短編 #0121の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
わたしが、ひろちゃんのことをあいしているっていうことは、それはほんとう だよ。 この、いえにかえってきて、いま、お父さんや、お母さんといっしにくらして いるけれど、わたしは、ひろちゃんとふたりだけのへやに、ずっとずっといたかっ た。ほんとうだよ。 あさおきると、いつもひろちゃんはわたしよりもさきに、おきていたけれど、 わたしは、ひろちゃんの、すわっているせなかをみるのがすきだったもん。それ から、わたしもおきあがって、ひろちゃんのせなかにだきつくんだ。 「どうしたの」って、ひろちゃんがわたしのかおをみて、きく。 わたしは「ううん、なんでもないよー」って、いうんだ。そうしたら、ひろちゃ んは、わらいながら「おかしなやつー」って、いってくれるんだよ。 でも。 もう、一ねんもまえのことなんだね。 わたしは、いまもじぶんのへやにおいてある、ひろちゃんのしゃしんを、ぼーっ とみてたり、ひろちゃんのことを、いろいろおもいだして、わらっていたりする けど、でも、しゃしんをみていないと、ひろちゃんのかおをわすれてしまいそう で、こわいときもある。 たった、七か月の、けっこん生かつだったけど、わたしとひろちゃんとの思い では、もっと、いっぱいいっぱいあるんだ。それが、なんかきえていくみたいで、 こわいなあって思う。 こわい、こわい。 こわいようって、ないたりもして、それがしんどいなあって思っているうちに、 わたしはいつのまにか、ねむってしまう。 ゆめのなかで、わたしは、なんかわけのわかんない、すいそうのなかを、さか なみたいにおよいでいた。 お母さんの、こえでめがさめた。 「あきこ、でんわよ」って。わたしは、もうすこしべっどの中で、ねむってい たかったんだけど、とりあえずおきて、でんわぐちにでた。 「もしもし」わたしのこえは、じぶんでもわかるぐらいに、とてもねむそうだっ た。 「あ、おれ。げんき?」でんわのこえのぬしは、友だちのゆきはしくんだ。 ゆきはしくんは、ひろちゃんが生きていたころの友だちで、いまはわたしの友 だちになった。 「げんきだよう」 わたしたちは、いろんなはなしをした。ゆきはしくんの、しごとのはなし。わ たしの生かつのこと。えき前にできた、おいしい洋食やさんのこと。 ゆきはしくんは、おはなしがじょうずなので、わたしはけらけらとわらった。 ゆきはしくんも、はははとわらった。わたしたちは、ほんとうになかがよくって、 いつもこんなちょうしで、でんわしてる。 いつも、ながでんわになる。 「ゆきはしくんは、かの女ができたの?」 「そういう、あきこはどうなんだ?」 「あたしは、ひろちゃんがいるもんー」 けらけらわらっていると、なんだか、ほんとうにたのしくなってくる。ゆきは しくんは、ほんとうにいい人だ。 「ひまだったら、うちにくるか?」「うんいいよ」わたしは、ゆきはしくんの いえに、あそびにゆくことにした。 「じゃあ、これからいくね」わたしは、でんわを切って、へやにもどった。さっ ときがえをしてしまおうとおもった。 なにを、きていこうかな。ゆきはしくん、白がすきだったから、しろいふくを きていこうかな。 なんだか、たのしくなって、くるりと一かいてんした。 たのしいな、たのしいな。 あ。 しゃしんのなかの、ひろちゃんが、じっとわたしのほうをむいて、みていた。 「きがえてるとこ、みられるのはずかしいよー」わたしは、ひろちゃんのしゃ しんたてを、うしろむきにした。 ゆきはしくんのいえは、そんなにちかくなかったので、いえの前まで、くるま でむかえにきてくれた。 ふたりで、ぐるうっとまちをまわって、しょくじをした。 それから、ゆきはしくんのいえにいったんだ。 ゆきはしくんのへやは、きれいーにかたづいていて、わたしのへやよりも、き ちんとせいとんされている。 「すごいねー」わたしは、ほんとうにすごいなあとおもった。 ゆきはしくんは、わたしにこうちゃをいれてくれた。ふたりで、べっどにこし かけて、さっきのでんわのはなしのつづきをした。 「この前、ひっかけたってゆってた女のこは、どうしたの?」 「ああ、あれ? すごい、わがままでさ。おれには、ついていけないってかん じ」 「そうなんだあ。でも、ゆきはしくんって、いつも女のこひっかけてるんだね」 「そんなことないよ……そういう、あきこは、どうしてるんだ?」 「え? なにを?」 「なにって、ひろあきがしんで、もう一ねんになるんだろ。そのあいだ、して ないのか?」 「え? なに?」 「とぼけるなよ。きまってるだろ」 「え?」いやだよ、そんなはなし。いやだよ。 「一ねんも、おとこひでりだと、おかしくなったりしないか?」 「…………」そんなはなし、いやだよ。いつもの、ゆきはしくんじゃないよ。 ゆきはしくんは、ふっとよこをむいたわたしに、きすをした。 「しようか」 「…………」 わたしは。 わたしは。 わたしは。 なんか、もう。 いいやって、かんじだ。 なんだろう。 わかんない。 気がつけば、わたしから、ゆきはしくんにきすをしていた。わたしたちは、そ のまま、べっどによこになった。 ゆきはしくんは、じょうずにわたしをぬがしていった。 どれだけ、じかんがたったのだろー。 まどの外からは、あめのおとがざーざーときこえていた。わたしは、べっどで はだかになったまま、ぼーっとしていた。 なにをかんがえているんだろー。 じぶんでも、わかんない。 「あきこ、おれこれから、友だちとやくそくがあるんだ」 ゆきはしくんは、たばこをすいながらそういった。 「わるいけど、かえりはくるまでおくれないけど、だいじょーぶか?」 「だいじょーぶだよ」わたしは、いった。 「かさ、すきなのもっていけばいいよ」 わたしは、なんとなく、ここにいてはいけないんだなーっておもって、さっさ とふくをきてかえることにした。 「ううん、いらないよ。かさ」 なぜか、そういっていた。 すこしでもはやく、このへやをでたいっておもったから、かさをわたそうとす るゆきはしくんをふりきって、わたしはそとにでた。 うわあ。 すごいあめだ。 わたしは、かさのないじょーたいで、そとをあるいた。ざーざーと、ものすご く大きなおとがしている。 あまつぶが、かおにあたって、いたいぐらいに。 ほんとうに、いたかった。 わたしのふくは、どんどんぬれて、おもくなっていく。 わたしは、さびしくなっていた。 「ひろちゃん、ひろちゃん、さびしいよう」 わたしのめから、なみだがこぼれた。なみだのぶんだけ、あまつぶがおおくなっ ていく。 一つ、一つ、かおにあたるあまつぶが、わたしのことを、 「おろかだ、おろかだ」と、なぜかいっているよーにおもった。 おろかだ。 おろかだ。 わたしに、ぴったりなような気がした。 わたしは、たっているのもつらくなって、そのままみちにしゃがみこんで、な いてしまった。 (おわり)
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