短編 #0303の修正
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★内容(1行全角40字未満、500行まで)
この文章は、以前、グループ・メールにUPした物です。 1 歌に出てくる煙草 今と違って昔は、煙草をかっこよさとか、粋なたしなみと考えていたのではないでし ょうか。 私の小学校時代は戦中から戦後(この言い方も古くなりましたね!)なので、ナツメ ロもその頃の物になりますから、皆様には全くなじみはないと思います。でもまあ、歌 詞を読んでみて下さい。現在の歌とは雰囲気がかなり違いますよ。 港シャンソン(岡 晴夫) 赤いランタン夜霧に濡れて ジャズがむせぶよバンドの風に 明日はどこやら七つの海だ 別れ煙草がほろ苦い 別れの夜汽車(竹山 逸郎) 送りましょうかおくられましょか つらい別れの夜汽車の笛よ 巡りくるやら来ないやらまた会う時が 男涙を笑顔で隠しゃ 煙草が苦い 私は軍歌も割合よく覚えていて、たまにラジオでそういう歌を聞くと、涙が出るほど 懐かしく感じます。勿論、戦争には絶対反対ですよ! 恩賜の煙草を頂いて 明日は死ぬぞと決めた夜は 広野の風も生臭く グッとにらんだ敵空に 星が瞬く2つ3つ 次のような歌もありました。 雪の進軍氷を踏んで どこが川やら道さえ知れず ままよ大胆一服やれば 頼み少なや煙草は2本 2 祈りに出てくる煙草 五郎さん、そんなに煙草がお好きですか? 私も今では全く吸わなくなりましたが、一時はかなりのHeavy Smoker でした。 家が貧しかったので、私は高校1年生から5年半の間、住み込みで按摩マッサージの アルバイトをしながら学校へ通っていたのです。 夜の眠気を覚ますためによく煙草を吸いました。けれども、お金がないので、時には 灰皿や火鉢の中を捜して、吸殻の長そうなのを拾っては、パイプに付けて吸うこともあ り、また、新しい煙草でも、一本を剃刀で四つに切って、一本で4回分吸ったこともあ ります。 愛煙家には申し訳ないのですが、当時から私は煙草を「百害あって1益なし」と考え ていたので、なんとかして禁煙したいものと色々やってみましたが、結局は駄目でした 。 じつは、話せば長い物語になりますが、私は苦学しながら、教員養成学校の入試を受 けることにしたのです(大変な苦労がありましたが、それについてここでは省略いたし ます)。 さて、入試は受けたものの、合格発表を待つ間、全然自信がありません。 いよいよ明日が合格発表という前の晩、夜中の3時頃に目がさめ、私はムックリ起き 上がると、布団の上に正座して、神様に一生懸命祈りました。 「神様、どうか私を合格させて下さい。もし合格できない場合、私はまた、今までの あの苦労を繰り返さなければなりません。神様!お願いいたします。私が見事合格した 暁には、必ず煙草を止めますので、どうぞ、この決心を汲み取って頂き、是非よろしく お願いします。」 私は信心深い人間ではなく、むしろ無神論者に近い方なのですが、「苦しい時の神 頼み」の例えのごとく、その時は必死で神に願かけをしたのです。 さて、その後どうなったとお思いですか? 幸いにも、私は教員養成校にパスして、現在に至っております。 「煙草はどうしたか?」っておっしゃいますか? 合格と聞くやいなや、私は飛び上がって喜び、こう言いました。 「万歳!!しめた!では早速、祝いの煙草を吸うことにしよう。」 3 夢に出てくる煙草 私は4回目の決心でようやく煙草をやめることができました。ヤマさんの言われるよ うに、何か病期がない限り容易にはやめられないものです。 中には「オレは煙草なんかいつでもやめられるよ。だが別にやめる必要などないし、 その気もないだけさ!」と言う人がいますが、それは口先だけのことで、いざやめたと すると、おそらく煙草が恋しくなり、結局はやめられないと思います。 「そんなことはない!現にオレは、今3ケ月やめてるが、吸いたくもなんともないよ !」 と言う人もいます。しかし、いくら3ケ月やめているとはいえ、また気が向けばいつで も吸える訳だから、何日やめていても平気なのです。本当にこれから一生外絶対に一本 も吸わないようにできるかどうかというと、「そんなこと必要ないさ。オレは今どうし てもやめなきゃならない理由がないし、やめようと思えばいつでもやめられるのだから 、 無理することもないさ。」という訳で、ようするに堂々巡りになるという、これはまさ に落語の世界です。 また、こう言う人もいますね!「オレは煙草はやめないよ!