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【おんなのこ2】 著 凡天丸 第1章 春の訪れ!? 「何だい? こんな所に呼び出してさ」 訳も聞かされずに、第2音楽室に連れてこられた梁子(りょうこ)は、 首をかしげている。 「う…うん。ちょっと…」 あたしは、制服のプリーツスカートのポッケの中に手を入れたまま、 手にしている物を出そうか出すまいか迷っていた。 今は放課後で、ここ第2音楽室にいるのは、あたしと、目の前の梁子だけだ。 「どうしたのさ、用がないなら行くよ」 「ま、待ってっ」 煮えきらないあたしにシビレを切らせて立ち去ろうとする梁子の手を、 あたしはとっさに掴んだ。 「あ…あのさ、コレ…」 思い切ってあたしは、ポッケの中からそれを取り出し、梁子の手に握らせた。 「なんだ、手紙か。クシャクシャじゃないか、読んでいいのかい?」 あたしが頷くのを確かめてから梁子は手紙に眼を通した。 それは、あたしが生まれて初めて貰ったラブレターだった。人にそんな物を 読まれるのはとても恥ずかしかったけど、どうしたらいいのか分からなかったから 親友の梁子に打ち明けたのだ。 それでも自分宛のラブレターを目の前で読まれるのはとても恥ずかしい。 梁子がどんな気持ちで読んでいるのかと想像しただけで胸がドキドキして体中から 汗が噴き出してくる。 少しくらいは冷やかされても我慢する覚悟は梁子をここに連れて来た時から 出来ていたハズだったけど、いざとなると、立ち直れなくなりそうで恐かった。 「はいよ。アンタ、何顔赤くして汗かいてんのさ」 読み終わった梁子は思いもよらず冷静で手紙をあたしに返してきた。 冷やかさなかったのはいいけど…少しムカつく。 「じゃ、あたし行くよ」 「ちょっとぉっ!!」 慌てて梁子を引き留めるあたし。 「もうっ、何なのさっ。そんなにアタシが、暇人に見えるかい!? ノロケるんなら他の奴あたりなっ!!」 あっれれぇぇぇぇ!? やっぱヤいてんのかなあ? (にこにこ) あたしは梁子に引きずられながら、小さな優越感に浸った。 「別にノロケてる訳じゃないよぉ。ちょっと相談にのって欲しかっただけだよぉぉぉ 」 「笑いながら言うんじゃないっ」 わかってる。でも顔が自然に… 「で、相談って?」 モロに面倒そうな口調で聞いてきた梁子にも、不思議と腹がたたない。 「んっとね。ホラ、今日の3時に中庭で返事を聞かせてくれって書いてあった でしょ? どうしようかなぁーって」 「アンタにその気がないんなら、ほっときゃいいさ」 「でもサでもサ、スッポかしたりして気を悪くしないかなぁ?」 「いいじゃん。どうせ断るつもりなら、いっそ嫌われた方がすっきりするさ。話は それだけ? じゃ、あたしバイトあっから行くよ」 梁子はそっけない態度を見せて出て言ってしまった。 …たくっ、こんな時って、女友達ってあてにならないのよねぇ。 第一、スッポかしたりしたら、この手紙をくれた人が可哀想じゃない。もし出し たのが自分だったら、ちゃんとその人の口から返事を貰いたいもんなぁ。 と言う訳で、あたしは中庭に行く事にした。 /// 中庭は旧校舎と新校舎とでくの字に囲われた中にあって、ちょっとした庭園風な 造りになっている。その奥が出入り自由な雑木林という事もあって、併せてひとつの 森林公園のようになっている。昼休みなどは、散歩したり、芝生で寝ころんだり、 森林浴を楽しんだりと、授業で疲れた心身を癒す格好のリラクゼーション施設として 生徒達に人気がある。 だけど、ここは放課後ともなるとその雰囲気を一変し、芝生や池の畔にある石の ベンチには、人目もはばからずにチチクリ合う”うかれカップル”達で埋め尽くされて しまうのだ。 この高校に入って2年になるけど、放課後の中庭に来たのは初めての経験だった。 噂には聞いていたけど、想像以上の熱気に包まれていた。確実にこのエリアだけ 5、6度は気温が高いだろう。 