連載 #6480の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
会場内には、並べられたパイプチェアーに何十人もの観客が座ってフィル・ティ ペット氏の来場を待ちかねていた。やがて組み立てられた舞台にティペット氏が現 れ、盛大な拍手が巻き起こった。イベント中には晴樹のする仕事はなかったので、 彼はカメラマンの横でぼんやりとことの成り行きを見守っていた。 インタビュアーが、映画「スターシップ・トゥルーパーズ」の見どころやSFX の秘密等を伺い、ティペット氏は通訳を通してそれに答えていた。 やがて会場内からの質問コーナーとなり、インタビュアーが観客に呼びかけた。 「ここでフィルさんに何か質問のある方はいらっしゃいませんか?」 何人かの手が上がった。その中には当然郁太郎の姿があった。インタビュアーは 川瀬ディレクターからの打ち合わせで、彼の顔は知っていたがすぐに指名すること はしなかった。会場内の雰囲気や流れに合わせてタイミングを決める。 フィル・ティペット氏は最初の内、観客からの質問に時折ジョークを交えながら 的確に答えていた。しかしあまりに平凡な内容の質問には、相槌だけをうつような 受け答えになっていた。 インタビュアーは、何かここで目新しい内容の質問が欲しいと考えた。 「他に何か質問はありませんか?」 郁太郎はまだ指名されていなかった。インタビュアーはここぞとばかりに彼を指 名した。 <あまり変な質問して台無しにするなよ> 晴樹は心配しながらその様子を見守っていた。 「アメリカのSFX業界の内情についての質問なんですが宜しいでしょうか?」郁 太郎は立ち上がって言った。 「何でも構いません。どうぞ」通訳を通してティペット氏が言った。 「貴方はSFX工房の『ティペットスタジオ』を経営なさってますが、貴方の友達 にはアメリカで最高のSFX工房『ILM インダストリアル・ライト・アンド・ マジック』のリーダーであるデニス・ミューレンさんがいらっしゃいますよね」 あまりの挑発的な質問の仕方に会場内は静まり返った。通訳は郁太郎の質問の内 容をそのままの意味で、少しどもりながら直訳した。しかしティペット氏は平然と 笑いながら言った。 「彼とは親友です」 「そのミューレンさんと貴方との比較に関しての質問なんですが宜しいですか?」 そのやりとりを聞きながら、川瀬ディレクターは、郁太郎の指名は大成功だった と考えていた。もしここでティペット氏がライバルであるミューレン氏とその考え について語れば、その内容が好意的なものであろうと批判的なものであろうと、番 組の内容的には大きな収穫となる。 ティペット氏は言った。 「どんなことでも聞いてくれ。僕と彼の考えているSFX観の違いかな? それと も僕が、彼がリーダーを勤める『ILM』を辞めたということで彼との間に何か確 執があったと疑っているのかな? それとも僕のスタジオとILMとではどちらの 方がCG設備やSFX技術に優れているのか、僕の観点から答えて欲しいのかな? それとも何かな?」 郁太郎は言った。 「ティペットさん。貴方とミューレンさんとでは、どちらの方が頭の髪の毛が薄い のでしょう?」 (98/05/12) ※この物語は架空のものであり、実在する団体、事件、作品、個人等 とは何の関係もありません。 ・参考資料「ジョージ・ルーカスのSFX工房」 トーマス・G・スミス著 朝日新聞社刊
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