短編 #0768の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「どうなるんすかね」 「さあな」 「さあなって……先輩。下手したら、大変なことになりますよ」 「弁護士先生だって、全く読めないと言ってた」 「……そりゃそうですね。こんな裁判、初めてです」 「俺も聞いたことないぜ」 「でも、何とかなるんじゃないですか」 「おまえに何が分かるっての。ええ?」 「いや、想像なんですけど。今までにいくらでもあるじゃないですか。T・F やD・K、G・JにR・S。日本人ではK・Y、A・H、M・K、I・T……」 「おい、やばいって」 「イニシャルなら、いいでしょう」 「関係者もいるんだ。そういうこと、あとでどう吹聴されるか分からんぞ」 「いいですよ、別に。僕はスターじゃないですし、職にも困らないですから、 いつでも辞められます。実家に帰ればみかん農園が待っています」 「俺もあやかりたいね」 「とにかく、自分が言いたいのは、どこもかしこもやってるじゃないか!てこ とになります」 「それを訴え出るのは、ナンセンスだっちゅうこったな。俺も思うよ。思うが な、そういう感情論が通用せんのは、おまえもよく分かってるだろが」 「そうですねえ……。こちらの主張が認められなかったら、どうなるんでしょ うね。詐欺でしょうか、やっぱり」 「詐欺で訴えられたんじゃない。学があるのかないのか分からんな、おまえっ て奴は。損害賠償を払うだけさ」 「いくらですかね。うち、そんなに儲かってないでしょう?」 「はっきり言うなって」 「この裁判で負ければ、二田さんは胸を張って出られるんですよね?」 「何でだ?」 「何でって、裁判で負ければ、過去の嘘を認める訳でしょ? つまり、退いて ないってことですから」 「なるほど。だが、訴えた連中、きちんと身を引けってのも、条件に加えてた ぞ、確か」 「金取った上に、身を引かなきゃいけないなんて、無茶苦茶ですよ。強欲な奴 等ですね」 「全くだ。こちとら、おまんまの食い上げになっちまう。二田さんのおかげで、 やっと盛り返してきたのに」 「何考えてんですかねえ、今さら……。あっ、始まるみたいですよ」 「よっしゃ。まあ、気楽に行こうや」 * * とあるスポーツ新聞から抜粋。 <(1面から続く)十二日、前代未聞の裁判として一部で注目されていた、い わゆる二田裁判の一審判決が出た。 この裁判は、プロレスラー・二田康志(本名同じ/開拓プロレス)が四年前、 引退試合を行ったにも関わらず、昨年十月になって再びプロレスラーとして活 動を開始したことに端を発している。 今年の三月に入って、二田ファンであり、二田の引退試合に涙したプロレス マニアの一団三十名が、損害賠償と二田の即時引退を求めて、訴えを起こした。 一時は和解の動きもあったが、リングにちょくちょく上がっていた二田が、 マスコミのインタビューに「俺は嘘つき」「おまえら(ファン)も嘘つきだ」 等と発言したことでこじれ、裁判で争っていた。 この判決を受けて、二田、開拓プロレス、ファンのコメント及び、他の各プ ロレス団体の反応を紹介する> −−終 註.実際に訴えたらどうなるのか、予想もつかないので、判決箇所には触れら れませんでした(苦笑)。
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