連載 #5093の修正
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私達は調理場から一番離れたトイレのすぐ傍にある座敷に腰をおろした。 緊張のためか、始終無言だった彼女は何を話たらいいのか分からずモジモジしている。 「それじゃ相談にのろうか、君は今受験を控えているらしいけど」 そう言って水を向けると、たどたどしく、しかし待っていたかの様に喋りはじめた。 話の内容は、学校の教師になるため大学に進学したいが、家庭の経済的事情によって国 公立大以外は無理で、しかも県外も同じ理由で難しいとのこと。 しかし、成績は二年の秋まではそこそこ良かったものの、三年になってからは不得意の 数学や理科がさらに奮わず、今年の夏に通った予備校の夏期ゼミでの成績では、志望校 合格率七十%と言われたらしい。 将来に対して絶望めいた感さえうかがえる。 「そうかぁ、それは大変だねぇ」 「そんな話を聞くと、私も以前の学生時代の苦しみを思いだしてしまうよ、それこそ、 ここにある来年度の共通一次と埼玉大学の入学試験問題の草案をここで見せてやりたい くらいだ」といって、脇に置いた茶封筒をたたいた。 一瞬、彼女の目が輝いた様な気がした。 それから後も、彼女はぽつりぽつりと苦しい事情を話した。 出された食事にも手を付けない位深刻に。 私は彼女の話を上の空で聞きつつ、彼女の肢体とその中身の想像を淫靡に耽っていた。 彼女が私に対して何らかの下心を抱いていることが見え見えだった。 いいカモである。私はまたもゾクゾクする様な快感を覚えた。 彼女の目は、何とかしてもらいたいと、訴えているように見えた。 「そうか、・・・じゃあ」と深く考えるふりをしながら、渋々と話し始めた。 「・・・・立場上、入試問題を教える訳にはいかんのだが、・・・まぁ、傾向と対策く らいなら、・・・何とか・・・、と言っても、これが出来れば合格率百%とは行かなく とも、今の君の力なら必ず合格出来ると思うよ」 「えっ?・・・・・」聞き取れないくらい小さな声で驚いた。 「・・・あっ、いや、なに、私は入試を作るプロだからね、どんな問題が出来れば合格 するか、どんな勉強をすればいいかはすぐにわかるんだよ」 それから、彼女は半信半疑の様子で、「そんなことして大丈夫なんですか」などと頻り に言っていた。 「そうだ、ちょうどここに入試原案の書き損じがある。・・・これが入試に出る訳じゃ ないが、かなり類似した問題が出ると思うよ」 そう言って、どこかの入試問題集から書き写した数学の問題一問を差し出した。 「みっ、見ていいんですか?」と言葉を飮むように私の顔色を伺う。
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