短編 #1331の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
<問題> A化学工業の開発課ナンバーワンのプレイボーイとして名高い若手社員・財 前満が死んだ。独り暮らしの彼が自宅で倒れているところを、訪ねてきた同僚 の孔雀勝子が発見したのである。 検視官の女性は調べた結果を次のように報告した。 「死因は毒殺ね。毒は被害者の勤務する会社では容易に手に入る代物だから、 有力な証拠にはならないとみられます。死亡推定時刻は……死んでから二十〜 二十二時間経って発見されたと考えられるわね」 そして捜査の末、容疑者として次の三人の女性が浮かんだ。 一人目は孔雀勝子。そう、第一発見者でもある女性だ。彼女は入社直後から 財前と付き合っており、最初はうまくいっていたが、近頃は浮気性の財前に愛 想をつかしていたらしい。清算の意味合いで、殺害の動機ありと見る。 二人目は、同じく財前の同僚で、少し年のいった玉置三枝子。オールドミス の範疇に片足を突っ込んだ彼女にとって、財前の甘い言葉は救いに思えたのか もしれない。その言葉が嘘だと分かったら、好意が殺意に変わっても不思議で ないだろう。 三人目は牟田綿子という、ある高級クラブに勤めるホステスで、稼ぎのほと んどを財前に渡していた。これも結婚を餌に財前が仕掛けた罠だったのだが、 牟田はつい最近まで気付いていないようだった。こちらも動機は充分。 この三人にはアリバイがない。他にも財前の付き合っていた女性は数多いの だが、アリバイやら何やらで、容疑の枠から除外されたのだ。 三人の女性は、警察で次のように証言をした。 孔雀勝子:玉置先輩が付き合ってたからといって、あの人に満さんを殺せるは ずないわ。たくさんの女を騙し続けたことの罪に絶えられなくなって、 自殺したのよ、満さんは。 玉置三枝子:財前君が自殺なんてする訳ないですわ。犯人は孔雀さんよ、かわ いい顔して。 牟田綿子:殺したのは彼の年上のヒト、そう玉置とかいう年増だわ。もちろん、 私は殺してない。 このあと、事件は急転直下、ある有力な目撃証言によりあっさり解決したの だが、結果的に、三人の容疑者の証言は、真実の一文と嘘の一文からなってい ることが分かった。 さて、財前を殺したのは誰でしょう? 犯人はこれまでに出てきた登場人物 の中にいます。念のために言い添えておくと、財前は自殺ではなく、明かに殺 されていました。 答はこのあとすぐ!(^^) <答> 三人の証言をもう一度見てみよう。 孔雀勝子:玉置先輩が付き合ってたからといって、あの人に満さんを殺せるは ずないわ。たくさんの女を騙し続けたことの罪に絶えられなくなって、 自殺したのよ、満さんは。 玉置三枝子:財前君が自殺なんてする訳ないですわ。犯人は孔雀さんよ、かわ いい顔して。 牟田綿子:殺したのは彼の年上のヒト、そう玉置とかいう年増だわ。もちろん、 私は殺してない。 各々の証言は真実の一文と嘘の一文を含んでおり、ここに、財前の死が自殺 でないという事実を当てはめると、まずは以下が確定する。 孔雀勝子:玉置先輩が付き合ってたからといって、あの人に満さんを殺せるは ずないわ(真実)。たくさんの女を騙し続けたことの罪に絶えられな くなって、自殺したのよ、満さんは(嘘)。 玉置三枝子:財前君が自殺なんてする訳ないですわ(真実)。犯人は孔雀さん よ、かわいい顔して(嘘)。 孔雀の証言の内、玉置に殺せるはずがない云々の部分が真実と決まったので、 残る牟田の証言の真偽は次のようになる。 牟田綿子:殺したのは彼の年上のヒト、そう玉置とかいう年増だわ(嘘)。も ちろん、私は殺してない(真実)。 上をまとめると、孔雀は真実として「玉置に殺せるはずがない」と言い、玉 置は「犯人は孔雀」と嘘を吐き、牟田は真実として「私は殺していない」と言 っている。 玉置でも孔雀でも牟田でもない。犯人がいなくなってしまった? 否。この三人の中にはいないということに過ぎない。 ここでもう一つの条件を思い出してみよう。「さて、財前を殺したのは誰で しょう? 犯人はこれまでに出てきた登場人物の中にいます」と問題文にある。 登場人物は先の三人と被害者、それに検視官である。最初の容疑者三人は誰も 犯人でなく、被害者は自殺でないのだから、残る検視官が必然的に真犯人とな る。 −おしまい
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