「どこかなぁ…」 庭園の遊歩道を手紙の主を捜して歩き回っていると、眼に入るのは、この暑いのに ベンチで女生徒が男子の膝に跨って座っていたり、芝生で膝に大きなバスタオルを かけて身体を寄せ合っていたり、恋人を待っているらしき女生徒の姿だけだった。 「おかしいなぁ、まだ来てないのかしら」 あたしは大きなケヤキの木の下に空いている石のベンチを見つけ、そこに座って 待つ事にした 周りのベンチでは、人目…あたしの眼も気にせずに、男女がイチャついている。 ここでは、一人でポツンと座っているあたしの方が変に見えてしまう。 日陰というポジションが、いっそうあたしを惨めな気持ちにさせた。 1分もたたないうちに、いたたまれなくなって帰ろうとした時、一人の少女が あたしのベンチに腰を降ろしてきた。 うわぁ…可愛い子。 その子は小柄でお人形さんの様に可愛かった。赤ちゃんのようにきめ細やかな ミルク色の肌に、黒目がちの瞳がクリクリと愛らしく、背中まで伸びた繊細な 薄栗毛色の髪は、柔らかいウエーブがかかっていて、額に下ろしたカールした前髪が 長い睫毛にかかって、サラサラそよいでいる。濃紺のプリーツのミニスカートから バナナのようにニョッキリはえた健康的な足は、魅力的にピチピチ動いた。 こんな可愛らしい子と付き合ってる人って、どんな人かなぁ… あたしは、ふと、そんな興味がわき出して、帰るのを践みとどめた。 /// こうして、まもなく姿を現すであろう、その方向をみていたあたしは、ふいに ベンチの上に置いた手の甲に柔らかくて暖かい物が触れたのを感じ、何気なく ベンチに視線を下ろした。 すると、あたしの手の上に、見知らないちっちゃな手が重なっていた。その手から つながるしなやかな腕に沿って視線を上げていくと隣に座っている少女の柔らかな 微笑みにぶつかった。 「?」 ポカンとしているあたしに、少女はかまう事なくギュッと、手を握りしめてきた。 思い出した。この子は確か、芝生の柵の所で誰かを待っていた子だ。 「ホントに来てくれたんですね。舞子先輩」 嬉しそうに言う女の子の表情からは、人違いしている様子は見られなかった。でも あたしには、トント思い当たるふしがない。 「あ、あの…何か勘違いしてません? あたし『徳川 舞子』ですけど……」 「はいっ、舞子先輩。間違いなんかじゃありません!」 女の子の両手が、あたしの手をギュッと強く包み込んだ。 ま…まさか!? 「あ…あなた、まさか…つ…」 「はいっ、先輩にお手紙お出しした『月島 湧(つきしま ゆう)』です!」 あたしは落ちた……自尊心が思考力と手をつないでお空にプカプカ昇って行く…… 放心状態に陥ったカラッポノ頭の中を、月島さんの笑顔とその名前がうねりとなって 渦巻いている‥‥‥‥‥‥その渦の中にかすかな声が混じってきた。 《……舞…輩…先輩…まいんぱい…舞子せんぱーいっ!!」 ハッと我に返ると、目の中いっぱいに、心配そうに覗き込む月島さんの顔が、 どアップで飛び込んできた。 「…先輩…大丈夫ですか?」 月島さんの湿った吐息が、あたしの顔に吹きかかる。 飴でも舐めていたのか、甘いストロベリーの香りがした。 「わっ! だっ、大丈夫よっ」 「そうですかぁ、顔色悪いですよぅ…」 「へ、平気だから………きゃっ!!」 いくら身を仰け反らせても、月島さんの顔が、どんどん迫ってくるもんだから、 とうとうあたしは、頭から後ろに倒れちゃったようぅぅ。イタイよぅぅぅぅっ!!! 「せ、先輩!?」 「あはは…だ、大丈夫だから…ね…」 後頭部を押さえながら這い上がるあたし。 心配そうに見おろす月島さんのあどけない顔に、ひょっとしてからかわれて いるんじゃないかとも思う。 「と、ところで月島さん。どうしてあたしに、あんな手紙をくれたの?」 「はいっ、舞子先輩が好きだからです! ぴー・えす、湧のことは愛情こめて 『湧ちゃん(らぶらぶ)』って呼んでください」 いきなりの告白に、思わず頬を赤らめてしまった。うぅ‥‥贅沢言わせて もらえるなら、初めては男の人に言われたかった。(しくしくグスン‥‥) 「ちょ、ちょっと待ってよ月‥‥ゆう‥ちゃん……あ、あのね、あたし達は女同士 なのよ。わかる…よね?」 