連載 #5073の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(前回までの粗筋) 米ソ間の緊迫した冷戦も大統領同士の和解により無事、終決した。 しかし、両国、そして世界各地には莫大な量の核が残った。一発で国自体を殺 す事が出来る威力のメガデス兵器、原子爆弾、数分で各国に投下できる性能を持 つ大陸間弾道ミサイル、衛星兵器、中性子爆弾。何万人もを一瞬で殺戮した広島 、長崎に投下されたものの何百倍の威力を誇る水素爆弾・・・・・・。START2( 第2次戦略兵器削減条約)により核軍縮の傾向にあるがまだ、各地にはオーバー キル(大量殺戮)の種子は眠っている。そして、米国、ロシアは無言の威嚇の意 図で全ての核弾頭を外してはいない。 19**年、核保有国は自国の核兵器の人為的な誤射を(テロリスト、クーデター も含む)恐れたため、コンピューターに核兵器の全制御を託した。Cー3(コマン ド、コントロールアンド、コミュニケーションズシステム)という分割システム と何百もの監視システム。しかし、ある日、米国のそのコンピューターの中枢に 配置された管理システムが外部から強烈なハッキングを受けた。勿論、何百億桁 のパスワードは米国政府により数秒毎に替えられ、鉄壁の防御を誇っている。 しかし、その優秀なハッカーによりそれは粉砕されウイルスを送り込まれた。 その瞬間、米国の全核兵器は暴走を始めた。それは世界各地に核攻撃を開始し たのである。被爆地の北朝鮮を含む数国は報復を開始する。 高校生の甲斐徹は学校からの帰宅後、自宅で米国に滞在中の父からその報告を 電話で受ける。父はその後、放射能汚染による発熱と死の恐怖で異国にて発狂し た。徹は家から飛び出すと自転車に乗り、何処かに向かう。 日本国民ももう世界が終わることをうっすらと気付きはじめていた。そんな中 、原子爆弾が新潟に投下された。 喧しいほど賑やかな流行サウンドをBGMに、セブンイレブン店内はいつもと 同じ風景を映しているようだった。 アルバイトの男子高校生はラの高音の、機械的な発声で声で客の対応をしてい る。いらっしゃいませ。有難うございました。笑顔で答える仕込まれたその言葉 には勿論、感謝や敬意の感情は入っていない。とても美しい言葉、しかし、殺さ れた言葉。あるのは形式と社会通念の倫理の残骸だけ。 いつもと同じ風景のようでいつもとは確実に違った。客の入りがいつもの五分 の一もないのである。店内には夕方にも関わらず店員を含めて3人しかいなかっ た。その中には徹も含まれていた。自転車で12キロ突っ走ってきたせいで喉が 渇き飲物を仕入れようと思ったのだ。運悪く店外には自動販売機は設置されてお らず、他を探すのも面倒だったので店の中に入った。勿論、疲れも溜まっていた ので休憩の意図もあった。もう一人は茶髪の眉毛の薄い女子高校生。今日発売の ファッション雑誌類を立ち立ち読みしていた。 店外の車の量だけは異常に多かった。アルバイトの店員は店内の人影のなさを 不思議に思いながらも、その退屈さをむしろ喜んでいた。 自動ドアがゆっくりと機械的に開くと警察官が2人毅然とした面持ちで入って きた。 「いらっしゃいませ」警官達をジロジロ見ながら店員はそういうと、後ろを振り 向きポテトの追加分をカートンに詰めだした。彼のパート時間はもう少しで終わ るのである。レジに立つ彼の無表情な顔にも笑みがうっすらと浮かぶ。 「全く、よくもまぁこのくそ大事に仕事なんてしてやがる。たいそうな事だね。 流石、勤勉な日本人。尊敬しちゃう」警官の一人、佐野峡次が前歯を突出してそ う言った。 「違う。あの小僧は事態を理解していないんだ。だからこんな所にいる」 「あっはは、なるほどねぇ」佐野峡次は店員が仕事をしているレジの方にニタニ タと笑いながら歩みよった。「きみきみ! そこの勤勉な学生よ」 「な、なんですか。お巡りさん両替ですか?」店員は自分に近付いてくる警官の 制服の威圧感に怯えた。暴走族の友人が警官に補導された事が頭を過った。 佐野峡次はレジに近付く。「苛酷な情報社会に生きる現代人。ホント大変だし かし、情報の波には埋もれるなってね。だけどさぁ、流行に遅れると死んじまう ぜ」 そういうとニヒヒと下劣な笑いをして、振り返りもう一人の巨大な体を持つ警 官、山根靖夫のほうに戻っていった。