短編 #0098の修正
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「手紙」 井上 仁 俺は壁の大きな柱時計を見た。11:53を指していた。外の暗闇からは、なんの音 も聞こえては来ない。 明日は、世界が滅びる日だ。 他の人たちは皆、息をひそめてその瞬間を待っている事だろう。あと7分後にやっ てくるその時を。もちろん、心を好奇心で染め上げて。 俺以外のおそらく全ての人は、その時を、微塵も恐れていなかった。 今日会った俺の知人は余さず、手紙を受け取っていたからだ。 差出人など、どうでもよかった。その内容が、彼らの恐怖を消し飛ばした。 『我らは助かる』 しかし。 俺にだけは、その手紙はやってこなかった。なぜだ。俺は助からないと、いうのか。 そうだ、俺は死ぬんだ。世界の終わりだ。誰も死なない方がおかしい。俺はみんな の身代わりに、世界の終わりを一人で背負って・・・ちくしょう、差出人め。呪って やるぞ。呪って・・・いや、呪いません。手紙をくれたら一生感謝し続けます。だか ら、ああ、だから・・・ ・・・まだ、まだだ。 俺は残りの7分に、賭けざるを得なかった。 俺は、恐怖に震えながら、それでも息を殺してじっと、待った。 コトリ、外の郵便受けが鳴った。 −−−11:59 俺は外に飛び出した。郵便受けには、一枚の封筒が入っていた。 間に、合った。 俺は封を破って中の手紙を見た。そこには、たった一行。 『彼らは助かる』 柱時計が、時を厳かに告げた。
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