短編 #0304の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
父は早く死んで、母と子だけが遺された。母は十四のとき、子を産んだ。子は十 五になった。母は美しかった。子は母に似て美しかった。ある朝、母は隣で眠る子 に性を感じた。子は母に似て美しかった。全身を、まさぐる。母は変化した物を口 に含んだ。跨り、喘いだ。目を覚ました子は、母に導かれ獣になった。 母子は夜毎、愛し合った。まだ白く華奢な子は、シナヤかな肢体を母の豊満な肉 体に包み込まれ、何度も吐き出した。母子は抱き合い絡み合いながら、夜の闇を漂 った。母が、妖しく輝きだした。子は母に牝の臭いを嗅いだ。母は子に雄の臭いを 嗅いだ。 一人の男が母に目を付けた。無防備な家に押し入り、母を組み敷いた。激しく抗 う母を殴打し、衣を剥ぎ取った。涙を流し身を固める母を四つん這いにして、尻か ら犯そうとする。男の背中に、棍棒が振り下ろされた。不意を衝かれた男は崩れ落 ち身悶える。子は男を屋外に蹴り出す。皆が驚き、そして男を嘲笑する。 男は、母子を憎んだ。自らの妄想を吹聴し、母子が肉の関係をもっていると、決 めつけた。自らの妄想によって、憎悪は増幅した。事実と偶然に一致した妄想は、 激しい効果を現す。周囲は母子を避け、疎外した。母子も自ら孤立した。溝は深ま り、断絶した。男は叫んだ。ケガレた母子を殺せ。周囲は、さざめいた。 ケガレは払わねばならない。長老がポツリと言った。男たちが駆り出され、母子 の家を襲った。火を放つ。夜空にノタうつ炎に、男たちは猛り狂う。陵辱と殺戮が、 男たちの報酬となるだろう。粗末な家は、簡単に燃え崩れた。しかし、母子は居な かった。村のはずれで、呼び子が鳴った。母子が見つかった。 母子は逃げた。追手は執拗に付いてくる。冬の茨に膚を掻き毟られ、枯れ木に足 を掬われた。凍るような夜に、母子の頬は汗と涙に濡れていた。寒さが痛い。母子 は逃げた。先は海だった。母子は追い詰められた。振り向いた母子の目に、槍の穂 先がギラつく。もう背後まで迫っていた。 海を見渡す。白い大地が広がっていた。母子は走り続ける。磯から流氷に飛び降 りる。叩き付けられる。母子は走り続ける。追手は暫く躊躇したが、続いて流氷に 飛び移る。吹きすさぶ風と裂け目から洩れる波音。追う者も追われる者も、真っ白 い喘ぎを吐き出している。やがて、氷の涯に行き着く。 立ちつくす母子に、槍を手にした男たちがニヂり寄る。荒い呼吸遣いが獣じみて いる。ナブるように、ジワジワと包囲が狭まる。固く抱き合い、互いに庇い合う母 子の視線は、真っ直ぐに男たちを射抜く。男たちは一瞬だけタジろぐ。顔を見合わ せ、雄叫びとともに、母子に襲いかかる。 ガクッ、氷の大地が裂ける。母子を載せた流氷は、いちど水面近くまで沈み込み、 盛り上がって、ユルユルと漂い始める。抱き合ったまま呆然と見つめ合う母子。タ タラを踏んで立ち止まる男たち。四人ほどが勢いを持て余し、暗黒の海にこぼれて いく。月が白く青く、流氷に乗った母子を照らしている。 漂う母子は抱き合い絡み合いながら、南へ、西へと流されていった。 (お粗末さま)
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