連載 #4212の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
以下は、文芸部での我が後輩が、ファンタジー系の賞を目指してやっている ことの記録で、四月に「うちの文芸部でやってること 1−1〜2−3」とし てUPしたものの続きです。前回同様、彼ら自身の手による記録文です。なお、 「うち文」とは、「うちの文芸部でやってること」を略した呼称。(^^) 今回は記録(進み具合)の報告の他に、彼らの習作をいくつか紹介します。 まだまだ他人に見せられる物じゃないと本人達が言っておりますが、無理矢理 口説いて、原稿をせしめました。(^^;) 前回分に対するご意見、ありがとうございました。今回も、一連の文章・習 作を読んで、ご意見・ご批判・ご指摘等々がありましたら、ぜひ、お願いしま す。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「目指せ百万円! ファンタジーロマン大賞への道」 補論 ●昇華石の逆襲 光り輝く輝光石がダイヤモンドなら、昇華石は石炭のようなものだ、と言え よう。地味ではあるが、使い用によっては無限の(輝光石以上の)可能性を秘 めているのだ。 今まで、反応してガスを発生させる条件を、第一回では「空気に触れると」、 第二回では「水に触れると」としてきた。しかしこれでは、永山先輩の指摘通 り、かなり危険な存在となってしまい、手軽に扱えない。 そこで、「塩水に触れると反応する」と修正したいと思う。従って、採掘さ れる場所は主として山奥という事になる。 関連して、先輩は地雷というアイデアを出してくれたので、島津は「風船爆 弾」を考えてみた。第二次大戦の日本軍の如く、和紙にコンニャクの汁(!) を塗って作った気球に、爆弾を付けて飛ばすのだ。爆弾の時限発火をどのよう に設定するかを除けば、牧歌的な雰囲気があっていいと思う。何しろ大戦中の 風船爆弾は、相手に与えた損害よりも、事故による味方の損害のほうが多かっ たぐらいなのだから。 ついでに、同じく第二次大戦でイギリスがドイツ軍の爆撃機を都市上空に進 入させないために揚げた気球のアイデアも提示しておきたい。気球と地面は綱 でつながれている。この綱が翼に当ると機体バランスを崩して墜落してしまう のだ。 対するドイツ軍はどうしたか? 実は、綱を切るための特大カッターを付け た飛行機を先導に立てて都市上空に進入したのだ。原始的ではあるが確実な方 法だ。何となくファンタジーの雰囲気が感じられるシーンが思い起こされる。 また、昇華石を燃料とする噴射式滑空機のアイデアは、第二回で詳述してい る。これと飛光機の関係を、第二次大戦におけるプロペラ機とジェット機ぐら いに差があると設定すれば、噴射式滑空機は名脇役になれるだろう。また、輝 光石の燃費は昇華石に比べて非常に良いので、後続距離が長くなり、海を隔て た敵国に対して攻撃を仕掛けられる、という手もあるだろう。 ●「私を戦場に連れてって」 女性パイロットとは? という点に関して小論文が書けそうな程色々と書い てきたが、一つ肝心なポイントを忘れていた。「パイロットは目が良くなけれ ばならない」というものだ。つまり風色の少女はずば抜けた視力を持っていて ……(003じゃねーっての)。 また、兵士不足というのは、女性に武器を持たせるいい口実ではある。「飛 行機隊の生還率は大変低く、『空飛ぶ棺桶』と称して兵士達の多くは飛行機に 乗りたがらない」とでもすれば、風色の少女も比較的簡単に操縦席に座れるだ ろう。 まあそれは置いといて。どういう形に持っていこうとしても宮崎アニメが眼 前に立ちはだかるという現状は、歓迎出来るものではない。「無謀だ」とか言 っている人もいるし。しかし、こう言われて逆に気合いが入ったのも事実。 まあそれはそれとして(またか)。主人公の主人公たる所以は、まだまだ詰 めなければならない要素である。考えつくままに挙げてみよう。 ・お姫様である事の意味 基本案その二の「風色の少女」は訳あって平民の娘として育てられているが、 実は王国のお姫様だ、という設定になっている。彷徨君は何故、この主人公を お姫様にしているのか? 最も合理的な理由としては、彼女が戦う動機付けを するのが簡単だ、という事だろう(愛国心の問題。もっとも、自分を城外に放 り出した国に愛国心を持つかどうかは人それぞれだろうが)。「お姫様」とい う肩書きだけで、何となく魅力的な存在にできる、という効果も狙っているの かも知れない(ただ単に彷徨君が「お姫様」に憧れを抱いているだけだったり して。