短編 #0702の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
男が荒涼とした大地を歩いている。男は薄汚れて、上着もズボンも朽ちかけ、 長い間洗ったことがないようだ。 一度ため息をつき、リックの中に入っていたものを愛しいものであるかのよ うに軽く二度ぽんぽんと叩いた。 男は更に深く入っていく。入って一時間もたったころであろうか。一軒の小 屋が見えてきた。 「やっと見つかった」男はその方向に小走りに走っていく。男が行き着いた 小屋の中では老婆がちょこんと座っていた。 「わしのおることがよくわかったのぉ」老婆は男の上から下までじろじろ眺 めていった。 「知り合いから聞きました、これでお願いします」男はポケットから札束を 老婆の目の前においた。 「こんなものいらん」老婆は首をふり、男に札束を投げてよこした。 「お金なんぞ、この世界では不用なもの・・・思い出が詰まったものじゃな いと駄目じゃ」 「それではこれで」男はリックの中から 子供用のがらがら、小さな鍋、動 かなくなった目覚まし時計、そして週刊誌が一冊、それが男の持っているすべ てだった。 「ふむ、これだけ集めるのに苦労しただろう」老婆は男から渡されたものを 一つ、一つ吟味する。 「おぬし何が望みだ。おまえさんは夢の中で王にもなることができる。思い 通りのものになることができる。未来をも見ることができる。そして過去にも な」老婆は男に聞いた。 男は即座に望みのものを答えた。 「わかった。この実を飲んでから、そこに横になさい。そうすれば望みのも のをかなえることができるじゃろう」 「あなたうなされていたみたいよ大丈夫」妻が男を起こす声がする。うっす らと目をあけると妻の姿があった。 「いやなんでもない。悪い夢を見ていたようだ。戦争で大勢の人間が死んで いく夢だ」 「まあ、怖い……今はこんなに平和なのに、夢でよかったじゃないの」 「うん……」 「ところであなた何時に帰ってくるの」男が食パンを頬張っていると妻は聞 いた。 「いつもどおりだ」 「それじゃ帰りにバースディケーキを買ってきて」 「もうそんなになるのか」男は、隣室で寝ている今日で二歳になる愛娘の顔 をみていった。 「早く帰ってきてね」 男は仕事を終え、ケーキを買って、家に帰ってくるとおろおろした妻の姿が あった。 「あなた熱が下がらないの」体温計を見ると40度を越えている。 「医者だ。医者だ。医者に見てもらおう」 「こんな時間に見てくれる医者なんているかしら」妻はどうしたらいいのか わからなくなっている。 「どこでもいい見てもらうまでは諦めないぞ」 ガラスを叩く音が聞こえてくる。男が愛娘を背中に抱えて一軒、一軒、駆け ずり回っている。どんどんどん「開けてくれ」 気がつくと男は老婆の部屋で寝ていた。両目から涙をぽろぽろ流れている。 泣きながら眠っていたらしい。 「どんな夢だった」老婆が聞いた。 「よい夢でした」男が答えた。 男は立ち上がり、もときた道をとぼとぼと帰って行った。 $フィン P.S.これは昔、「世にも奇妙な物語」に出ていたものを参考にしてみまし た。
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