短編 #0307の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
おぅ、久しぶり。俺だよ、俺、伊井だよ。以前「言葉遊び 幼い」って書いてた だろ。あれ以来かな。本業の探偵が忙しくってよ。なぁに浮気の調査と結婚前の 素行調査ばっかさ。適当にしてりゃイィ。なんたって俺は人格者だかんな。二人 の平穏な幸せのためにも、イランことをほじくり出さん方が良かろ。 ところでさ、俺、最近、頭にクんことあるんよ。亜細亜、って言葉。まるで元か ら日本語みたいなツラしやがってよ。「亜」って下位レベルを示す語だろ。って こたぁ「細亜」って、”ちょっと下のレベル”ってことだよな。だから、「亜細 亜」ってなぁ、”ちょっと下のレベル、というよりも下のレベル”って意味にな る。こんな卑屈な言葉を自称している民族(群)が他にあるかってんだ。 あん、何だって? ASIAって英語だから西洋語として解析しろだと? どー せ西洋人のスるこたぁ、タカが知れてるじゃねぇか。そんな必要ねぇよ。……解 ったよ。解ったってば。……亜細亜、アジア、ASIA。リディアの町の名前、 後に其の周囲の地方名。英語の辞書には肝心なことが書いてねぇな。語源が解ら ねぇじゃねぇか。えぇっと、リディアって時代によって違うだろうが、ペルシア かギリシアだよな。ペルシア語辞書はっと。あった、あった。ふーん、同字異義 語として、製粉機、水車、挽き臼か。ワケ解んねぇな、これじゃ。と、なると残 るはギリシア語か。ασια、ασια……。あった。なになに、アジアのこと か。そーかー、そうだと思ってたんだよ。じゃ、そーゆーことで。……って引き 下がると思ってやがるのかっ、この馬鹿辞書! あぐううっっ、こ、興奮すると 持病の癪がぁぁ。はあはあ、えぇっと、単独じゃなくって、接頭語としてはある みたいだな、同字の綴りが。うーむ、どうも「……ではない」という意味だな。 アンチ、みたいなもんか。アジア、アンジア、アンジァ、アンヂァ、アンヂ、ア ンチ……。チと苦しいが、まぁ西洋人の考えることだ、こんなもんだろう。 とゆーことはぁ、アジアって、もしかして、「我々とは違った奴等の土地」とか 「我々の生まれ育った所とは違う土地」ってことなんじゃないのか? 「我々」 って誰だよ。え? 誰のことだよ。少なくとも日本人のことじゃねぇよな。この 場合は、ギリシア人、そして、その言語や文化を継承した奴らだよな。じゃ、何 かい。「我々はアジア人」っていう言葉は、「我々は、我々とは違った奴等」っ て意味なのか。こりゃ矛盾なんやないか。ギリシア人が言うなら良いよ。「彼ら は我々とは違った人間」って意味になるから。でもよ、日本人が「我々、アジア 人」って言ったら滑稽だよな。まぁ西洋人にケツの毛まで抜かれて、民族的な自 己統一性ってヤツを喪失してるんだろうな。こーゆー事、言う奴ぁよ。「我々、 我々でない人間たち」だってよ。”文学的”だね。けっけっけ。 おほん。とにかく、俺ぁアジアって言葉が嫌いなんだよ。意味が如何であろうと、 この際、関係ない。西洋人の言葉を、自分の名乗りに使いたくないって単純な理 屈さね。我々の基準は我々であって、彼らではない。それを何だぁ、「へっへっ へ、どぉも、エイジアンでおま」って揉み手でもせえっちゅうんか。南蛮人のク セして、最近、ってここ数百年、生意気なんだよ、アイツら。 そーだよ、アイツらが「NANBAN」と自称するなら俺だって「ASIA」と 言ってやらぁ。漢文化圏の共通理解として西の蛮族は戎(じゅう)って言うんだ よな。「NANBAN」が憶えにくいってほどアホなんやったら、「JU」にし てやっても良い。何? 二人称代名詞と重なる? そんなん知らん。それは彼ら の都合であって、我々の都合ではない。あっちが譲るなら、こちらも多少の譲歩 を考えてやらんでもないが、あっちが妙な押し付けをしているのを、諾々と、い や、嬉々として受け入れるなんざぁ、筋が通らねぇ。 何だよ、困る? なんでえだよ。アジアの代わりの言葉が無い? 別に良いじゃ ねぇか。無けりゃ無いで、これから作れば。そーだなー、既存の語彙を使うとな れば、「三国」ぐらいかな。本邦、唐、天竺。本邦は自国のことだな。唐は中国、 というか中心になる国。天竺は、それ以外の国で、お釈迦様がお住まいだって噂 だが、俺も会ったことないから……。ま、この三国が日本人に理解可能な世界だ な。則ち南蛮人の謂う所のアジア。こっちから言うと、奴らがアジアだがな。だ からさ、アジア人を自称する奴らってなぁ、非国民、いやさ、非三国人ってとこ だな。南蛮人の走狗、東洋人の皮を被ったバテレン。世が世なら、蓑踊りでもさ せるところだが、其処までは言わねぇ。三角木馬でジワジワと……。へっへっへ。 あとがき:久作です。伊井暇幻は架空の人物ですので、お間違いなく。実は昔、 「鬼畜探偵・伊井暇幻シリーズ」というのを書いていたのですが、そ の主人公です。ドジな探偵です。助手の小林純と、高橋美貴とともに 難事件を解決したり、しなかったりという単なるエロもの。間違って も推理小説ではない。これは架空の人物が語った架空の言葉遊びです。
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