「魔法のプリンセス」とかに。あっ、彷徨君、怒らんといて)。 しかし、「高貴なる者の義務」とは言え、お姫様直々にご出馬願うというの は苦しいかも。色々と無理をしなければならない設定である。最初は割とあり がちだという気もしていたのだが、それらの話はどうやって辻褄を合わせてい たのだろう? 素人の悲しさ、その点についての知識が皆無だ。 ・記憶喪失になる意味 「永山文書」に、「失われた記憶のカギが『空』にある」という設定案があ った。これなら空に飛び立つ動機付けは十分である。ただこの場合、飛び立っ たのはいいが、それからどうするのかが考えにくい。記憶が戻った時点で話が 終わってしまっては困るのだ。 ・反戦少女としての風色の少女 島津は文章上においては、基本的にウォーモンガー(戦争屋)なので、「な るべく風色の少女には避戦の努力をさせてほしい」と永山先輩に言われて、考 え込んでしまった。確かに、余りに好戦的な主人公というのは幻滅である。が、 主人公が最初から反戦を唄った場合、実際に戦争が始まってしまった段階で彼 女の出番はなくなってしまう(その設定の場合、結果的に彼女を戦争に参加さ せると、物語全体に戦争肯定の雰囲気が漂ってしまうから)。反戦主義者によ って阻止された戦争というのは歴史上存在しない。そう簡単に戦争は食い止め られない、という事実を踏まえた上で、順序を逆にして考えてみよう。つまり、 最初はバリバリの愛国少女だった主人公が、戦争の悲惨さを目の当たりにする につれ、次第に反戦に目覚めていくというパターンだ(ありがちか?)。 ●関西弁の誤謬 「関西弁を使うキャラクターを登場させてはどうか」というアイデアを頂い たのだが、ここは、ぐっと堪えて「却下」と言わせてもらう。何しろ漫画等に おいて関西弁を使うキャラクターは「口数の多い守銭奴」というイメージが抜 きがたく定着しているのだ。しかし、話し方の違いで雰囲気を変えるという試 みは積極的にやっていきたいと思う。緊迫した場面になると、訛りが出るとか。 しかし、関西弁の会話というのは、未だに近畿圏以外の人にとってはインパク トのあるものなのだ、という事が判ってよかった。勉強になりました。 それにしても、「笑わせる」話を書いたつもりはなかったのに。「笑わせる」 と「笑われる」では雲泥の差がある。実際、読んで楽しい作品にするつもりは あっても、笑うような話にするつもりはない。そういうような話は、他の人が いくらでも作ってくれるから。 ●ホームズ・シンドローム もしかしたら、他の誰かがきちんとした形で定義しているのかも知れないが、 勝手にここに書く。何かと言えば、「推理小説におけるマーフィーの法則」と でも思ってもらえばいい。 ・第一法則 「推理小説を書くものは、少なくとも作中の探偵役や犯人以上の知識、想像力、 判断力を持っていなければならない」 ・第二法則 「推理小説においては、犯人役は致命的な錯誤を犯さねばならず、また探偵役 も、遠回りをしながら解法にたどり着かねばならない」 何が言いたいのか? つまり、一つは、「天才的な軍師」を登場させるのは いいとして、その軍師が考えてくれるはずの素晴らしい作戦は、一体誰が考え るのか? という事だ。結局これは「天才とは何か」という観念論まで発展し ていくテーマなので深くは書かないが。漫画でよくいるんだ、「IQ何百」と いうキャラクターが。ものによっては、「頭がいい」という価値判断が完全に ずれている書き手もいるし。頭がいいと設定したキャラクターに、一体何をさ せれば頭が良さそうに見えるのか、考え直しておくべきだろう。 もう一つ。これは個人的なもので、ファンタジー云々から離れてしまうのだ が、知識が邪魔をするというか、キャラクターの判断力を高く設定し過ぎると、 逆に話がつまらなくなるという例をあげたいと思う。例えばこんなシーン。 「森の中、忍者風の特殊部隊員十名余りの追撃を受ける主人公。森を抜けると、 目の前は池だった。主人公は一計を案じ、近くにあった大きな石を池に投げ込 み、自分は近くの茂みに身を隠す。池に投げ込まれた石の音を聞いた追っ手は、 次々に池の中に飛び込む。その間に主人公はその場を脱出した−−」 割とありがちな話であるが、これを読んだ人はそのまま納得してくれるだろ うか? 島津にはそうは思えない。このシーンには二つばかり納得出来ない描 写があるからだ。 まず一つは、プロであるはずの特殊部隊員が、石の立てた音が本物か偽装か 見抜けなかったという点。偽装であれば、一般に音は高いと言われている。素 人目にも「ありがち」と思えるような手に引っ掛かるとは思えない。 