連載 #3144の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(「掲示板(BBS)最高傑作集48」からの続き) 私はこれを聞いて非常に腹が立ちました。どうして、日本人だけがそんな馬鹿 高い料金を払わなければならないのでしょうか。それに、日本人の場合は、男と 女で料金に差があるのです。欧米の先進国において、男女により、あるいは国籍 の違いによりパーティーの入場料に差があったりしたら、憲法違反で手厳しく罰 せられます。これは日本国憲法に照らし合わせても明らかに違反です。しかし、 日本人の多くはこういうのを差別だとは思わないらしく、文句を言う人はほとん どいません。 「ひでー差別だな! ここは日本だぜ! 何で外人を優遇しなくちゃいけないん だ! それに日本人の場合、どうして男のほうが女より1万円も高いんだ!」 私は、かなり上ずった声で怒りを談話室内にぶちまけました。 Nさんは海外生活が長く、外国事情にも精通しているため、他の先進国ではこ のような差別は明らかに憲法違反になるということを十分に知っていました。し かし、Nさんは私のように激怒せず、かなり冷静に答えました。 「そうだよ。君の言うとおりだよ。しかし問題は、差別されていると気付かずに 高い料金を払う馬鹿な日本人の男どもが後を断たないという点なんだ。しかし、 よく考えると、これらの問題はどうでもいいことなんだ。というのは、金が有り 余ってる奴が自分の好きなことに自分の金を使ってるんだから。他人がどうこう 言う筋合いはないんだ。」 私はNさんの説得力のある説明に思わずうなずきながら言いました。 「そうだよな、Nさん。そんな奴らは俺達とはまったく関係がないんだから、俺 が怒ったって仕方がないな。」 「勝手に高い金払わさせておけばいいんだ。」 「馬鹿に同情するこたねーな。」 「そうだよ。こういうパーティーに参加する馬鹿はほっとけばいいんだ。わっは っはっは。」 「どうせ日本人がそんな所に行ったって、背の高いハンサムな白人男や、かわい い金髪の女の子を恋人にできるわけねーよ。わっはっはっは。」 「それもそうだな。わっはっはっは。」 「そのパーティーの終わりの時間に、会場の出口に一緒に行ってみないか? 外 人に相手にされなかった日本人が間抜け面して出て来るのを見れるぜ。わっはっ はっは。」 「いい考えだ。わっはっはっは。」 「わっはっはっは。」 2人は狂ったように笑いころげました。 普段は議論すると必ず険悪なムードになってしまうNさんと私ですが、その日 ばかりは2人の意見は恐いほど完全に一致していました。 ところがその週末、Nさんは、あれほど馬鹿にしていた「国際六本木パーティ ー」に2万5千円払ってこっそりと参加していたのです。談話室で見た雑誌の中 の「国際六本木パーティー」に関する記事の最後に書かれていた「若い金髪の美 人女性多数参加予定」という15文字がよっぽど頭にこびりついて離れなかった のでしょう。しかしながらNさんは、そのパーティーでは、外人女どころか日本 人の女からも相手にされず、パーティー終了時間前に肩を落として寂しそうに会 場を後にしていました。 どうしてこんなことを私が知っているかといえば、私も「国際六本木パーティ ー」に参加していたからです。 いろいろと説明が長くなりましたが、要するにNさんは、たとえねるとんパー ティーで恋人が見つかったとしても、相手は日本人の女なので8千円は高すぎる と思っているのです。私はその後、何度も彼に一緒にねるとんパーティーに行か ないかと説得したのですが、彼は 「5千円以下じゃないと絶対に行かない。」 と言い張るばかりでした。 そこで私は、Nさんと一緒に行くのをあきらめ、1人でねるとんパーティーに 参加することにしました。 次の日に早速、電話の応対が親切だったほうのねるとんパーティーに電話をか けました。しかし、その時もまた、何度かけても話し中なのです。私は10回く らいかけたところで嫌気がさしたので、今度は不愉快な女が電話に出たほうのね るとんパーティーに、別の人が出てほしいと期待して電話をかけてみました。 今度は、礼儀正しい男の人が電話に出ました。 「もしもし、××企画でございます。」 