連載 #6558の修正
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運動場での体育の授業中に、譲治が郁太郎に言った。 「MKのアベックホームランは出たし、MTのアベックホームランも出た。そして この前KTのアベックホームランも出た。まだ見てないのはMKTのトリオホーム ランだけだべ」譲治が言った。 「無理だべ」郁太郎が言った。 「なして?」 「松井が悪いべ」 「松井は月間MVPとったべ」 「それだったら川尻や田中幸雄やダイエーの武田もとったべ。問題は松井が髪の毛 切ったことだべ」 「なして? おめえこの前『松井の髪型うっとーしぃー!』つってたべ?」 「そうよ。ヘルメットをかぶる度に掻き上げなきゃならねえ、あの髪の毛とうとう 切っちまったべ」 「どうでもいいけどさ」譲治が、芝居がかった話し方に疲れたのか、普通の調子で 話し出した。「何でその髪の毛を切ったことがトリオホームランが無理ってことに なるんだよ?」 「松井は星陵時代から敬遠されまくってたべ。日米野球でも敬遠される始末だべ」 「だから?」 「只でさえ強打者なのに、あのデカくて怖え顔で睨まれたら大抵のピッチャーは恐 ろしくなって敬遠するのが当然だべ」 「敬遠されるから打てないっていうのかよ?」 「そうだべ」郁太郎は、意図的な方言を交えて説明し続けた。「敬遠されねえ唯一 の方法があの松井の髪型だったんだべ。清原もデカい顔してるけど、まだ剛毛で短 えからマシだべ。でも松井のあの怖くてデカい顔にあのサラサラヘアーはねえべ? あれはちょっと反則だべ。相手投手にしてみれば『何でこんな坊ちゃん頭の奴を敬 遠しなけりゃならないんだ!』って思われて、それで勝負してもらえて打つことが 出来てたってーのにそれを切っちまったら、もうおしめえだべ」 (98/06/10)
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