連載 #3577の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 留守番電話 [1/20] ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 最近は、留守番機能のついた電話機を使用している家庭が増えてきました。し かし、「増えてきた」と申しましても、まだ貧乏人にとって留守番電話は「手の 届かない遠い存在」であることには変わりありません。 一口に「貧乏人」と言っても、そのレベルはさまざまです。 口では「自分は中流階級に属していると思います」などとほざきながら、相変 わらず昔ながらのダイヤル式黒電話を使用している「準貧乏人」。 「貧しさは隠しようがない」とあきらめ、素直に糸電話を使っている「真の貧 乏人」。 通信手段として、今なお「のろし」を使っている「超貧乏人」。 このように、持っている電話によっても貧乏のランク付けを行うことができま す。 「準貧乏人」が多く住むところに行くと、町中が電話のベルでうるさくして仕 方ありません。 高級な電話機であれば、電話がかかってきたときに、例の「プルルルル、プル ルルル、・・・・・・」という耳に心地よい、さわやかな電子音が流れるのですが、ダ イヤル式黒電話というのは音量調節ができないこともあり、あのバカでかい「リ ーン、リーン、・・・・・・」という耳障りで、聞くに堪えない不快な音がビシバシと 響きわたるのです。こんな騒音がたくさんの家から聞こえてくるのですからたま ったものではありません。 こういう町に2、3日間滞在すれば、間違いなく難聴になってしまうのではな いでしょうか。 「真の貧乏人」が多く住むところでは、糸電話の糸が町全体に蜘蛛(くも)の 巣のように張り巡らされています。このような地域では、太陽の光が糸にさえぎ られているため、昼間だというのに町全体が薄暗く感じます。 こういったところに住んでいる子供達の唯一の楽しみは、張り巡らされた糸電 話の回線の上でトランポリンをして遊ぶことです。 子供がトランポリンの上に乗っているときには、電話は当然のことながら不通 になります。ですから、人々は、子供がジャンプしているときにしか電話で話す ことができません。 「けっこう不便だな」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、彼らは、都 会の人間みたいにせかせかしていませんので、別に何とも思っていないのです。 途切れ途切れに話をするのが嫌なら、子供が遊び終わってから電話をすればいい と皆さん考えています。 昼間でも薄暗いという点では、「超貧乏人」が多く住む町も同じです。しかし、 町全体が暗い理由は、糸が張り巡らされているためではなく、空が「のろし」の 煙で覆われているからです。風のない日などは、2メートル先が見えないほど視 界が悪くなります。 かつては、「のろし」をあげるために、落葉や新聞紙などを燃やしていました。 しかし、近年では、このようなものは使えません。ひどい大気汚染のため、木と いう木はすべて枯れ、落葉などはまったくなくなってしまったし、新聞配達の青 年が喘息(ぜんそく)にかかり、人々は新聞紙も手に入れることができなくなっ てしまったのです。 だからといって、町の唯一の通信手段である「のろし」をやめてしまったら、 町民の日常生活に重大な支障をきたしてしまいます。 そこで、町の人々は、家にあるテーブル、タンスなどの家財道具を次々と燃や し始めました。しかし、どの家もみんな極貧で、家具の数もたかが知れているた め、これらもすぐになくなってしまいました。 そこで仕方なく、町民は自宅に火をつけ始めました。みんなは、最初、家の一 部だけを燃やして「のろし」をあげようと思ったのですが、期待していた部分だ け燃えた後に火が自然に消えてくれるわけがありません。そんなわけで、自宅に 火を放った人の家は例外なく全焼してしまいました。 住み慣れた自分の家が焼け落ちてしまった人は、隣の家に放火し、あくまでも 通信手段の確保に努めました。 やがて、町は一面、焼け野原となり、町民はひとり残らず住むところを失いま した。 「町の人々は、さぞかし深い悲しみに沈んでいるのではないか」と皆さんはお 思いになるかもしれませんが、彼らはもともと極貧でしたので、そんなのへっち ゃらです。 中には、灰と化した自宅の前で、燃えなかった便器の鉄パイプに自分の下着を つけ、それを両手で持って上下左右に大きく振り、「のろし」の代わりとして 「手旗信号」という「町の新しい通信手段」を普及させようと努力なさる立派な 若者もいました。 と、ここまでは貧乏人の住む町について述べてきましたが、金持ちの多い町は どうでしょうか。 金持ちは、もちろん最新鋭の高級電話器を持っていますので、電話のベルの音 で耳をやられて病院に通うことはないし、糸電話の回線を町に張り巡らしたり、 「のろし」をあげたりする必要もありません。 つまり、直射日光をまともに受けることになります。 近ごろの太陽光線というのは非常に危険です。地球を覆っているオゾン層が人 間の使用するフロンガスによって破壊され、ところどころにポッカリと穴が開い ていて、そこを通して、人体に有害な紫外線が地表に降り注いでいるのです。 要するに、金持ちは皮膚癌にかかる可能性が非常に大きいということになりま す。 そうなると、「金持ちよりも貧乏人のほうがいいのではないか」と思う方もい らっしゃるかもしれません。 しかし、「準貧乏人」は難聴だし、「超貧乏人」は「のろし」によって汚染さ れた空気を毎日吸っているので肺の機能疾患に悩んでいるのです。 となると、一番いいのは「真の貧乏人」ということになります。運動不足だと 感じたら子供に混じってトランポリンをやればいいし、なるほど、健康面におい ては彼らが一番恵まれています。 しかし、「真の貧乏人」にも問題はあります。