連載 #6486の修正
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インタビューの仕事を終えて、晴樹達スタッフは川瀬が所属する映像製作会社に 戻っていた。 「今日はあの柏原って子の為にえらい目にあったわね」川瀬が言った。 「すいません」晴樹は機材を片づけながら言った。 「もうすぐコーヒー持ってくるから飲んでいきなよ」 川瀬は幾つかの原稿を片づけながら言った。彼女はバラエティ情報番組の他に、 ドキュメンタリー番組なども担当している。大きいものとなると海外での取材も行 うことがある。晴樹もいつかそういう仕事に参加してみたいと考えていた。 川瀬のドキュメンタリー番組のアシスタントディレクター(AD)を勤める川井 直人が血相を変えた表情で入ってきた。ディレクターの名前が川瀬なので、この仕 事を行う際には、他のスタッフから「川・川コンビ」と呼ばれていた。 「ホットニュースですよ」川井は言った。 ディレクターの川瀬は吹き出した。 「今時、『ホットニュース』なんて死語を使う奴なんているのねえ」 晴樹も川井に気を使いながら愛想笑いをした。 「イスラエルとシリアが戦争を始めましたよ」川井が言った。 その場にいた全員の表情から笑顔が消えた。 「ホントに?」 「信じられない」晴樹は険しい表情で言った。「ネタニヤフさんがオルブライトさ んの撤退案に合意しなかったから、ずっと心配していたんですけど、まさかこんな ことになるなんて」 「とにかく今二国間は混戦状態です」 「こうしちゃいられないわ」ディレクターは立ち上がった。 晴樹と川井はその様子を見つめていた。 「何処へ行くんですか?」 「取材ですか?」 川瀬は二人の方を見て言った。 「今すぐトイレットペーパー買いに行かなきゃ」 あまりにも突拍子もない答えに、晴樹は唖然とした。 「川瀬さん、今時、産油国が戦争を始めたからといってトイレットペーパー買いに 走る人なんていませんよ。昭和四十年代のオイルショックじゃあるまいし」 晴樹は呆れながら言った。 「あたしの母ちゃんがさあ、第四次中東戦争の時にトイレットペーパー二十個も買 いに走ったのを見て、そのトラウマが今も抜けないのよ」 「全く何言ってるんですか」川井が言った「大体、今回の戦いと第四次中東戦争と どういう関係があるんです?」 川瀬はADの言葉の意味がわからず、戸惑った。 「何言ってるのよ。第四次中東戦争の次にシリアとイスラエルが戦えば、それは事 実上第五次中東戦争でしょ」 「誰が第五次中東戦争だなんて言いました?」 「だって今イスラエルとシリアが戦争を始めたと・・・」 「話を聞いて下さい。今、日本の自衛隊がイスラエル・シリア国境付近でPKO活 動をしているのはご存じですね」 「うん、UNDOFつまり国連軍を支援して地雷の撤去を行ってるんでしょ。写真 週刊誌に載ってた」 「その通りです」 「彼らはどうなったんですか? それが今回の戦争と何か関係あるんですか?」晴 樹が身を乗り出した。 「両国の国境近くにそれぞれの国の自衛隊PKOの宿泊するキャンプがあるんです が、どちらかというとイスラエル側のキャンプ施設の方がシリア側のより整ってい て快適なんです」 「それで?」 「ところが今しがた入った情報によるとシリア側のキャンプの施設が改善されてイ スラエル側のものより良くなったというんです」 「だから何なの?」 「つまりどういうことかというと、どちらの国のキャンプ施設の方が、日本の自衛 隊を快適に優遇しているかという点で、お互いの国が競争を始めたということにな るんですよ。これはある意味でイスラエルとシリアのメンツをかけた戦争というこ とになりませんか」 川瀬は頭に血が上るのを感じた。 「ややこしい言い方をするなー!!」 (98/05/12) ・参考資料 「FLASH」98年5月上旬発行
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