短編 #0398の修正
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月と指輪 宵寺 松虫 明治三〇年のある秋の夜、熱海の海岸に満月に照らされた二つの 影が歩いていた。先を行くのはマントに角帽の学生姿の男、すこし 離れてあとに続くのは和服の若い女だった。 男が立ち止まった。 「宮さん」 男が振り向く。 「貫一さん…」 女が立ち止まる。しかし、宮は貫一の顔をまともに見ることがで きず、すこし横を向き、うつむいた。胸の前で右手に重ねた左手の 薬指には、月に照らされてダイヤモンドの指輪が輝いている。貫一 の目がその光を捉え、ついに押さえていた感情を吐き出した。 「宮さん、君はその富山のダイヤモンドに目が眩み、許婚者のこの おれを裏切ったんだな!」 その言葉に宮が顔を上げて寛一を見た。 「貫一さん、違います」 宮が貫一に近寄ろうとした。つい出してしまったのは左手だった。 「よるな、この売女!」 指輪を見た貫一は逆上し、下駄を履いた足で宮を蹴り倒した。そ して月を仰いで言った。 「見ろ、あの満月を。おれはこの夜を、この恨みを忘れはしない。 来年の今月今夜のこの満月も、再来年の今月今夜のこの満月も、お れの涙で曇らせてやる」 だが、貫一の約束は果たされなかった。貫一は習慣的に旧暦のつ もりで毎月同じ一五日が満月と思っていたが、暦法はすでに明治六 年に改正されており、次の年には月齢で十一日、さらに次の年には 月齢で二二日ずれてしまって、満月にはならないのだ。 <おしまい> 『金色夜叉』の細かい台詞は忘れてるから、オチのために現代風に意訳してし まいました。しかしWX3って「売女」を変換しないのね。 しかし、いきなり外すやつである>私
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