短編 #0635の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
夏 萎 朝 の び 顔 午 て も 後 詫 び し 前略。 暑い日が続きます。 暑さの苦手なあなたのこと、夏バテなどされてはいないでしょうか。 暑いからと言って、冷たい物をとりすぎてお腹をこわしてはいないでしょうか。 心配しています。 食欲の無い夏だからこそ、しっかりと食べて体力をつけ、暑さを乗り切って下さい。 いま我が家では、朝になると朝顔の花が満開です。 朝露を受けて咲く薄紫の花は、ひとときの涼を与えてくれます。 朝顔の開く瞬間が見たくて、庭先であなたと夜を明かしたことが、まるで昨日のこ との様に思い出されます。 ひとときの涼をくれた朝顔も、昼の強い陽射しの中で萎びてしまうと侘びしく、一 層暑さを感じてしまいます。 熱 寝 蜩 帯 返 も 夜 り 打 つ の か 今夜もまた熱帯夜。 このぶんでは、明日も寝不足のまま一日を過ごすことになりそうです。 人が暑いときは、昆虫も暑いと感じるのでしようか。深夜も零時をまわろうかとい ヒグラシ う時刻に、突然蜩が鳴き出しました。 数回けたたましい声で鳴いたかと思うと、ぴたりと止んで、あとは夜の虫のささや かな声だけになりました。 きっとあまりの寝苦しさに、蜩も寝返りを打ったのに違い有りません。 秋 相 夜 茜 手 遊 を び さ の が す か 陽が落ちる時刻ともなると、ようやく涼しい風が吹いてくるようになりました。 夏やせで落ちていた体力も、少しづつ元に戻って来ました。 真っ赤な夕日の中、真っ赤な秋茜たちの姿が見られるようになりました。それこそ、 空一面が赤い蜻蛉たちに埋め尽くされています。 もしかすると、秋茜たちは夜遊びに行く前に、その遊び相手をさがすために集まっ て来るのかも知れませんね。 空に向かって指を差し出せば、ものの数秒も待たないうちに、その指先に秋茜がと まって来ます。 子どもたちは虫かごに入りきらないほどの、秋茜を捕まえています。 気が早いと笑われてしまうかも知れませんが、夏が過ぎ秋が来ると、もう冬の事を 考えてしまいます。そして冬の事を考えると、もう今年も終わりだなあ、なんて思っ てしまいます。 今度の冬には帰って来られるのでしょうか。 最後にあなたとあってから、もう随分長い時が過ぎたような気がします。 それではまた、お便りします。
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