短編 #0444の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「くじら」 そもそもの始まりは、くじらだった----。 空にぽっかりと、雲のように浮かぶくじら。 それも、デフォルメされたアニメチックなくじら。 誰がこんな馬鹿げた事が起こると言うことを、想像しただろうか? 各国の頭上には巨大なくじらが、我が物顔で泳いでいるのだ。 日本の自衛隊や各国の軍事勢力は、偵察機を何機も飛ばして、くじらを観測してい るらしいが、全ての観測機のレーダーには、そこにそんな物は存在しないと言うデー タだけが、虚しく弾き出されていた。 そこにいる筈のくじら、しかし、機械の目は否定する。 人々は最初の内は動揺し、やがて慣れていった。 マスメディアはくじらを追い続け、政府機関はくじらを黙殺した。 空を見上げると、いつもくじらがいる以外は変化のない日常。 何故、それが見えるのかは分からないが、見える以上は存在するのだろう。 そう、くじら達が行動を起こすまでは、誰もがそんなことを考えていたのだ。 突然起こった、くじらたちの地球脱出劇。 宇宙めがけて跳ねる度に、水ならぬ大気が宇宙へと飛び散って拡散していくのだ。 人々が息苦しさを感じた時、初めてとんでもないことだと気がついたのだ。 しかし、現在の科学技術では到底打つ手もなく、為す術も無いまま酸素ボンベだけ が飛ぶように売れた。 やがて、くじらたちの地球脱出も終わり、混乱の後には何事も無かったかのように 平穏な日々が戻って来た。 もちろん失われた大気分、息苦しくなってしまい、酸素ボンベはあいかわず飛ぶよ うに売れているが、それ以外はなんの変化もなかった。 くじらたちは何のために現われて、どうして去って行ったか分からないが。 ただ、くじらたちのいなくなった空は、何故か寂しく人々の目に写った。 (おわり)
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