連載 #3840の修正
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私は何事にも「浅く広く」という傾向が強くて、色々な趣味に手を出すが、どれ一 つとして極めた物が無い。何故か中途半端で、30人くらいの中では第一人者になれ ても、100人も集まると必らず私より上が居る。理想を言うと、何でも一通り広く 知っていて、中に一つ、誰よりも優る趣味を持っていたい! クラシック鑑賞も長年に渡る私の趣味だが、知識は大して深くなく、オーディオ設 備どころか満足なテープレコーダーもプレーヤーもないので、レコードを買っても聞 くことができない。 それでも、LPレコードの全盛時代、私は乏しい家計の中から毎年2、3枚ずつレ コードを買っていた。今でもそれらは大切にしまってあるが、30枚にも満たないと 思う。 バッハとモーツァルトおよびヴァイオリンの曲が大部分で、中でも私が一番好きな のは、ナタン・ミルシュテインの演奏によるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第五 番、アルテュール・グリュミオの演奏するバッハのヴァイオリン協奏曲第二番である。 今やCDレコードの時代となり、私も早速切り替えたが、実はCDといえども永久 保存ではないそうで、金属板が酸化してしまえばおしまいだという。そんなことなら、 針音さえ我慢すれば、従来のレコード板の方が長持ちするかも知れず、新しい物必ら ずしも優れているとは限らない。と言っても、私の生存中は大丈夫だろうが…。 アイザック・スターンの演奏になるシベリウスのヴァイオリン コンチェルト、ヘ ンリック・シェリングとヘルムート・ヴァルヒャの共演によるモーツァルトのヴァイ オリン ソナタ全曲などは最高の音楽である。 コンサートもよく聞きに行ったが、その入場券の半券を、私は点字のスクラップに して残してある。 点字用紙のサイズは、B5版より一回り大きいので、これに半券を糊で貼り付け、 その下の余白に、コンサートの日時、会場、座席と料金、演奏者、曲目、感想などを 点字で記述しておく。バインダー2冊になっていて、時々開くと昔のことが懐かしく 思い出される。例えば次のような具合である。 ---------------------------------------------------------------------------- Alfredo Campoli 日本フィルハーモニー交響楽団 S35・8・4 PM7.0 神田共立講堂 二階 タ 7 B 800円 指揮=渡辺暁雄 1 盗むかささぎ序曲 2 Mendelssohn V,C 3 フィンランディア 4 Tschaikowsky V,C 付 Bach ガボット 1 ○ よく揃って歯切れが良い。美しい音色! 2 ○ 伴奏と調和して優れた技巧。特に第三楽章は恍惚! △ 第一楽章のビブラート 4 ○ 音色はいよいよ美しく涼しく、オーケストラをぬって響きわたる。 ---------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------- David Oistrahk S44・11・22 PM6.30 札幌市民会館 チ 31 A 2500円 P=Flida Bauer 1 Beethoven NO8 2 Shostakowitch OP134(Oistrahk還暦に捧ぐ) 3 Brahms NO1 #78 4 Debussy バスビエ(ベルガマスク組曲より) 5 Ravel ツィガーヌ 付 (2曲) ○ 幅広く堂々として、揺れる和音 躍らない弓・分散和音・フラジオレットなど、完璧な演奏 ハイポジションののびのある音色 △ あっさりしない難解な解釈、 低音のボリュウム ---------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------- Kammerorchster Berlin (ベルリン音楽祭より) 1974・11・26(火) PM6.30 名古屋市民会館大ホール 一階 12 26 S6000円 ブランデンブルク協奏曲 1 3 5 4 6 2 △ チェンバロのリズムとテンポ ○ ドイツ的伝統をほうふつとさせる。 ※ ベルタ(盲導犬)の去った日。ただ悲しく、好きな音楽すらもどかしい。 ---------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------- Henryk Szeryng バイオリン リサイタル 1976・4・18(日) PM2.00 鈴鹿市民会館 エ 17 A3800円 P=Michael Isador 1 Schubert NO3 G MOLL 2 Bach 無伴奏パルティータ二番 D MOLL 3 Kleisler レシタティーボとスケルツォ カプリース 4 カリッロ 前奏曲 5 ブロッホ パール シェムより ニーグン 6 Revel ツィガーヌ ○ 最高級の音、特にG線。 和音が完全で全くくるい無し 穏当にして嫌みのない解釈 △ 音量、 ハーモニックス ---------------------------------------------------------------------------- スクラップニシタ半券は、東京時代の2年間で24枚、札幌の11年間で43枚、 名古屋へ来てからの22年間で97枚くらいあるが、上記のようにきちんと記録して ある場合はむしろ少なく、全くコメントの書いてないことも多い。また、半券を残ら ず保存してある訳ではなく、スクラップにしないうちに紛失してしまった物がかなり ある。 14 石 私が石に興味を持つようになったのは30歳頃であろうか。 ある日、1年生になる息子が長方形の石を拾ってきた。大きさは5センチかける5 センチ・長さ12センチくらいで、色は緑がかっていると言う。両側面に、指で触れ てはっきりと分かる1センチ角ほどの平行四辺形の升目模様が並んでいた。その辺に 落ちているような在り来たりの石ではなさそうなので、誰かが文鎮代わりに使ってい た物かも知れない。 それ以来、私は山や海へ行くと、誰かに頼んで珍しそうな石を捜してもらうように なった。全盲の私が手探りで捜すのはたかが知れているし、第一色目が見えないので、 どうしても人の目を借りなければならない。 一頃小登山に凝った時期があり、白馬岳に登った折り、山頂で知り合った小学生に 頼んで、小さな岩を二つ拾ってもらった。それをリュックに入れて下山したのだが、 おかげで腰を痛めてしまった。今でも時々腰痛があるが、これは白馬山頂から拾って きた岩のせいである。 店頭で売っている石は割合高価なので、私はあまり買ったことがないが、高知県の 竜河洞へ行った時、大理石の原石と灯篭を買った。5、6キロもあっただろうか、ビ ニールの袋がちぎれて足の上に落ち、けがをした記憶もある。 昨年久しぶりに北海道旅行をし、硫黄山で黄色い粉のいっぱいくっついた石を幾つ か拾ってきた。妻は面倒がるが、末の娘は私の趣味に合わせてよく捜してくれる。 先日また伊良湖岬へ行き、海岸端で娘がかなり大きな石を20個ほど集め、その中 から特に気に入った形の石を5、6個、家へ持って帰った。車で出かけたからよかっ たものの、電車ならまた腰を痛めるところだ。この石の中に見事な楕円形が二つあり、 一つは約1キロ、もう一つは3キロほどの重さがあった。 でっかい庭石がほしいけれども、そんなお金もないし庭もない。 もし大きな石を買うとしたら、それは自分の墓石であり、今本気でそのことを考え ている。凡人は死んでしまえばおしまいで、その思想や行跡など何一つ残りはしない。 血を分けたわが子でも、親が死んだ後暫くは悲しんでくれるが、やがて忘れてしまう。 勿論それでよいのだが、1年に一度くらい思い出してくれるかも知れず、それはお盆 くらいだろうか?お墓を立てておけば、孫でも連れてお参りにきてくれて、 「これがおじいちゃんのお墓だよ!サア、手を合わせて拝みなさい。」 という様子が思い浮かぶ。 けれども本当の所、私は自分の死後、子孫に思い出してほしいとは考えない。何故 なら、私は死後の世界や霊魂の存在を信じていないからで、人間死ねば『無』に帰る のだ。 どうせそうであるなら無理に思い出してくれなくてよいから、せめて子供や孫に、 墓石の情緒を味わわせてやりたい!私が子供たちにしてやれるのは、そのくらいのこ とである。
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