短編 #1281の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
学校も夏休みに入り、今週は7月と8月の境目である一番暑い週でもあり、 町内の花火大会がある週でもあった。今日はその花火大会当日。 いつもより活気のある商店街。その通りを埋め尽くす様に出店がびっしり左 右に並んでいる。沢山の子供、大人が楽しそうに行き来している。 安神 浩介(あがみ こうすけ)は入口ゲートの近くで、人の波をずぅっと 眺めていた。 あいつ・・・・・・来るの遅いなぁ。 「コウっ!遅くなってごめんね!」 かなりの速さで走ってきたのか彼女、野々原 桜(ののはら さくら)は荒い 息使いをしている。 「そんなに急いで来なくても・・・・・・」 浩介はそこまで言うと言葉を詰まらせた。彼女は私服ではなく、深緑色の浴衣 を着ていた。 「何よ・・・・・・似合わない?」 唖然とした表情をしている浩介の表情を見て、彼女はふくれっ面をした。 「全然!似合うよ!うん、似合ってる!」 浩介は力一杯首を横に振った。 「よかったぁ。あんたがそう言うなら大丈夫ね。さぁ、行きましょう」 彼女は浩介の手を掴むと商店街の中に入っていった。 「あ、金魚すくい!あっちに射的もある〜!」 彼女は浩介の手を引っ張りながらあちこちと出店を覗いていく。 「おいおい、出店は逃げないんだからもう少しゆっくり見て回ろうぜ」 「あ、このクジ引き1等がPS2だって。コウこれやろう!」 元気にはしゃいでる彼女を見ながら浩介は軽く溜め息をついた。 しばらく学校で元気無かったから・・・・・・良いか・・・・・・ 「コウってば!」 「わかったって。俺ってそんなにクジ運ないんだからなぁ。恨むなよ!」 「了解〜!」 浩介は沢山の紙の束の中から一枚を適当に抜き出してその場で開いた。 「お客さん惜しいねぇ〜、11等だ。11等はこの風鈴だ」 浩介は紙と引き替えに風鈴を受け取ってから彼女の方に向いた。 「1等じゃなくて11等で、PS2じゃなくて風鈴だって」 「まぁ、コウのクジ運じゃぁこんなもんでしょうね」 彼女は浩介から嬉しそうに風鈴を受け取った。そしてそれと同時に”ドーン、 ドーン!”という音が鳴り響いた。 「わぁ、打ち上げ花火だ!どこで上げてるのかなぁ?」 打ち上げ花火・・・・・・そうだ! 浩介は突然何かを思いつくと、彼女の手を引っ張って脇の小道に入っていった。 「ちょっと、どこに行くのよ!出店まだ・・・・・・」 彼女が文句を言う前に浩介は彼女を抱き上げて、空に飛び上がった。一瞬で風 に乗って飛ぶスピードが上がっていく。それと同時に彼女が持っている風鈴が 心地よい音色を奏でていく。 「良い所に連れてってやるよ」 「どこ?」 「もう少し」 浩介は町の中で高台に建っている神社のご神木の太い枝に彼女を降ろした。 ちょうど、商店街の明かりとか夜空がよく見える場所である。 「こんな所に連れてきてどうするのよ?」 ”ヒュルルルルル・・・――――――――――――パァ―――――ン!” 大玉の花火が夜空を美しく色付けしていく。 「綺麗・・・・・・」 そよ風によって風鈴はまた心地よい音色を奏で始める。 「空が飛べるようになってからはここが特等席だったんだ。ご感想は?」 「蚊に食べられる」 彼女のセリフに浩介が苦笑いを浮かべると、彼女は笑い出した。 ”ヒュルルルルル・・・――――――――――――パァ―――――ン!” また大玉の花火が夜空を美しく色付けしていく。 (終) (代理アップ by ジョッシュ)
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