連載 #3311の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
帝都の城門が見えてきて、ウェルナー・クーン と少女は一息吐いていた。というのもこの時代に あって、徒歩で帝都までルーインからやってきた のだから、その疲労はかなりのものなのだ。 上空を帝都防衛のために戦闘機が数機上昇して いく。 広大な帝国を支配するために科学と魔法の力を 独占的に管理する帝国政府は長距離高速交通網を 異常なほどに神経質に管理していた。だから2人 はルーインから近いメギド市で飛行旅客船に乗れ なかったときそれ程の以外感はなかったし、旅を 諦めるきにもならなかった。 少女の名はスーという。貴族にしか名字の許さ れない帝国にあってその名前はかなりポピュラー なものであった。古代の悪魔的な神の一人にその 名を持つものがいて辺境では今でもその信仰を失 わない者達が多くいる。スーはそのひとりではな いが、その名前が彼女は気に入っていた。何とな く自分にぴったりとした感じがする。 「スー殿。どうやら着いたようですね。」 精悍な顔つきのウェルナー・クーンという名の 壮年の連れが呟くように言った。故郷を同じくし 、兄の家をスーが出てまもなく一緒になったこの 連れは、帝都の昔の部下を訪ねるのだと言ってい た。帝国正規軍に今は所属するその部下が出世し て、自分はそのコネを使わせてもらうのだと彼は 嬉しげに言っていた。嬉しげに言うのでなくて自 嘲的であったならスーは多分、この男と一緒に旅 をする気にはならなかっただろう。彼の微笑みに は芯から昔の部下の栄達を嬉しく思って、かつて の上官である自分の心配をしてくれている事に感 謝とうれしみを感じさせた。 「どうやら、お別れですね。」 スーは少し悲しげにウェルナー・クーンに向か って微笑んだ。 ウェルナー・クーンも黙ったまま微笑むように した。故郷の近くであってから1月余りが過ぎた。 最初は保護者的な年長者の義務感からこのほっそ りとした少女に同行を申し込んだのだが、今は違 っていた。2度ほど道中で盗賊とチンピラに絡ま れたが、少女は驚くほどの敏捷性を持っていて、 アッというまに逃げ出してくれた。そのにげっぷ りを始めてみたときに彼女の兄に対する憤りが全 く消えてしまった。少女を一人で旅に出したその 兄を常識の無い人間だと考えていたのだがどうや らそれは間違いで有った事をそれは教えてくれて いた。だから、彼も適当に光剣で間近の敵の腕を 2、3本斬って逃げる事にした。今の帝国ならば どんな辺境の小村でも腕の接着くらいは訳はない。 この少女の遺伝子には面白い螺旋が潜んでいる のかも知れない。 ウェルナー・クーンはそう考えて苦笑した。昔 の仕事をまだ自分が忘れていない事と、その仕事 を何故自分から放棄したのかを思い出したからだ った。 スーは砂を避けるために全身にシールドをして いる。顔にも灰色の光線避けを塗っている。ウェ ルナー・クーンは最後にこの少女の素顔がみたい と思った。最後になるかも知れない今ならそれを 言っても礼を失する事にはならないだろう。昔使 って久しい礼儀作法を彼はまだ守っていた。眼前 にいる田舎娘とて例外ではない。 「スー殿、最後の別れの前に顔を良く見せて下さ らぬか。次にあったときに貴方の顔が判らないの では、、。」 鼻の頭をかきながら、ウェルナー・クーンは頼 んだ。どうも彼は昔からこういう事が苦手だった。 死んだ妻の事が思い出されて彼はまた苦笑した。 「顔ですか。」 きょとんとした表情でスーは真っ直ぐに彼を見 て、自分がシールドに全身を覆っていて、彼に一 度も素肌を見せていないのに気がついた。 「判りました。」 何となく緊張した声になってスーは答えると、 全身のシールドを解き始めた。 ウェルナー・クーンは横を向いてシールドを解 いていく少女を見ないようにした。本当にこの歳 になって、しかも一度は妻をもらったにも関わら ず彼は赤面していた。 「どうぞ。」 声がして、クーンは下を向きながら振り返った。 「申し訳ない、どうも私はふなれで、、。」 ゆっくりと垂れていた首をスーに向ける。 数刻の後、彼は首都の中の宿屋にいた。 スーという名の少女の事を彼は忘れねばならないと決心して、、、。 作、今井一郎、浪人中。ポコペン。
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