彼らの通信手段である糸電話に は、先に述べた不便さ(トランポリンをしている子供が空中にジャンプしている ときにしか話が通じない)以外にも、電話がかかってきた(糸電話で何者かが話 し始めた)ときに留守だった場合、どうすることもできないという弱点があるの です。 その点、金持ちの場合は、自宅の電話に当然ながら留守番機能がついています ので、家にいなかったとしても相手のメッセージを録音しておくことができます。 また、金持ちの中には、「携帯電話」というハイテク機器を外出中に持ち歩い ている者もいます。こういう人の場合は、相手の用件を録音する必要すらありま せん。 ここで、皆さんの中には、「糸電話だって、持ち歩けるのだから、『携帯糸電 話』になるはずだ」と思った方もいらっしゃるかもしれません。 確かにそうですね。近くの商店街へ買物に出かけるときに、長い糸をつけた糸 電話を持って行けば、電話がかかってきてもすぐに応対できます。 しかし、糸電話を持ち歩ける範囲は近場に限られます。アメリカに出張する際 に糸電話を持参するとなると、糸の代金だけで、「NTTの加入料+電話取付料 +配線工事料+国際通話料」を上回ってしまう、ということはないでしょうが、 とにかく厄介で金がかかります。 さらに、その後、ヨーロッパでも仕事があるというので、パリとロンドンを経 由してから日本に帰って来るとなると、糸電話の糸は地球を一周してしまいます。 こうなると、ロシアでは、将来はボリショイ・サーカスの一員になりたいと思 っている少年少女達が、その糸の上で綱渡りの練習をしてしまいます。また、中 国では、中国曲芸団に入団希望の子供達が、その糸の上に頭で逆立ちし、両手両 足で皿を回すという離れ技の練習を行ってしまいます。これでは糸電話は通じる わけがありません。 この点においては、「超貧乏人」のほうが楽です。 彼らが夏休みのバカンスを「天国に一番近い島」と言われている南国の楽園・ ニューカレドニアで過ごすために成田を出発するときには、何も持参する必要は ありません。現地に着いてから、落ちている椰子(やし)の実などに火をつけ、 「のろし」をあげて通信を行えばいいからです。 携帯電話を持っている金持ちの場合はどうでしょうか。 彼らの場合、外国に携帯電話を持参して行っても使うことはできません。携帯 電話の使用は国内に限られているからです(最近は、ハワイでもOKなんてのも 出てきたようです)。 となると、やはり、金持ちでも、海外に行った場合のことを考えると、自宅の 電話器に留守番機能がついていたほうが絶対にいいのです。 そこで、これからは、このメッセージの本題である「留守番電話」について詳 しく話をしようと思います(貧乏な方々のために、「留守番糸電話」や「留守番 のろし」についても述べようかと思いましたが、面倒なので割愛させていただき ます)。 この文章を読んでいる方の中には、「留守番電話」を知らない貧乏人もたくさ んいると思われますので、まず初めに「留守番電話とはどのようなものか」につ いて述べます。 現在では、多くの家電メーカーから、さまざまな機能を持った留守番電話が販 売されています。ですから、「留守番電話とは、こういうことができるものだ」 と、ひとことで断言することはできません。 しかし、基本的な機能は共通していますので、まずはそれについて述べます。 「留守番電話」と言うからには、留守の時に何かをしてくれるのです。 基本的には、外出する際に留守番電話の「留守ボタン」を押しておくと、誰か が電話をかけてきた場合、電話が自動的に「ただいま、留守です・・・・・・」という 応答メッセージを流し、相手の用件を録音してくれるのです。家に帰ってきたら 「再生ボタン」を押して、録音された用件を聞きます。このように、電話が文字 どおり「留守番」の役割を果たしてくれるというわけです。もっとも、最近では、 家に帰って「再生ボタン」を押さなくても、外出先から自宅に電話をかけてプッ シュボタンを操作することにより、録音されている用件を聞くことができる留守 番電話が主流となってきています。さらには、転送先の電話番号を留守番電話に 登録しておくと、自宅に電話がかかるとすぐに転送先に自動的に連絡してくれる という便利な機能も、今では常識になりつつあります。 留守の友人に電話したとき、「ただいま、留守です・・・・・・」という、聞いたこ とのない声のメッセージが流れてきた、という経験が皆さんにはあるかもしれま せん。この応答メッセージは、電話を購入する前からすでに登録されているもの です。これは「定型応答メッセージ」と言われ、消去することはできません。 多くの人は、自分で考えた内容の応答メッセージを自分の声で録音しておき、 留守中に電話がかかってきた際にそれを流すようにしています。ですから、「定 型応答メッセージ」はさほど使われていないようです。 私の家の留守番電話に登録されている「定型応答メッセージ」は以下のような ものです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | もしもし。 ただいま、留守にしております。 | | 『ピー』という音の後に、 | | お名前、ご用件をお話しください。 ピー! | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これが30歳くらいのまじめそうな男の声で録音されています。 留守番電話の取り扱い説明書には、「ひとり暮しの女性がこの『定型メッセー ジ』を使えば、留守中に見知らぬ男から電話があった場合でも、女性がひとりで 住んでいることがばれません」と書かれています。 しかし、この「定型メッセージ」を使っているのはひとり暮しの女性だけです。 (「掲示板(BBS)最高傑作集77」に続く)
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