短編 #0561の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
【あるいはスターハンターと呼ばれた男の物語】 一日目 落ちるぅ。落ちる。落ちてしまう。 見ると計器はもう目茶苦茶だった。わたしは努力して斜めになった宇宙船を立て直 そうと努力した。しかし、無駄だった。努力しようとすればするほど、わたしの宇 宙船は辺境のド田舎星の大気圏にぐんぐん引きづられて真っ赤の炎を出している。 なんたることだ。この宇宙きっての名科学者と言われ、星々を調べることに人並外 れた情熱を燃やす異端学者として一部のものからは認められていた。また、その異常 さから人々はわたしのことをスターハンターなどといい陰口を叩いているのも知って いた。 スターハンター、うううういいなあ。その響き、この自虐的な言葉が永遠に人々の 口から語られる限り、たとえベムがぞろぞろ出てこようとも、クオールが黒い触覚を 持って襲ってこようともわたしは宇宙を旅するつもりだった。 二日目 放射脳管理不備のため、銀河凡庸社発行の宇宙地図にも載っていない辺境のド田舎 星に不時着するとは考えてもいなかった。宇宙飛行ライティングエンジンともいう放 射脳のようすを見る。まずは培養液の密度を調べてみる。塩度は適当、脳内で自然発 生する麻薬物質エンドルフィンの量が多いのがわかった。これでは歌をうたっても愛 がいくらあっても飛行が不可能になるはずだ。やはりクローンにクローンを重ねた脳 ではどこかに負担がかかってくるのだろう。 オリジナルは今どうなっているのだろう。 本当に困った。困った。 三日目 昨日とかわらず、放射脳の測定に昼夜を問わず没頭する。まずわたし自らがラリッ た状態になる必要がある。わたしは酒を飲まなくてもラリることができる。わたしを 絶賛又は罵倒)する記事を読むだけでああいいワ、イイワとラリることができる。 (わたしの副業簡単お気楽ラリる方法に載せよう)ラリったわたしは電子状になり、 ラリった放射脳にダイビングした。ラリった放射脳はわたしに蜘蛛の糸を吐き出して きた。わたしは電子状になっていたのでなんとか抜け出すことができたが、分子状だ と危ないと感じたのだ。 途中でダイビング中止。やはりわたしのラリり方と放射脳のラリり方は違っていた ようだ。 その後、昼寝をしていたら次の日になっていた。 四日目 放射脳の修理は諦めて他の方法でこのド田舎星を抜け出すことに決めた。まずはこ のド田舎星を探検することにする。 持っていくもの。ハンカチ一枚、ポケットテッシュ一つ。これは低レベル学校教育 法の義務を受けていたころからの習慣で持っている。あとはもしものときの胃腸薬、 歯痛薬、目薬、懐中電灯、ツルハシ、凶悪怪獣がいたときの用心として機関銃、お菓 子などを持ちわたしは探検に出掛けた。 足に血まめができたので10K歩いたところで引き返してきた。 明日はバンドエイドを持っていくことにしよう。 五日目 今度は万全の用意をして、宇宙船から出ることにする。酸素あり、二酸化炭素有り の理想的な惑星だ。昨日はうららかな日和のため各種測定するのを忘れていた。がは ははは。こうして元気に生きているのだから、この惑星は安全なのだろう。ここは緑 も豊富にある。最初不時着してから宇宙船の窓から竜らしきものがちょこまかと顔を 覗くことから生き物が生息する惑星ではあるらしい。 他の星の生き物とのファ−ストコンタクトは大変難しい。ちょっとしたこと誤解か らいがみあうこともある。わたしの思い出に残る二百九十五番目の惑星のでは先住民 族たちがコンタクトの際にいきなりわたしの頬を張り倒してきたことがあった。わた しは腹をたて、宇宙船から一発ぶちかましてやったた。 後で知ったことだがこの二百九十五番目の惑星では相手の頬をより強く張り倒すこ とがより親愛な愛情を持つ挨拶だということがわかった。まあ証拠の星がなくなった ため、宇宙ポリに見つかりさえしなければ完全犯罪で永遠にみつからないだろう。そ れにいずれ形あるものは滅びる。彼らは最後に実にきれいな流れ星になったのだから 彼らの霊も浮かばれることだろう。 つまらぬことを書き込んで、風呂に入ると眠気がさしてきた。睡魔に襲われダウン。 六日目 今日はヒューマロイドタイプ原住民とのファーストコンタクトに成功した。先住民 は、背中に大きな卵を抱えていることを除けばわたしとほとんどわかりはない。彼ら が背中に持つのは動きやすくするためであろうと考える。彼らとは言語コミュニケー ションができなかったが、身振り手振りの会話では、友好的な種族であることがわか った。原住民たちは付近に生えている草を食べて生きているらしい。わたしも興味も 持って草を食べて見た。まずい、とんでもなくまずい。どうして原住民どもはこんな まずいものを食べているのだ。後で腹が痛くなるといけないので胃腸薬を飲んで寝た。 七日目 昨日食べた草はどうやら彼らの赤子用食料だったようだ。どうりでミルク臭い味が したと思った。彼らの食料事情というのは一風変わっている。まず赤子がミルク臭い 草を食べ、続いて離乳食風草を食べ、それが過ぎると惑星全体に生えている草すべて が彼らの食料ということになる。それに彼らの他の動物と言えばあの竜たちのみであ る。先住民も面白いが竜たちも面白い特性を持っている。竜は肉食獣が持つ牙を持っ ているのに、先住民を食べようとは注意を払おうとはしない。それどころか竜は草食 であるらしい。わたしはカレー味の宇宙食を食べながら、明日はウドン味のものを食 べたいと思った。 