短編 #0663の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「傘持っていきなさいよ」ぼくが玄関で靴をはいているとママが台所からい うのが聞こえた。 「大丈夫、天気予報でもそんなこと言ってなかったよ。じゃいってくるね」 僕は外に出た。 うわっまぶしいお日様は目が痛くなるほど輝いている。ぼくは鞄の中から眼 鏡をとってかけた。再び太陽を見ると、眼鏡のせいで薄ぼんやりとしか見えな い。うんこれでいい。 学校に行こうとすると、隣の良夫ちゃんが一緒に行こうっていってきた。ぼ くは良夫ちゃんのことあんまり好きじゃなかったけど、ママがどんな子供とも 一緒に遊んで上げなさいというからぼくは仕方なく行くこととなった。 「また増えたね」ぼくは良夫ちゃんの皮膚がぺろりと剥けているのを見て言 った。 「うん・・・」良夫ちゃんは嫌な顔をして剥げているところをぼくから見せ まいと隠そうとした。 「一枚はぐってもいいかな」 「駄目だよ」 「ぼくたちは友達・・・いいや、親友だろう、一枚でいいから剥がしてくれ てもいいじゃないか」 良夫ちゃんはもじもじしている。 「それともぼくのこと親友って思っていないのだろう?」ここでひとおし。 「一枚だけだよ」 良夫ちゃんの皮膚をぺりぺりめくる、剥いだ後は白い桜色をしている。剥い だ色は茶色っぽくてとても汚い。ママが言うには良夫ちゃんの皮膚はもう少し したらぜんぶの皮膚が剥げ落ちて下から桜色の肌がでてくるのだそうだ。そん なこと信じられない。 ぼくたちは学校に行った。教室につくとぼく以外のものが皮膚をぺろりと剥 がしていた。その中には憧れの聖子ちゃんまでいる。あこがれていたのに残念 だ。 一時間目算数、頭の悪かった良夫ちゃんが黒板に何やら書きこんでいる。先 生は素晴らしい解答方法だと誉めてくれた。 二時間目国語、聖子ちゃんが綺麗な声で物語を朗読してくれた。 三時間目理科 先生が蛙を使って解剖をしてくれた。 そして四時間目体育 ぼくは太陽の日にできるだけ当たらないように眼鏡を かけて木陰に座っている。 みんな最初は皮膚が剥がれるからたくさん休んでいたのに、今ではぼく一人 ときおり良夫ちゃんや聖子ちゃんがぼくの方を向いて何やら言っているようだ けど、そんなこと気にしない。ぼくはいつだって一人の方がいい。 五,六時間目の授業はそんなに楽しいものではなかった。 良夫ちゃんぼくと一緒に帰ろうといってきた。 「今朝、剥がしたところ、もうピンク色になってきてるね。それに今朝算数 の授業のときどうしてあんなにできたの」 「古い皮膚が脱げたからさ」 「ふ〜ん、そんなものかな」 「あ、もうすぐ降ってくるよ、ぼくはもう剥げているからいいけど、君はあ たると駄目だろう、早く帰った方がいいよ」 ぼくは急いで帰っても、少しだけ降ってきたものにあたったようだ。やがて、 ぼくの頭も例外にもれず剥げてくるだろう。そしていつの日かみんなの頭の皮 膚が剥げて同じまるまる坊主の【禿】になったとき世界はどんなになるだろう。 そのときが怖いようでもあり、楽しいようでもある。 ふぃん P.S.662の穴はわたしがしました。
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