短編 #0116の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
少女。 冬はますます寒さを厳しくさせて、駅からの夜道を辛くさせる。痛くなった耳を両 手で包み込み、オリオン座を眺めながら歩いた。 心なき溜息ばかりついている。夕食も喉を通らぬままに箸をおいた。そろそろ9時 を回ろうとしているのに、一人でいる光景はなんら珍しくない最近の日常。静かすぎ るから、テレビでも付けようとすると、なおいっそう引き立つように思えて恐かった。 ずっと寂しさを覚えていた。音のたたぬ家は、いくら広くたっていらなかった。不 自由しない小遣い。こんなものもいらない。可愛い猫を飼いたいと思っていた。愛ら しい名前をつけて、目をほそめる猫に口付けを何度もしたあと、毛並みを撫でて抱き しめる。きっとあたたかい。たまらなく。 すべての部屋から明かりを消しにまわった。いつもは闇になる瞬間が嫌いで、付け たままにしておくのだけど、今日はそうじゃなかった。風の音がごうごうと聞こえる。 階段をあがり、部屋に戻ると扉の鍵をかけた。しばらく軽く目を綴じて立ち止まっ ているが、やがてベッドに倒れ込む。両手で布団を抱きしめながら丸くなった。 溜息をついて。カチカチと部屋を刻む時計をみて。受話器をみつめて。ご自慢の髪 を手にとり、見つめているうちに早くなる心臓の鼓動を感じる。ベッドの頭にある写 真立てに腕を伸ばし、体育祭の日にそっとシャッターを押した写真をみつめて。それ に触れて。その指で自分の唇をなぞりながら、感じた柔らかさに物悲しくなった。 ベッドから降りて震える膝を両手で抱え込み、じっと電話機に目をおとした。毛布 を体にまきつけて小さくなる。ときどき手を冷たい受話器にのばしかけて、その度に 思いとどまる。 ピンクの絨毯に人差し指でありふれた告白。自分でも思えるほどの美形であるのに。 三日月にも気付かれず、誰にも気付いてもらえなくて、華奢な体に背負い込む。 すべてを覆い隠す静寂な夜は罪。
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「短編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE