短編 #0641の修正
★タイトルと名前
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う・み・の・く・る・し・み 水口そうみ 一 うみだされてきたものは、自らが多大なる努力と苦しみの結晶であるということを 、いつ知ればイイノダロウカ。 二 民宿で、4人の仲間が麻雀をしながら話をしていました。 南場にいる、作曲家の卵が言いました。 「曲を作るときは苦しいさ。だけどな、苦しいからって、まあいいや、これで。と思 ったらダメだな。もっとこうすりゃよかった。なんて、作った後に余計苦しんじまう 。要するに、産みの苦しみは、少しでも多くしておくべきだと言いたいね。」 北場にいる、記者の卵が言いました。 「でも、どれだけ苦しんだ力作でも、世間が振り向かないと、なんにもならない。苦 心した分、逆にショックも大きい。ふとしたひらめきが、大作を生むこともある。」 西場にいる、写真家の卵が言いました。 「だから感性磨けよ、感性。一つの作品に悩むより、自分の腕を上げる苦労をしろよ 。たくさん創って、何がいいのか分かれば、楽にできるんだからさあ。」 東場にいる、売れない画家が言いました。 「あ、それ、ロン。」 三 のんびりしたいね? 苦しんだ後は。 いいのを産めば、詩でも曲でも息子でも、ずっと面倒見てくれる。強運持った天才た ちは、悠々自適の印税生活。あとを継ぐ者立派なら、夫婦揃ってラクインキョ・・・・。 四 「くるしい? 確かに、産みの苦しみという言葉はあるけど・・・・いや、俺は楽しい よ。ここをどうしようか、どんな言葉がぴったりくるか、そういうことで悩んで、一 つのコピーを作る時間が、俺にはとても充実した時間でね。この仕事の面白さは、そ こだろうな。」 男はベッドでそう言った。 「ふうん。私はね、ほら、山に登って頂上から眺めを見た時みたいな、苦痛の後に待 ってる快感みたいな、それが楽しみかなって、産みの苦しみって、その快感を増やす 苦しみかなって・・・・・・」 女はベッドでそう言った。そして、男の胸に顔を寄せ、こう続けた。 「でも・・・・・・産むのと作るのは・・・・チガウ。」 五 ルージュを引いて化粧を済ませ、出産間近の妻はこう言った。 「赤ちゃんが初めて見るママの顔は、1番綺麗でなくちゃ、ね。」 そして、一緒に立ち会う私にも、1番高かった服を着ろと言う。 「何を着たっていっしょだよ、俺はあの手術の時に着るような服をかぶるんだから ・・・・・・。」 十数時間後、元気な産声とともに、新しい生命が誕生した。 妻は、看護婦に抱かれた赤子を見て目に涙を浮かべ、私にも見せたことのないような 笑顔を見せた。 「私の赤ちゃん、コンニチハ。」 六 将来、もしかすると、何の苦痛や努力もなく子供が産める日が来るかもしれません ね。でも、もし本当にそうなったら、少し寂しいなという気がシマセンカ。 七 みずをたたえた大きな海。生物全ての生みの親といえるだろう。母なる海は、多く の子供達を産んでいった。しかし、その恩を忘れた末っ子は、母や兄弟達を苦しめ続 けている。母は、そんな愚かな末っ子の行為を、ただ黙って見続けていくより他はな い。うみの苦しみは、そういうところにあるのカモシレナイ。
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