店員は警官の言動が理解できず、目を細め た。そして、又、ポテトを黙々と詰めだした。時折、店内の中央に配置された時 計を確認しつつ自分のパート時間の終了を待った。 カップラーメン、缶詰関係、ポテトチップス、ドリンク類、冷凍食品、おにぎ り、等など警官達は、店内に並べられた数々の品物をてあたり次第に、集めだし た。 横で見ていた徹は懐疑的な視線で警官達を見る。 「よし、こんくらいで、いったんパトカーに戻ろうか。大きな袋を持ってくりゃ あ良かったな。」手には持ちきれないくらいの品物を大きな両手で抱えながら山 根靖夫は、ポテトチップスの袋の間から苦しげにそう言った。佐野峡次は山根靖 夫に品物を渡すだけで何も持っていなかった。 「お前のバカでかい手なら袋なんてなくても大丈夫さ。えっと・・・・・・待ってろ。 大事なものを持ってねぇや」佐野峡次はそういうと本棚に陳列されてあった沢山 のアダルト雑誌を何冊か掴み、山根靖夫の顔と品物の間に雑誌を捩じ込んだ。突 然、目の前に現われた女性の裸体の写真に山根靖夫は照れ顔を背けた。その拍子 にカップ麺が二つ落ちた。 「よし、いこう。これでシェルターライフも快適かつ楽しいものになる」 「まったく貴様という奴は下品というか、快楽主義者というか・・・・・・」 「いいからいいから」そういうと二人はレジの前を平然と通り過ぎ、自動ドアに 乗った。勿論、代金は支払っていない。唖然として万引きしようとする警官達を 見ていた店員は慌てて呼び止める。 「ちょ、ちょっと待って下さいよ。お金はまだ払ってないじゃないですか」 「おやまぁ、街の平和を守る正義の警察官に楯突くとは、この小僧、安保の学生 運動でもきどってんてんのか。過激派だぜこいつ」 「両方とも関係ないだろ」 「まぁ、同じようなものさ。国家権力に逆らう犯罪者どうなるかわかってんのか ? 死刑だ」佐野峡次は首を斬るポーズを作りながら嬉しそうに言った。 「お、おい。この小僧を殺すのか?」 「あ、当たり前だろ。人を殺すチャンスなんて滅多にねぇ。お前、パトカーに戻 ってろ」拳銃を店員に向けて両手で構えた。 山根靖夫は自動ドアを開け、ツカツカと外に出ていった。佐野峡次が言い出し たら手に負えない男だということを知っていたのだ。 鬼気迫る表情で拳銃を構える両手はガクガクと小刻みに揺れていた。いつも冗 談ばかり言っている佐野峡次はブツブツと鬱病者のように独り言を言い出した。 「お、俺は人を殺せる。今、人を撃ち殺す。射殺だ」目だけは血走っていた。彼 は、銃を保持するものならば誰でも一度はもつあの甘く危険な願望。人を撃ちた いという欲望を常々持っていた。しかし、いざ人を撃つ前になってみると、彼自 身にも制御できない倫理という無意識の恐怖が肩を突いた。 「お、俺は、俺は人間をこの拳銃で今、撃てる。鹿や野兎のように人を殺せるん だ。打ち殺せるんだ! そ、そうだ。峡次。大丈夫。さぁ殺そう。何を怯えてい るんだ。お前らしくない・・・・・・」 店員は極度の恐怖により動くことも逃げることも出来ずに茫然と突っ立ってい た。拳銃を自分に向けられた事態を、他人ごとのように客観的に見つめる自分が 店員の中にいた。 「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」絶叫しながら佐野峡次は引 き金を汗ばんだ人差し指でひく。パンという発射音は玩具の拳銃のような音だと 彼は思った。その音は空虚な店内に響く。その音が消えると又、店内のスピーカ ーから流れるハードコアテクノ系のサウンドがうるさく耳を支配する。 瞬間、店員の細い顎の下、首の一部が血飛沫をあげながら後ろに吹き飛んだ。 真っ赤な肉が首の削られた部分から不自然に現われ、血がゴボゴボと溢れだした 。 店員は口から血をゴフッと、吹き出しながら前に倒れた。レジの後ろの清潔感 ただよわせる白い壁は、赤いインクに塗りたくられた。それを見た女子高生は、 悲鳴もあげずにへなへなと座り込んだ。ドリンク類の詰められたケースの前にい た徹はその店員の死ぬ瞬間、目が合った。 「・・・・・・へ、へへへ、や、やった。殺した。殺した。簡単だ。すぐ死んだ」佐野 峡次は汗をびっしょりかいていて、背中も汗でジットリと滲んでいた。「面白い 。すぐ死んだ。凄く面白い。悲鳴もあげなかった。太陽にほえろと全然違った。 