短編 #0105の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
と或る大学、サークル長屋、薄暗い部室。五人の学生が何やら議論をしている。 「五行倶楽部」。彼らは五行、即ち百字以内での簡潔な表現を目指す文芸愛好会の 面々だ。 水田千里「何を、そんなにカッカしてるワケ?」冷たく言い放つ。 火野 勇「るせぇな、水差すんじゃねぇよ。この作品だよ、この作品。全編通して、 解ったような態度の皮肉に満ちてる。解った積もりになったら文学なん ざ、書けねぇんだ。こんなのは、文学じゃねぇ。だいたいなぁ、文学っ てなぁ……」精悍な顔に火がついた如く吠える火野の言葉を遮って、 水田 「何だって言うのよ。どっちが解ったような顔してるのかしら。文学の意 味なんて人によって違うでしょ。書かれたものすべて、文学だと思うわ」 土本 純「それは無意味な言葉だな。言葉って何かを限定して指し示すものだろ? だったら、内包を無限に広げてしまったら、逆に、意味が、無くなるこ とになる」突き出た腹を揺すって部長らしき貫録で喋る。 木崎浩一「確かにそうかもしれないけどぉ、それって平面的な意見なんじゃないか なあ。そう言うだけじゃ、言葉同士の重なり合いを説明できないような 気がするんだよなあ。言葉の意味は確かに限定されているけれども、互 いに重なり合って溶け合うこともあるんじゃないかなあ。言葉って柔軟 なものだろう?」白ウルリの優男だけに、言葉もグニャグニャしている。 金村健吾「そうして曖昧にする態度は問題だぞ。言葉の曖昧さだけ強調しても意味 がないんだ。言葉は、伝わるんだ。いや、伝えるための道具だ。此処に 注目すれば言葉が、個人間に共有されているのは事実だ。共有する以上、 制限があるべきだ」頑固そうな声の副部長だ。副って奴は何故か、硬い。 火野 「ちょっと待てよ。それは結果論だろ。文学ってなぁ、自己の表現なんだ よ。読者の為に書くんじゃねぇ。それに、言葉が通じるってのは前提以 前の問題じゃねぇか。その伝わる度合いに差が出てくるのは事実だろう がよ」目が切れ上がってきた。発狂寸前である。 水田 「だけど、火野君だって文学の意味を、自分の都合の良いように固定しよ うとしてるじゃない」冷たくあしらう。正体は雪女かもしれない。 土本 「固定は問題だが、限定は加えるべきだ」あくまで落ち着いている。 木崎 「言葉の柔軟性も考慮に入れて……」か細い声が間に入り込もうとする。 金村 「柔軟性にも制限があるだろぅ」木崎の声を断ち切る硬い声。 火野 「共有は結果なんだぁぁぁ」叫びが硬い言葉の語尾を流れさせ、溶かす。 ・・・・・・・・・・・・・・(五回繰り返し)・・・・・・・・・・・・・・・ 土本 「よし、呑みに行くか」これ以上カロリー摂取して如何しようというのか。 金村 「お、イイね。いつもの店かい」いつもの店以外の発想が無いらしい。 水田 「行こう、行こう」結局、この女は何でもイイのだ。 木崎 「でも、充実していたね、今日の部会」適応力のある奴だ。 火野 「俺、喉カラカラ。焼酎が呑みてぇ」火の酒なぞ呑ませたら余計危ない。 五人はジャレ合いながら出ていく。扉が閉まる。声が遠ざかる。残るは闇、混沌。 (了)
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