「はいっ、せんぱいのおっしゃる通りです!」 どうも、分かっていないみたい…。 どう言ったらいいか分からないで戸惑っているあたしの顔を、湧ちゃんの瞳が ジーッと見つめている。その瞳は鏡の様で、あたしが困った顔になると、優ちゃんの 顔も困り顔になる。 「先輩……湧の事…嫌いですか?」 「そ、そんなことないわっ」 湧ちゃんが、今にも泣き出しそうな顔になったので、思わずそう答えてしまったけど 、「しまった!」と思ったときは、もう遅かった。 つい今しがたまで泣き出しそうだった湧ちゃんの顔は、コロッと笑顔に変わり、 フワッとあたしの胸に抱きついてきたのだ。 「ゆ、湧ちゃん。ちょ、ちょっと」 幸せそうに、あたしの胸にホッペをスリスリしている純真無垢な少女を見ると、 邪けにもできず、だからといって抱きしめる事もできないまま、 あたしは挙げた両手の行き場を失った。 やがて、ようやく湧ちゃんの肩に手を降ろしたあたしは、そっと引き離そうと したんだけど、湧ちゃんはガンとして離れようとはせず、帰って強くしがみついてきた 。 「ねぇ、どうして見ず知らずのあたしなんかにお手紙くれたの?」 ついにあたしは引き離すのをあきらめ、彼女の本心を探ることにした。 湧ちゃんがあたしの事を愛…慕ってくれていることは間違いないと思うけど、なぜ 自分なのかがどうしても分からなかったからだ。 「ゆうのこと…忘れちゃったんですか。ゆう、一週間前はじめて舞子せんぱいに 会った時から、ずうぅぅっと、せんぱいの事ばかり考えていたんですよお」 「えっ!? 一週間前…?」 たしか今日は二三日の金曜日だから…一週間前の金曜日ということは……一六日? いくら重い返しても、湧ちゃんの名前、顔とも、全く心あたりがなかった。 「ゴ、ゴメン… どこで会ったんだっけ?」 「うぅ…ひどいです。ゆうが、こんなに胸を痛めていたというのにぃ…っ」 「痛いっ…!」 湧ちゃんの指が、ギュッとあたしの胸をつねった。爪が痛い! 「ホントに覚えていないんですかぁ? 放課後にゴミ置き場で会ったこと…」 ゴミ置き場? そういえば、確かに一週間前、美術室の掃除当番でゴミを捨てに行った時、 ゴミ置き場で、二人の一年生の女の子にすれ違ったような気がするけど、湧ちゃんは その内の一人だったのかしら… 「思いだしてくれましたかぁ?」 湧ちゃんが眉をひそめながら、あたしの胸をクイクイ、と引っ張って聞いてきた。 「うん。湧ちゃん達も、ゴミ捨てにきてたのよね」 やはり、あの時の一人だったらしく、湧ちゃんは、顔いっぱいに笑みをつくって 嬉しそうに、両手であたしの胸をウニウニとこねまわしだした。 あたしの胸はオモチャじゃないんだけど…… けど触られていて不快感はなかった。 「ゆうっ、あの時の舞子せんぱいに、胸ピョンしちゃったんですっ!」 どうも、よく判らない子だ…。そんなにゴミ箱を持ったあたしの姿がカッコ 良かったのかしら? 湧ちゃんは興奮をおさえるように、またあたしの胸にムニゥと顔をうずめて、 ぽつりぽつりと、胸の想いを打ち明け始めた。 「あの時ゆう達、こぼれ落ちたゴミをどっちが拾うかで、ケンカしてたんです… そしたら後ろから、ゴミ箱を両手で抱えながら舞子せんぱいが来たんですよね… ゆう達、ビックリしちゃいました。せんぱいったら、汚いゴミ箱を大事そうに 抱っこしていたんですモン…。そしてゆう達の所まできて、 『いらないなら、貰っちゃうねっ』ってゴミを拾って自分のゴミ箱に 入れてっちゃったんですよね。あの時のせんぱい…ステキでした。 それからなんです。せんぱいのこと考えると胸が熱くなって”おやつ”もノドを 通らなくなったの…」 あたしの胸に顔を埋めたままの湧ちゃんの告白は、直にあたしの胸に響いてきて、 シンシンと胸の中にあたたかな泉を湧きださせたように感じ、いつの間にか、 あたしの両手は湧ちゃんの身体を抱きしめていた。 −−第1章 おしまい! 第2章 ひとりじめ! 第3章 ふたりでお弁当! に、つづく…−−
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