やっぱりテレビと本物とは違う・・・・・・でも、気持ち良かった」 「な、なんなんだ・・・・・・。お巡りさんが人を撃ち殺して笑ってる」徹はさっきま で生きていた自分と同じくらいの子供の死を、まだ信じられなかった。 警官は拳銃を見つめうずくまった。「なんて楽しいんだ。人を殺すという事は 。人を制すとはこの事だ! いや、待てよ。・・・・・・人間はもともとこの殺戮の快 感を知っていたはずだ。憎い奴を殺す。嫌いな奴を殺したい。弱いくせに生意気 な奴を殺したい。それは当たり前の事だ。 だから、民衆は凶悪な殺人者を死刑にしたがるんだ。倫理の中に隠された狂気 だ。俺だ。俺こそ人。殺戮の快楽。それを認めたくないだけだ。人間のケダモノ の部分を忘れたいだけなんだ。自分が美しい知の生物と認めたいだけなのだ。そ うか。そうなのか! 俺は人間だ! 本物の人間だ! 嘘偽りのない人間という 動物なのだ」緊張から解放されたせいか歓喜の声を発した。 本棚の前にいた女子高生はやっと悲鳴をあげた。自分の中に膨らんだ恐怖を叫 ぶ事でしか対処できなかったのである。 佐野峡次は立ち上がり振り替えると彼女に拳銃を向けた。彼は一度も人に愛さ れた事は無かった。存在を否定された末にこのような屈折した性格を形成したの である。嫌われる人間は一生、嫌われ続ける。何故なら、愛される事に慣れてい ないから人とも仲良くいかず、嫌われる事が心地よくなってしまうのだ。 警察官姿の佐野峡次が口元に笑みを浮かべ嬉しそうに、立ち竦む女子高生に拳 銃を構えるという構図に徹は異常さを感じた。 「これは狩りだ。さぁ逃げろ! 逃げないと殺す」女子高生は這いつくばりなが ら逃避を試みた。涙と鼻水を流し手と足を一生懸命に動かそうとした。しかし、 無常にも神経は正確に足に通じず床を滑る。 佐野峡次はパン! パン! と二発連続して女子高生を微笑を讃えながら撃っ た。一発は横の棚に並んだ洗髪料品のチューブを破り、もう一発は、彼女の茶色 い頭を割った。脳味噌の欠片がガラスにはねた。至近距離から撃ったせいで佐野 峡次の頬に返り血が飛び、それを手で拭うとペロリと舐めた。 磨かれたグレーの清潔な床に、ワインレッドの紅い血が水溜まりのように出来 る。「やっぱり血の味がしやがるぜ! くぅ〜〜〜! 俺、一回、これやってみ たかったんだよ。非情な殺し屋って感じでよぉ」佐野峡次は血だけらけの顔で楽 しそうに笑いだした。 狂ってる。このお巡りさんは狂ってるんだ。ぼくのお父さんみたいに頭が変に なってるんだ。徹は身の危険を感じてしゃがみ込んだ。・・・・・・恐い! ・・・・・・恐 いよ・・・・・・どうしてぼくばっかりこんな目に合うんだ。早くここから出たいよ。 出たいよぉ。あのお巡りさんにぼくも絶対に殺される。嫌だよ。恐いのは嫌だ! 撃たれるのは嫌だよ! 嫌だ。嫌だ! ・・・・・・でも、どうすればいいの? ど うすればここから出られる? 恐い、恐いよ。嫌だよ。もう嫌だよぉ。頭を抱え て涙をポロポロ流し始めた。 パニックで頭が回らない中、徹は考えた挙げ句、ひとつの作戦を立てた。ジ ュースの瓶を向かいの壁に投げて、佐野峡次が目線をそちらに移したすきに自動 ドアから抜け出すという幼稚な内容だった。しかし、それ以外パニック寸前の頭 では浮かばなかった。 佐野峡次は本棚の前にいて、うずくまり死体を眺めている。徹は恐怖をこらえ つつジュースの瓶を一つ持ち、出口に一番近く、佐野峡次からは見えない位置に 素早く動く。そして、瓶を店の一番奥に放り投げた。 パリーンというガラス瓶の破壊音が店内に響いた。今だ! そう叫ぶと徹は素 早く自動ドアに乗った。ゆっくりと扉は開き始める。その遅さが徹は忌々しかっ た。早く開け。早く・・・・・・。 その瞬間、佐野峡次が徹のこめかみに銃をあてていた。「甘いぜ! ぼうず。 お前だけ逃げれるわけはねぇんだよ。俺は差別はしない。平等に死ぬんだ。さぁ 下がれ」 徹は手を挙げてゆっくりと後退した。自動ドアが徹を嘲るようにウィ ーンという機械音をたてて閉まった。 「こいつはどう殺すか。腹に撃ち込むとどうなんだろ・・・・・・痛がるかな? 耳を 吹き飛ばしたら音は聞こえるかな。内臓っていうの見てみたいな・・・・・・」
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