短編 #0079の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
街を賑わしている話題は、夜のドキュメンタリー番組「サタデータイム7」で取り上 げて、大々的に報じているY氏の画期的な発明についてであった。先週の続きで、今日 はいよいよ猿の言葉が聞ける。その場面が報じられることで7時前から、各家庭では待 ちかねて、茶の間のテレビの前に、集まっていた。 放送が始まった。K女性アナウンサーが画面に映し出された。 「皆様お待たせ致しました。<サタデータイム7>の時間です、本日はいよいよマスコ ミを賑わしております<時の顔>野生動物愛護会会長Y博士の発明について、地獄谷の 現地から、Y博士のお話をお聞きしながら、生中継で、お送りいたします。では地獄谷 のMさん、Mさん、よろしくお願いします」 画面が切り替わって、地獄谷のM女性アナウンサーが映し出される。 「お待たせ致しました、地獄谷からY博士のお話をお聞きしながらおおくりします」 Y博士の得意顔、満足気に頷く。続いて岩の上で手を合わせている野生猿。カメラが振 られて、餌台の前に野生猿が長い列をなして、整然と餌台の上から林檎を一個づつ取っ て林の中へ次々に駈け去る姿が映し出される。 「皆さん、この猿達が整然と餌台から餌を取って行くところを、よく観てください。先 生これはいったいどのような訓練をなされたわけですか?」 「訓練?ではないですね、説明の前に此方も見てください」 画面が変わって、谷間には、不似合いな洋館の建物、野生動物愛護教会の大きな表札 。その玄関に猿が並んでいる。建物の内、聴診器を片手に猿の病状を診察している獣医 の姿。 「これはまた、猿の診療所ですか?」 「そうです、この地獄谷の、怪我をした猿や病気にかかった猿達が、集まって来ている のです、入院する猿もいますし、また大怪我をした猿を仲間が連れて来ることもありま すね」 「僅か数か月の間に、地獄谷の猿を、これまでにてなずけられるとは、言葉も通じない のに、驚きます」 「其処がこの研究のポイントです、猿の社会にも、人間の社会と同じ言葉があるんです 。まあ、言葉というよりも、信号音声というべきか、その信号音声を分析解明して我々 の言葉を、猿仲間の信号音声に変換する装置を発明した、その成果です。いまその装置 を通して猿達に呼び掛けておりますので、あの通り、猿達は整然と林檎を一個づつ持っ て行くのです、明日もまた一個づつあげると言っているので、混乱が無いのです。聞こ えますね、あの、キィー、キィーと聞こえる猿の鳴声のように聞こえるのが、変換した 呼び掛けの音声です」 「素晴らしい発明ですね、そうしますと、猿と我々人間と話が出来る日も来ますね」「 その通りです。これがその変換装置で、そしてこちらが、その逆変換装置で、猿の信号 音声を我々人間の言葉に変換する装置です」 画面に、その装置が映し出される。 「はい、判りました、それで、今日画期的な発表がされる事になっておりますが」 「うん、それは、この地獄谷のボス猿が我々に感謝している、そのお礼の言葉をこの逆 変換装置を使って生放送で、お送りします」 「はい、わかりました、ボス猿といいますと、初めに紹介された、岩の上で手を合せて いた、猿ですね」 岩の上のボス猿が映し出される。 「そうです、皆さん見えますか、ボス猿のいる岩の下に頑丈な檻に納めてあるのが高感 度隠し無線マイクです、それでは是れからスイッチを入れさせます」 「さあ皆様、世紀の決定的瞬間です」 岩の上のボス猿が両手を揚げ、歯を剥きだす。 暫らく雑音が流れる。雑音が切れて変換音声が流れる。 「・・・・・・・・猿は、猿に育てられてこそ猿になれる、この地獄谷で餌を探し、何 を食べれば体に悪く、どうしてこの雪深い地獄谷で冬を越すか、それを体で覚えてこそ 、地獄谷の猿。餌を貰い、怪我をしたら、また毒の草を食べたら、人間に手当てをして もらえる、猿の姿をした猿でない地獄谷の猿を創って。それが、動物愛護か!お願いし ます、地獄谷の自然に人間の手を加えず、自然をそのまま、私達猿に残してください。 重ねて言う、こんな動物愛護を考えた、Y博士、君だけは許せない!・・・・君だけは ・・・・」 画面が急に歪んで、Y博士が立ち上がり慌てる姿とともに画面が流れて、音声が雑音 に変わる。 」完」
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