短編 #0879の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
電車の中、ぼくは吊り革につかまって流れゆく外の景色を見ていた。 見たことあるようで、ないような、けれどどこかなつかしい。 流れる景色を見て、ぼくはそう感じた。 ・・・・しかし・・・せっかくの休みなのに、珍しく出かける気になったと 思ったら、いつのまにかぼくはこんなところへ来てしまっている。 「どうして? なぜ?」と思いながらも、ぼくはM駅という駅で降りた。 ゆっくりと、辺りを見回す。初めて来たという、あの少し不安が混じった 新鮮な感じがしない。それに今日はどうも頭の中がスッキリしない。まるで、 夢の中にいるみたいだ。いや、もしかして、本当に夢なんだろうか? そんなギモンを頭に浮かべながらも、足は勝手に動いた。それは不思議な 感覚だった。雲の上を歩いてるみたいで、足取りがおぼつかない。 坂道となだらかな道を交互に歩きながら、ぼくは白い校舎を持つ学校に 着いた。ぼくは学校に入ってみたが、中は人の声もせず、静まり返っていた。 時々、風に揺られて葉がヒラヒラヒラヒラと揺れる、ただそれだけだった。 この学校は死んでいるんだろうか? そう思うと白いきれいな校舎が、 黒く濁ったように見えた。ぼくはまた歩き出した。 ぼくがたどり着いた所、そこには名前はわからないが、大きな木が1本 あった。その木の真下に、木で作られた白いベンチがあった。ベンチに30代 くらいの男の人が座っていて、どこかを見つめていた。多分、ここの教師 だろう。ぼくは彼を見て、前から知っているような気がした。「どうして? なぜ?」というギモンが頭の中にまた浮かぶ、そして消える、浮かんでは消え、 浮かんでは消え、水の泡のように浮かんで消える。それは、とても静かだった。 彼は、全く動かなかった。ぼくも動かない・・・いや、動きたくない、 ずっとここにいたい。そう思った。 風がまた吹いた。 ぼくは気づくと涙を流していた。なぜだかわからない、けれど今までに 経験したことのない感情が胸の中いっぱいに溢れているのはわかった。 彼はまだどこかを見つめている。ぼくは、この感情をどうしていいのか わからなくて、彼に声をかけようとした。けれど、できなかった。 何かがそうさせたのだ。いや、違う・・・。 ・・・ぼくは、前のぼくじゃないから。ぼくには涙を流して彼を見つめること しかできない。話すことなんて、許されないだろうから。彼もまたどこかを 見つめ続けることしかできないだろう。 だって、前のぼくはもういないから・・・・。 おしまい。
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