「あのー、今度のねるとんパーティー、いつありますか?」 「今度の日曜、東京なら六本木であります。時間は午後1時からです。」 「まだ予約できますか?」 「大丈夫ですよ。」 「何人くらい参加しますか?」 「男女30人ずつを予定しております。」 「じゃあ、予約お願いします。」 「何名で参加なさりますか?」 「1人なんです。」 「はい、わかりました。」 「料金は8千円ですね?」 「いいえ。6千5百円です。」 「毎回違うのですか?」 「そうです。会場により異なります。では、申し込み用紙をお送りいたします。 パーティーの2日前までならキャンセルは自由ですが、それ以降は会費の半額を いただきますので、ご了承ください。」 とまあ、こんな具合いに簡単に予約することができました。 2日後に、ねるとんパーティーの申し込み書と案内書が私のアパートに届きま した。案内書にはパーティーの進め方などが書かれていました。この会社が主催 するねるとんパーティーでは、参加者が異性と積極的に話ができるよう、スタッ フがいろいろとアレンジしてくれるようです。 これについては、後で述べるパーティー当日の出来事の中で徐々に詳しくお話 しいたします。 さらに、案内書には、今後はいつ、どこでパーティーが行われるかという予定 も書かれていました。会場は東京だけでなく、首都圏全域で行われているようで す。パーティー日時の横には、参加費が書かれていたのですが、やはりここでも 男女差別料金が採用されていました。女性の参加費は、3千円から5千円なのに 対し、男性の参加費は5千円から9千円なのです。私が申し込んだねるとんパー ティーに関していえば、男性が6千5百円なのに対し、女性は3千円でした。私 はこれを見てむかっとしましたが、「国際六本木パーティー」に2万5千円払っ て参加したという前科もあり、 「6千5百円なら安いだろ。」と自分に何度も言い聞かせ、納得しました。 さらに、この会社は、ねるとんパーティー以外にも面白い企画を行っていまし た。それは、自分のプロフィールを書き、顔写真を貼った用紙を、5千円を同封 のうえ、この会社に送れば、それを会社が毎月発行する会報に3ヶ月間載せてく れるというものです。その会報は毎月、多数の女性会員に送っているということ です。会報には多数の男性のプロフィールリストが載りますので、それを見た女 性が気に入った人を見つけた場合、その男性に連絡をとってくるという仕組みで す。これについてその案内書には以下のように書かれていました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 多くの男性が、「『合コンしませんか。』だとか『会いませんか。』といった 女性からの電話がわんさか来すぎて、断わるのに四苦八苦してます。」といった 嬉しい悲鳴を発しています。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これを見た私は、すぐに押入に入れておいた自分の写真をすべて取り出し、去 年のクリスマスパーティーで撮った写真を探しました。その写真というのは、今 まで自分が写っている写真の中で最もよく撮れているものです。私はその写真を 見つけるやいなや、すぐに所定の用紙に自分のプロフィールを書き込み、写真を 貼って、近くの郵便局に直行し、現金書留でその会社に送りました。 「今後は、女性からの電話がわんさか掛かってきて、忙しくなるなあ。」 私はこうつぶやいて、郵便局を後にしました。 その日の夜、私はユースホステルに行きました。談話室にはNさんが1人だけ おり、宿泊客は誰もいませんでした。私はNさんに話しかけました。 「Nさん。今度のねるとんパーティーは6千5百円だって。」 「やっぱりそうだろ。日時や会場によって値段が違うんだ。俺の友達は嘘ついて なかったな。」 「でも最低3千円ていうのは嘘だよ。あれは女性の最低料金で、男の場合は最低 でも5千円するんだ。最高は9千円だよ。」 「そうだったのか。で、申し込んだの?」 「うん。自分の分だけ。でも、今からでもまだ申し込めるって言ってたからNさ んも一緒に行かない?」 Nさんは首を横に振り、 「6千3百円なら行ってもいいが、6千5百円じゃ行かないよ。」 