連載 #4021の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
里見又太郎冠者御曹司義実(またたろうかじゃおんぞうしよしざね)は、譜代 の郎党・杉倉木曽介氏元(きそのすけうじもと)と堀内蔵人貞行(くらんどさだ ゆき)に連れられて、結城の戦場を脱出した。時は卯月、初夏の眩しい陽光の下、 鳥や獣が活発に動き回り、生命の歓びを謳歌している。しかし、義実の心は晴れ ない。猛る馬に無理矢理ここまで連れて来られたのだ。 馬は一粁ほど走って、漸く歩みを緩めた。義実は、馬を止め、戦場を振り返る。 遥かに霞むのは、土煙だろうか、それとも血煙だろうか。やがて、シンと静まり 返る。敵と思しき勝鬨(かちどき)が湧く。里見勢は全滅したらしい。義実の目 が見開く。様々な思いが去来する。 家中の者は全滅か、父は死んだか、それよりも、手傷を負って生け捕られ、恥 辱を受けておられぬか。居ても立ってもいられずに、義実 馬首を巡らせる。抜 け出たばかりの戦場へ戻ろうとする義実を、二人の従者が引き戻す。血相変えた 義実は、「放せ放せ」と喚きつつ、二人の肩を鞭で打つ。打たれながらも杉倉と 堀内の手は緩まずに、無言のままに若君を、西へ西へと引いていく。 武蔵の国に入った頃、火退(ひのき)林に差し掛かる。馬蹄の音が近付いて、 「緋糸威(おどし)の鎧着る、見事な武者は敗軍の、里見の殿と見受けるが、家 臣を捨てて自分だけ、助かろうとは情ない」。見れば幕府の追手ども、二十騎ば かりが現れる。杉倉、堀内 驚いて、若を押さえた手が緩む。ここぞとばかりに 義実は、馬腹を蹴って躍り出し、遮二無二 追手に打ちかかる。慌てながらも従 者二人、若に続いて走り出す。一糸乱れぬ連動で、三騎は自在に駆け巡る。数を 恃んで油断した 敵は途端に浮き足立ち、五六騎ばかりが殺される。ここで三騎 は離脱して、一路 相模へ ひた走る。不意を食らった敵どもは、狂ったように 鞭を振るい、義実たちを追いかける。しかし所詮は烏合の衆、兵法知らぬ匹夫ど も、息せききって追ううちに、隊伍を崩し 一人ずつ 追い付く毎に 三騎の餌 食。十粁ばかり走るうち、追手は すべて討ち取らる。 日は既に落ち、十六夜の 月がポッカリ 浮かんでた。 (つづく)
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