、美菜」 「なに?」 「驚かないで、聞いてね」 「うっ、うん」 美菜がそう答えると、菊子は少し暗い声で、話し始め た。 end of paragraph 1,go to paragraph 2
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