連載 #3153の修正
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(「掲示板(BBS)最高傑作集55」からの続き) 司会者が言いました。 「それではこれから、クイズ大会を行います。このクイズ大会には男女とも全員 参加していただきます。」 「このクイズ大会の優勝者には、賞品として、な、なんと宝石をプレゼントいた します。」 会場内がざわめきました。 「絶対に優勝してやるぞ!」 「これで元が取れるぞ!」 当然のことながら、ねるとんパーティーの参加費として3千円払った女達より も、6千5百円払った男達のほうが燃えていました。ほとんどの男達は、司会者 が「踊り場に来てください。」と言ってもいないのに、踊り場に殺到してきまし た。やる気満々といったところです。 ところが司会者の男はこんなことを言い出したのです。 「ただし、このクイズ大会には1つだけ条件があります。女性が優勝した場合は、 そのまま宝石を持ち帰って構わないのですが、男性が優勝した場合は、もらった 宝石を今日のねるとんパーティーに参加している女性の中のひとりにプレゼント しなければなりません。」 これは、ほとんどの男にとっては面白くもなんともない条件です。A男やB男 やC男なら、優勝して宝石をもらえば、ほとんど決定済みの相手の女にそれをプ レゼントすればいいので、非常に楽しいでしょう。しかし、その他の男達は、優 勝して宝石をもらったところで、渡す女がいません。比較的「美人」のA子やB 子にプレゼントしたところで、彼女達の心が宝石に動かされ、A男やB男を見捨 てて自分に乗り換えるなどということはまずないし、他の醜女どもに宝石なんて プレゼントしたくはありません。 勢い込んで踊り場にやってきた男達は、司会者の言った「条件」を聞き、がっ くりと肩を落としました。 「そ、そんな!」 男達は口ぐちにこうつぶやいて、落胆の表情を顔一杯に表しました。 司会者が言いました。 「それでは、みなさん。今から私がクイズ大会の説明をいたします。みなさんは、 『ウルトラクイズ』というのをご存じでしょうか。ほとんどの方は知っていると 思いますが、今から私たちが行うクイズ大会は、『ウルトラクイズ』の予選で行 われているものと同じ形式で行います。つまり、私が今から行う質問に、みなさ んにYESかNOで答えていただくものです。質問に対し、YESだと思った方 は、司会者に向かって左側に移動してください。NOと思った方は右側に集まっ てください。」 「みなさん、間違えないでくださいね。質問に対しYESと思った人は入口に近 い側、NOと思った人はこちら側ですよ。」 女達はかなり真剣に、司会者の説明を聞いていましたが、ほとんどの男達は、 ぼけーとしていて、おそらくどっちがYESでどっちがNOなのか分かっていな かったのではないでしょうか。 司会者が質問を開始しました。 「では、第1問を始めます。百円ライターは、駅のキオスクで売られ始め、一般 に普及したものである。」 「さあ、YESでしょうか? それともNOでしょうか?」 私はNOだと思ったのですが、優勝してもプレゼントする女がいないので、わ ざと負けるためYESの側に行きました。 女達は、優勝すれば自分が宝石をもらえるため、かなり真面目に考えているよ うでした。一方、ほとんどの男達は、やる気というものがまったく感じられず、 質問もろくに聞かず、当てずっぽうでどちらかに移動しているようでした。 しばらくして全員が、YESとNOに分かれました。結局、YESの側に集ま ったのは8人だけで、残りは全員NOでした。 司会者が言いました。 「みなさん全員、YESとNOに別れましたね。」 「今ならまだ変更できますよ。」 司会者がこのように言っても、誰ひとりとして移動しませんでした。 「みなさん、腹を決めましたか。それではこれでタイムアップとします。」 「もう移動しないでください。」 「それでは正解を発表いたします。正解は、」 「正解は?」 「正解は、YESです。」 「あーあ!」NO側にいた女達はみんながっかりした声をあげていました。