煙草で肺癌になるという が、煙草を吸わなきゃ健康かといえば、そうでもない。こんな美味しい煙草を吸って癌 で死ぬなら本望だ。」 しかし、どうもこれは負け惜しみのように聞こえます。やめられないから、自分自身 にそう言い聞かせて慰めているのでしょう。 もし本当に煙草をやめることができる人がいるとしたら、その人は体質的に煙草が好 きではないのでしょう。元々そういう人は煙草など初めから吸うことをしませんから、 やめる努力などいらない訳です。 なぜ私がこれほどまでに煙草のことばかり書くのか、皆さんは妙に思われますか? そうですね!私は煙草をやめて25年にもなるのに、今なお自分が不安なのです。「 煙草は肉体的な中毒ではなく精神的な中毒である」とも言われますが、まさしくその通 りです。 25年を経た今日、私の気持ちは、「煙草を吸いたい!」というのではなく、「いつ のまにか、禁煙を破ってしまいはしないだろうか?」という自分自身に対する不安なの です。 「そんなにまでして我慢するより、いっそ煙草を吸えばいいじゃないか!」という人 もいますが、それはできません。なにしろ私は精神力を誇りに思っている人間なのです から…。 (^_^;) 話は変わりますが、ある点訳ボランティアの言葉を私は忘れることができません。ご 存じと思いますが、普通文字の書籍を点字になおす作業は莫大な時間と体力と精神力を 要する仕事で、しかも、1点、1点と枚日単調で退屈な作業を続けて、何万ページもの 点字の本を作成して下さる奉仕者の方が全国に大勢いらっしゃいます。そういうボラン ティアのお一人が、ある時おっしゃった次の言葉を思い出します。 「わたしは枚日必らず点字を1ページ以上は書くことにしています。どんなに体の調 子が悪くても、これだけは続けています。そうしないと、1日が二日、二日が三日とい うように、やがて点字を書かなくなってしまいますから…。」 さて話を戻します。点訳ボランティアの美しいご行為と、私の煙草癖とを一緒にして はまことに失礼ですが、なんとなく共通点があるような気がするのです。 「枚日必らず1ページは点字を書かないと、つい怠け心に負けて、点訳が続かなくな ってしまう。」 私の場合は、25年間一本も煙草を吸わないことで、かろうじて喫煙の誘惑を振り切 っているのです。じつは、25年前から、一日、一日と、1本も煙草を吸わない日を積 み重ねてきて、それが現在に至っているにすぎないのです。「例え一口といえども煙草 を吸ってはいけない!」一口吸えばそれが1本になり、1本吸えば百本吸うのと同じこ とになるのです。 「分かった、分かった。もう煙草の話はやめて、別の話題にしろ!」とおっしゃらず 、 もう少しだけ私の駄文を読んで下さい。 私は今でも時々煙草の夢を見ます。 ここでまた、話を横道に反らしますが、時折晴眼者の方で、盲人に向かって、「目は 見えなくても夢は見るのですか?」と聞く人がいますが、夢というのは睡眠中に脳細胞 の一部が活動しているのですから、視覚的な事柄だけではなく、音や声や喜びや悲しみ など色々な心の変化が夢に表れて不思議はありません。(ちょっと補足説明をしました 。) 私の夢というのは、「煙草が吸いたい!」とか、「煙草が美味しい!」という夢では ありません。 色々な場面の中で、ふと気がつくと、うっかり煙草を吸ってしまっている夢なのです 。 「アッ!しまった!煙草をうっかり吸っちゃった!アア、とんでもないことをした。 せっかく今まで何年も吸わずに我慢してきたのに、これでオレの禁煙も終わりだ!残念 だ。かえすがえす口惜しい!どうしてこうなったんだろう?」 私の煙草の夢はいつも同じで、「うっかり」吸ってしまう夢ばかりです。人間どんな に精神力で頑張っても、「うっかり」には勝てない!という訳なのでしょうね。 現実には「うっかりして煙草を吸ってしまう」ということはありえません。煙草の誘 惑に負けるとすれば、それは「うっかり」などではなく、自分の精神力が足りないのに 違いありません。ところが夢の中では、いくら精神力を働かせても、「うっかり」吸っ てしまえば全ては水の泡であることを思い知らせているのですね! ところが、この数年、煙草の夢が変わってきたのです。「うっかり」ではなく、「よ ろしい。今日からオレは煙草を吸うことに決めた。決めたからには堂々と吸えばいいん だ。」そう自分に言い聞かせて、まことに美味しく煙草を吹かしている夢です。 人間の欲望はどこまでいっても果てしがありませんね! OAK
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