八日目 わたしが持っている器具に先住民は限りない好奇心を現し、じゃれまわる。彼らに は、無邪気な子供といったところか。子供といえばこれまで調べ上げた先住民に生殖 器らしきもの発見されず。これまでいろいろな惑星を巡ってきて、これは希有すべき 特徴である。生殖器がないということは繁殖ができないということだ。しかし彼らの 組織の一部の培養、頭をぶつ切りにして脳細胞を取ったり、その他もろもろの科学的 医療行為の結果彼らは胎生で生まれてくるのがわかった。なぜなら先住民にはヘソが あったのだ。 九日目 この惑星には大きな洞窟が数箇所あるらしい。その場所を案内するように先住民に 言うと皆一様にして、首を横に振る。わたしは無理をして行こうとすると、彼らは泣 いて石を投げてくるものだから、これには参った。宇宙船へ帰る途中、二匹の竜が一 カ所をひっつけて、何やらうんうんうなっていたのを見たが、あれは何だったのだろ う。 十日目 先住民のところには寄らず、直接洞窟に行こうと考える。ある程度検討をつけ一日 中歩いていると、洞窟らしきものが見えてきた。生暖い空気が奥から洩れてくる。中 に何かいるらしい。更に入ろうとすると今までで無関心だった竜が襲いかかってきた。 どうやらここは惑星に住むものにとっての聖域らしい。 十一日目 昨日、一昨日と行けなかった洞窟に再度挑戦してみようと思う。洞窟に行く途中、 道端に大きな卵が落ちているのを発見した。先住民たちが背中に追っているのと同じ ものである。わたしは好奇心にかられ卵にとびついた。とびついたとたん、洞窟のこ とはどうてもよくなり、卵が愛しくて堪らなくなった。なぜそんな気分になったのか わからない。卵から発せられるフェロモンのせいか。これはわたしのための卵だとな ぜかわかった。卵はつるつるとして、心地よかった。わたしは上半身の服を脱いで直 接卵を抱いた。背中に置くともっといいような気がした。背中にあてるといいようの ない快感が全身に走し、何を洩らしてしまった。 十二日目 あれから痛みともかゆみとも何だかよくわからない快楽に襲われて一睡もしていな い。生まれてから一度としてこんな快楽を味わったことがない。卵と接している皮膚 がどろどろに溶けていくのがわかる。どろどろに溶けた皮膚を両手でごにょごにょと かき回すうちに、卵がぐいぐい背中の奥に埋もれていくのがわかる。そのたびにわた しはひぃひぃ悲鳴をあげて悶えまくった。 夕方ころ、強烈な睡魔が襲ってきた、起きようと思っても、全身麻酔を受けたよう に身体が動かなくなってしまった。 十三日目 目が醒めたら背中の卵がとれなくなっていた。卵とわたしの表皮がひっついてしま ったのだ。鏡を見て驚いた。鏡に写ったのは、卵を背負った人間カメと化したわたし だった。以前のわたしなら、そんな姿になってしまって嘆き哀しむところだろうが、 不思議とそんな感情は湧いてこなかった。それどころか、卵を抱いて嬉しいような恥 ずかしいような妙にくすぐったい気持ちになっている。母親の気持ちとはこんなもの だろう。 十四日目 卵を背負ってから、先住民の言葉がわかるようになった。そして、あの洞窟のこと を思い出すだけで、身が縮む思いがする。どうしてあの恐ろしい洞窟に行きたいと考 えたのだろう。 十五日目 落ちついて考えて見ると、これは幸せを運ぶ卵だったのだ。今ではあの狭苦しい宇 宙船から離れ先住民と一緒に暮らしている。先住民の生活は思ったよりもいいものだ。 先住民の住居で一緒に寝て、いろいろな草を食い、そして毎日楽しく遊んでいる。身 体が異様に軽い。皺だらけの皮膚がつるつるに延び少年のような顔になっている。わ たしの生殖器は縮んでなくなってしまった。 十六日目 宇宙で過ごした記憶がなくなり、こうして日記を書くのも、嫌になってきた。この 世界はなんて暖かくていいものなのだろう。この惑星に落ちてきてよかったと思って いる。 十七日目 先住民たちは、わたしに優しかったが、とりわけ仲のよくなったのは、澄み切った 瞳を持つ少女だった。わたしと毎日一緒に遊ぶ。 十八日目 あの少女がいなくなってしまった。一生懸命探すが、少女はいない。わたしを追い てどこかに行ってしまったのだ。わたしは一人わんわん泣いた。 月日未定 最近は月日を数えるのもわからなくなっていった。原住民は最初わたしが見たもの よりも美しく感じる。青い太陽、赤く染まる海、こんな理想的な環境がわたしを待っ ているとは思わなかった。 月日未定 あれから幾日たったのか、もうわからない。人間としての意識は残っているが、ラ イフスタイルはまるっきり原住民と同じ生活をしている。わたしはとても幸せです。 とうとうあの洞窟に行く日がきてしまった。わたしにはわかる。背中に抱いている 卵がぴくぴく動いているから、わたしにはわかる。一歩、一歩足元を気をつけて歩ん でいく。洞窟の中には、たくさんの竜が眠っている。竜の腹は大きく何かが入ってい るみたいだ。ぱりぱりと背中の卵が割れていく音が聞こえる。ああ・・・思わずわた しはうめき声を立てた。卵が割れ、中から一匹の竜が飛び出した。そして、わたしを むしゃむしゃと食べてしまった。 ・ ・ ・ わたしは目覚めると竜になっていた。そうだったのだ。この星では幼児の人間を竜 が食べられることで、成竜となるのだった。 人間と竜が一緒の種類だったのがわかる。わたしが、洞窟から出ると竜となったエリ カが待っていた。そしてわたしたちは空に飛びたっていった。 「おわり」 $フィン
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