一方、 同じNO側にいた男達は、別に落胆したという様子はなく、中には、敗れて宝石 を渡す相手に悩まなくて済むことになったためか、ガッツポーズをしている者ま でいました。 というわけで、私は正解者8人の中に残ってしまったのです。8人の内訳は、 男が6人、女が2人でした。この中には、A男もB男もC男もいませんでした。 最初私は、参加者は全部で52人もいるのだから、絶対に自分が優勝するわけは ない、と思っていました。しかし、1問目を終えた地点で優勝の確率が8分の1 となってしまい、私は非常に焦り始めました。 司会者が言いました。 「一気に、たったの8人になってしまいましたね。」 「女性の方は2人しか残っていませんね。がんばってください。」 「それでは第2問にいきます。折り紙で鶴と亀を折る場合、鶴のほうが折り紙を 折る回数が多い?」 「さあ、YESでしょうか? それともNOでしょうか?」 私はまったくわかりませんでした。しかし、なんとなく鶴のほうが折るのが大 変なんじゃないのか、と思ったので、わざと負けるため、すぐにNOの側に行く ことにしました。でも、前の問題では予想が外れて正解となってしまったため、 今度も正解になってしまう可能性があります。そこで、私はYESの方に移動し ました。 やがて、8人全員がYES、NOのどちらかに別れました。YESの側にいた のは、たった2人でした。私とU子レベルの女です。 司会者が言いました。 「さあ、残ったみなさん。決まりましたか?」 「まだ変更できますよ。」 私は非常に焦りました。もしYESが正解だった場合、私が優勝する確率が一 気に2分の1になってしまうからです。 さすがに私はこれほどのリスクを負いたくなかったので、すぐにNO側に移動 しました。 司会者が言いました。 「1人移動しました。」 「YESが正解だったら、あなたは移動したことを悔やみますよ。」 余計なお世話です。YESが正解だったら「悔やむ」のではなく、私は胸をほ っとなでおろすのです。 「YESが1人だけになってしまいましたね。」 「もし正解がYESだとすると、これで優勝者が決定します。」 「もう変更しませんか?」 「まだ間に合いますよ。」 「本当にいいんですか?」 司会者はまるで、NO側にいる私達にYES側に移動しろ、と促しているよう でした。おそらくYESが正解なのでしょう。というのは、第2問で優勝者が決 まってしまったら、あっけなさすぎるからです。また、どうせなら男が優勝し、 女にプレゼントするほうがこの企画に適しているので、すんなりと女に決まって しまったら、司会者も参加者もまったく面白くないからです。 このようなことに、NO側にいるたったひとりの女は気付けばいいものですが、 頭が悪いのか、決してNO側を離れようとしません。たとえ、NOが正解だとし ても、そこから優勝する確率は7分の1しかないのですから、常識的にはYES 側に移動して優勝確率を2分の1にしたほうがいいに決まっています。 やがて、司会者も諦めたようです。 「それでは、これでタイムアップとします。」 「正解はどっちでしょうか?」 「正解は、」 「正解は?」 「YESです。」 「やったー!」 YES側にいたU子レベルの女は飛び上がって喜びました。それもそうでしょ う。このレベルの女では、男が優勝した場合は、プレゼントしてもらえる可能性 がまったくないからです。つまり、宝石を手に入れる確率は、この女の場合、ま さに52分の1だったわけです。これがA子やB子の場合なら、男が優勝して宝 石を受け取っても、その男からプレゼントされる可能性が十分にあるので、この 確率は3分の1、4分の1くらいになります。 司会者が言いました。 「おめでとうございます。」 「しかし、第2問で優勝者が決定するなんて、非常に早かったですね。」 「感想を一言?」 優勝した女は照れもせずに言いました。 「うれしいです。これで3千円の元が取れました。」 その女のその時の素直な心境でしょう。好きなA男かB男にまったく相手にさ れず、白けきったこのパーティーで最後に宝石を手に入れたのですから。(もっ とも、この女はA男やB男を指名できるレベルではないので図々しいと言えば図 々しいのですが。) 司会者は参加者に呼びかけました。 「それではみなさん、優勝者の女性に盛大な拍手をお送りください。」 