二つめは、全員が一度に池に飛び込んでしまったという事。指揮官がまとも な判断力を持っているならばそんな事はしないだろう。部下を二人ずつに散開 させ、池の中を含め、周囲を探らせるに決まっている。 主人公の反撃を受けるかもしれないから、散開させるのは理にかなわない、 という意見もあるかも知れない。が、ここでの彼等の目的は、主人公との戦闘 ではなく、とりあえず主人公を発見する事である。発見し次第、何らかの方法 で味方を呼び寄せればいい。二人ずつ、と書いたのはそれが理由だ。 さて。「何もそこまで考えなくてもいいではないか」と言う人がもしいるな ら、島津はその意見に賛成したい。しかし、島津は自分でも納得出来ないよう な話を人に読ませるつもりはない。前にも書いたが、ご都合主義とその場限り はお呼びじゃないのだ。 ●遠距離射撃兵器に関する考察 a.野砲としての投石器 現代になっても、格闘技や剣術(チャンバラ)などは高い人気を誇っている。 それは、自らの身を危険に晒してでも相手を倒す、というリスクが一般人の心 に感動を呼ぶからであろう。漫画・アニメに描かれる戦争の九十五%はその点 を踏まえて描写される。「リアルロボットもの」と総称される分野に関しても その点は同じだ。 しかし、「本物の」戦争においてそのような悠長な事は言っていられない。 出来るならば、自らは安全な状態のまま、相手に打撃を与えたいと考えるのは 当然だ。というより、指揮官にとってはそうでなくては困る。こちらとしては そういう事情を踏まえた話を作ってみたいと考えている。愛と正義で全てを片 付けてしまうようなアニメオタクとは、本質的にスタンスが違うのだ。媚びて りゃいいってもんじゃないぜ(夜中に書く文は過激やね)。 そういう訳で、兵器の射程は技術進歩に伴って長くなっていく。ファンタジ ー(というより中世ヨーロッパ)における遠隔攻撃兵器で思い浮かぶのは投げ 槍、弓、弩弓、投石器などだ(場合によってはスリングやブーメラン、手裏剣 などもこれに含まれるだろう)。 この中で、破壊力が最も高く、飛距離も長そうなのが投石器だ。具体的な資 料が無いので、どの程度の重さのものをどのくらい飛ばせるのかなんとも言え ないが、考えてみればそんなものを知っている奴なんてそんなにいるとは思え ないので、勝手に決めてもそうイチャモンを付けられる事もないだろう。十キ ロ前後ほど飛んでくれれば(無茶か。しかし相手の視界外から攻撃出来れば)、 話は作りやすいと思うのだが。 発射する弾も、ただの石球や炸裂弾だけでなく、陶器の弾に詰めた毒ガスと いうのも面白いかも知れない。即死するほど強力なのは作るほうの命に関わる ので、せいぜいが催涙弾程度の威力になると思うが、「毒瓦斯だ!」というセ リフは読み手の意表を突く事受け合いだ(ほんまかいな)。時事ネタでもある 事だし。 b.面制圧兵器としての弩弓 実在していたのかどうか知らないが、こんな兵器を考えてみた。「巨大化し たボウガンの、矢をセットする代わりにバケットを固定する。そのバケットに、 普通サイズの矢、投げ槍、石などを装填して発射する。放物線を描いて発射さ れたそれらは、敵の頭上から適度に散布されて落下する」 これは、現代におけるロケット兵器(MLRSなど)をイメージしている。 これだけで敵の前進を阻止出来なかった場合は、通常の弓兵が穴を埋める形 で、面制圧射撃を実施する。 これは何もオリジナルな戦術という訳ではない。ポワティエの戦い(一三五 六年)において、イギリス軍はこの弓兵の集中利用という当時の新戦術を駆使 して、三倍の兵力を有していたフランス軍を破っている。 投石器との違いは、発射された物体に回転がかからない事。だから矢や槍な どの棒状のものを撃てるのだ。 それにしても、至近距離で発射された投げ槍の集中砲火を浴びた兵士は恐ら く細切れになってしまうだろう。おっかない兵器だ。 c.観測・連絡機としての飛行機 前に、「主役は飛行機(飛光機)」とどこかで書いたような気がするが、何 も戦闘機でなくてはならないとは言っていない。飛行機はおそらく馬よりも速 いだろうから、情報の伝達に有効だと考えられる。また、先にあげた投石器の 射程が十キロ前後(!)と考えた場合、敵を視界に収めて射撃出来ないと考え らるので、その射撃を助ける為に飛行機を利用する事も可能だろう。敵の上空 に達した時点で発煙筒を投下するのだ。投石器隊はその煙を目標に射撃すると いう訳だ(距離感を掴むのは投石器隊の職人技だ)。 3−2に続く
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