長編 #4881の修正
★タイトルと名前
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「あれが、爆発の中心にいながらなぜ死なずにべつの場所で発見されるのかわから ん、と話したのを覚えているだろう。あのとき、警官どもはたしかに呪装弾を発射 した。だが、増幅とその閃光化はそれ以前にはじまっていた。どういうからくりか はわからんが、おそらくあの瞬間にヴェリオは、べつの場所に転移していたのでは ないか、という気がするのよ。あくまで、気がする、というだけに過ぎんがな。な にしろあのときわしは、魔術師となって以来初めて、おまえたち一般人と同列の存 在になりさがっていたのだからな」 傲慢なものいいに、思わずハイムは苦笑した。 「師は、あの少年をまだ追いつづけるおつもりですか?」 問いかけに、老人は目をむきながら「もちろんだ」と答えた。 「あの少年がわれわれ人類にとってとてつもない脅威であることは、いまだに変わ りはないのだからな。そして――あの少年にとってわれわれ人類が脅威であること も、おそらくは、な」 「そうですね」 つぶやくようにいって、ハイムはしばし沈黙する。 が、断ち切るように、口をひらいた。 「ではヴィルデンハーン師。私は残務がありますので、ひとまず退散いたします」 「うむ。今度くるときは菓子折のひとつももってこいよ」 苦笑を残してハイムは立ちあがり、ベッドに背を向けた。 病室の扉をひらきながらふりかえり、老人の顔を見つめる。 「なんだ、気色の悪い」 毒をふくんだ言葉に、再度苦笑を返し、 「またごいっしょしたいものですね」 「仕事を、か? おまえはイルハベルクを離れることはあるまい。おそらくは、そ ういう機会はもうないだろうな」 「それは予言ですか?」 しばし、老魔術師は黙りこみ、それから白い髭にうもれた下でにやりと笑った。 「ただそんな気がするだけだ。フロリアとかいうあのお嬢ちゃんにも、よろしくい っといてくれ」 「仕事があけたら見舞いにくるよういっておきますよ」 「それだけはやめさせろ。これは命令だぞ」 強い口調で老人はいった。 驚いて、あらためて魔術師の顔をしげしげと見つめる。 「なんじゃ。とっとと仕事に戻るがいい。そんなにひとの顔をじろじろ見るな」 心なしか、頬が紅潮している。 魔術師というのも、ふつうの人間とかわらないな、と、ハイムはふと思った。 「くだらんことを考えるな。とっとと消え失せろ。でないと毎晩悪夢を送りつけて やるぞ」 口角泡をとばして、老魔術師はわめきたてたのであった。 ――了
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