「パチパチパチパチ・・・・・・」 盛大な拍手をしたのは司会者の2人だけでした。 司会者が言いました。 「さあ、みなさん。クイズ大会が終わりましたので、これからみなさんに『最終 希望カード』に記入していただきます。ねるとんパーティーの最初で申し上げま したとおり、このカードは、「最終的に気に入った異性の番号を記入する」ため のものです。今までの3回のフリータイム、ゲーム大会、クイズ大会において気 の合った人、いいなあと思った異性の番号をカードに記入してください。『第1 印象カード』とは異なり、『最終希望カード』には第3希望まで記入することが できます。記入すべき項目は、『あなたの番号』、『相手の番号』、『あなたの 連絡先』、そして『相手へのメッセージ』です。自分の連絡先を相手に知られた くないという方はその欄は書かなくて結構です。このカードは3枚に切り離して、 それぞれを指名した相手にお渡しいたします。ですから、自分の電話番号を『連 絡先』に書いておいた場合は、たとえ今日のパーティーで相手とカップルになれ なくても、後日、その相手から電話がかかってくる可能性があります。男性は絶 対に書くべきでしょう。それでは記入が済んだ人からスタッフに渡してください。」 参加者はみんな、「最終希望カード」に記入を始めました。しかし、すんなり と書いてスタッフに渡したのはA男ら、ほんの数人だけで、ほとんどの人はボー ルペン片手に誰を指名しようか、悩みまくっているようでした。 私自身も非常に迷いました。本来なら、その日のねるとんパーティーで一番 「美人」のA子とB子を指名したいところですが、どうせA子はA男と、B子は B男とカップルになるでしょうから、彼女達を指名することはまったくの無駄で す。といって、他の女の番号を記入して、万が一その醜女とカップルにでもなっ てしまったら大変です。となると、「最終希望カード」は白紙のままスタッフに 提出するしかないのですが、私は6千5百円も払ってこのねるとんパーティーに 参加しているのです。誰も指名せずに棄権してしまっては非常にもったいないこ とです。そこで私は、万が一の可能性にかけ、A子とB子の番号をそれぞれ第1 希望、第2希望に記入しました。第3希望はC子でもよかったのですが、万が一 C子とカップルになったとしても、一緒に街を歩いているところを友人に見られ たくありません。ですから私は第3希望を白紙にしておきました。そして、第1 希望、第2希望とも『あなたの連絡先』の欄には自分の電話番号を記入し、A子 とB子から後日、電話連絡があることを期待することにしました。『相手へのメ ッセージ』欄には、両方とも、「よろしかったら電話ください。」と書いておき ました。 すぐにスタッフが私の横を通りかかったので、私は書き終えた「最終希望カー ド」を彼に手渡しました。 やがて、他の人達も記入を終え、全員、「最終希望カード」をスタッフに手渡 しました。スタッフは、みんなからカードを回収すると、すぐに集計を始めたよ うです。 司会者が話し始めました。 「みなさん、お疲れさまです。」 「本日のねるとんパーティーは、残すところ、『最終希望カード』の集計結果の 発表だけとなりました。」 「今、スタッフがみなさんから受け取った『最終希望カード』の集計を行ってい ます。」 「結果はすぐに判明いたしますので、もうしばらくお待ちください。」 司会者の後ろでは、スタッフが忙しそうにカードの振り分けを行っていました。 やがて、集計を行っていたスタッフのひとりが司会者のところへやってきて、1 枚の紙を手渡しました。 司会者はそれを見て言いました。 「ジャン・ジャ・ジャーン! みなさん、大変長らくお待たせしました。『最終 希望カード』の集計がたった今、終わりました。」 「みなさん、わくわくしますね。」 「それでは、集計結果を発表いたします。」 「今日は、何組のカップルが誕生したでしょうか?」 「本日のねるとんパーティーで誕生したカップル数は、」 「何組ですか?」 「3組です。」 (「掲示板(BBS)最高傑作集57」に続く)
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