と、ほとんど言い訳になっていない理由をうじうじと言ってきました。 私はNさんの態度に少し腹がたったので、 「今度のねるとんパーティーで、美人と知合いになってもNさんには絶対紹介し てやんないよ!」 と言ってやりました。 するとNさんは私に言い返してきました。 「おいおい。美人なんて世の中には1パーセントもいないんだぜ。そのごく僅か な美人が、ねるとんパーティーなんかに来るわけねーだろ。美人は男にもてるか らわざわざそんなところに金払って行かねーよ。ねるとんパーティーなんかに来 る女は全員、残り物、すなわちブス女だ!」 ねるとんパーティーにすでに申し込みを済ませた私にとっては、とんでもない 嫌味でした。私は完全に頭にきて、 「パーティーで知り合った美人の女の子をここに連れてきた時に泣き面をかくな よ!」 とNさんに怒鳴って、談話室を飛び出し、ロビーに行きました。 ロビーには人は誰もいなくて、静かでした。私は気を落ちつけるために自動販 売機でコーヒーを買い、中央にあるソファーに腰掛けて飲みました。しばらくす ると、私の怒りが徐々に治まっていくのが感じられました。 しかしながら、私の心の中では、Nさんが私に吐き捨てるように言った言葉、 「美人が、ねるとんパーティーなんかに来るわけねーだろ!」 が相変わらずこだましていました。 「それにしてもNさんはひどいこと言う奴だな。」 私は何度となくこうつぶやきました。 しかし、冷静になってよーく考えると、彼の言ったことはまったく正しいので す。美人が、ねるとんパーティーにわざわざ金を払って来るわけないのです。 このことは女に限らず、男にも言えます。つまり、ハンサムな男は女にもてる から、恋人を探しにわざわざ金を払ってまでして、ねるとんパーティーに来ませ ん。ましてや、醜女しか来ないねるとんパーティーなんかに、どうしてかっこい い男が来のでしょうか。 要するに、ねるとんパーティーに来るのは醜女と醜男だけなのです。でも私が こう言ってしまっていいのでしょうか。私は今度の日曜日には、ねるとんパーテ ィーに参加するのです。ですから、もし私が 「ねるとんパーティーに来るのは醜女と醜男だけだ!」 と言い切ってしまうと、自分で 「俺は醜男だ!」 と言っていることになってしまいます。私は自分自身を醜男だとは思っていない ので、明らかに矛盾したことを言っています。 そこで私は、どうしてねるとんパーティーに行くかの理由をもう一度考え直す ことにしました。 もともとの理由は、「かわいい女の子と知合いになりたい。」でした。しかし 現実には、かわいい女の子がねるとんパーティーに来るわけがないので、この理 由は通用しません。では、「醜女でもいいから知合いになりたい。」という理由 はどうでしょうか。これなら筋が通っています。しかし、これではあまりに情け ないので、私は嫌です。結局、私はしばらく考えた後、以下のことを「私がねる とんパーティーに行く理由」に掲げることにしました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 私は、『ねるとんパーティーの体験記』を書きたくなった。そこでこのたび、 実際にねるとんパーティーを体験するため、今度の日曜日のねるとんパーティー に参加することにした。 ねるとんパーティーに来るのは醜女と醜男だけであろう。そのようなところに 私が行くというのは、完全な場違いであることは私自身十分承知している。しか し体験記を書くためにはいたしかたない。 勘違いしないでほしいのは、私はパーティーに来た女と知合いになりたいとい う理由でねるとんパーティーに参加した訳ではないことだ。しかし、何かの手違 いから、かわいい女の子が今度のねるとんパーティーにまぎれ込み、私と知り合 いになり、今後2人がつき合うことになってしまったとしたら、それはそれでい い。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (「掲示板(BBS)最高傑作集50」に続く)
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「連載」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE