短編 #0431の修正
★タイトルと名前
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涼しく薄暗いフロアに、壷が置かれている。嘗ては白く輝いていたであろう磁器 の肌は、膨大な時間が擦り込まれ、茶色にくすんでいる。 博物館を訪れる度、壷の前に立ち止まり、私は暫し思考を浮遊させる。この壷の 持ち主、綾姫と呼ばれる小さな戦国大名の娘だったのだが、三国一と謳われた彼女 の美貌を思い浮かべる。辺りを見回す。触れてみる。滑らかな、冷たい感触が指を 伝い、大脳を刺激する。 思い出す。綾姫は白い、むっちりとした尻をしていた。豊満、それでいて張りの あるヌメやかな膚は、幾多の武将を魅了してきた。それ故、この弱小な大名家は乱 世を生き延びることが出来た。 彼女は一族のために、肉体を近隣の武将に与えていた。彼女にとって、それは生 き延びるための戦闘であり交渉であった。彼女の肉体は近隣の武将に征服され陵辱 されたが、それ故に彼女は独立を保った。次々と時の勢力家に所有され、結局のと ころ、誰の物でもなかった。 しかし私は、私だけは、姫の見事な尻を独占していたのだ。毎晩、城の片隅、そ れは暗い小部屋だったが、彼女は私に尻を差し出した。私は、思うさま、彼女を堪 能した。彼女は強張り、まるで苦痛を訴えるように低く呻き、喘ぐ。行為が終わり、 彼女は安堵とも未練ともつかぬ溜息を漏らす。羞恥を含んで、濡れた尻と股間を拭 う。しかし、立ち上がり、部屋を出ていく彼女の顔は、傲然たる姫の顔に戻ってい る。 私は知っていた。彼女との関係は、私の運命だと。私は彼女の為に生まれ、存在 していたのだ。 「済みません。閉館の時間ですので……」。突如、現実に引き戻された。振り返 ると、既に馴染みとなった学芸員が、申し訳なさそうな笑顔で立っている。「あ、 あぁ、済みません。いつもギリギリまで粘っちゃって」「良いんですよ。でも、コ レに可成りの御執心ですね。まぁ珍しい品ではありますが。はは、貴方もチョッと 変わってますな」。学芸員の言葉に私は不快を感じたが、黙って出口へと向かった。 押し殺した怒りの言葉を胸に仕舞い込んで。 自分を、便壷の生まれ変わりと信じているなどと、言えやしないのだから。 お題>「博物館−スカトロ男の妄想−」終わり
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