長編 #4555の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
バカだよ。 生きるを諦めてしまうなんて、これ以上の愚かな行為は他にはないのだから。 それでも他に逃げ道がないのなら……。 バカだよ……こんな気持ちがわかったって、なんの意味もないのに。 それともボクは、彼女の気持ちがわかるということに満足したかったのだろう か? 一人が寂しかったんだ。 もう一人の自分をみて安心したかったんだ。 卑怯者だよ。 許される罪でないことはわかっている。 だから……。 風が心地よく、夕陽の光が少しだけ眩しく感じられる。 幼い頃からずっと見てきた夕暮れだから、最後ぐらいはしっかりと心に焼きつけ ておきたい。 ここから飛べば、すべてが終わる。 自分が生きていた時間を、自分自身の力で終わらせることができる。 なにもできなかったボクが唯一できること。 自己満足と自己陶酔と、そんなもので自分自身を正当化していく。 もう疲れたから……ボクにはもう何もないから……だから、すべてを終わらせる しかない。 誰かを知らずに傷つけてしまって、生きていたことに後悔をしてしまうから。 フェンスを乗り越えて、真下が見える位置に立つ。 ふいに風にあおられてぐらりと躯が揺れた。 とっさに右手がフェンスを掴む。 恐怖感。 自ら命を断とうという人間が、情けない話だ。 情けなくて涙がこぼれてくる。 もう終わりにしよう。悔やむのも、涙を流すのも。 でも……。 ためらい。 一歩足を踏み出せばそれでいい。簡単なことじゃないか。もしかして、ボクにはそ んな簡単な事さえできやしないのか? 怖くなんかない。何を今更踏みとどまっているのだろう。 終わりにするんだから……。 −それでいいの? どこかで声がする。 周りに人の気配なんてありはしない。臆病なボクの心が作り出した幻聴だ。 −本当にそれでいいの? やめてくれ。ボクの判断を迷わすのは。 −卑怯者。 誰が? −それはわかっているはず。 なんで? −考えることを自ら放棄してしまってる卑怯者だから。 ボクは、自分で考えてここへ来た。だから……。 −嘘つき。 本当に考えたんだ。 −じゃあ、なぜ迷っているの? それは、ボクが愚かなくらい臆病者で、何もできなくて、何も知らないから。 ボクはなんにもできない、まるで駄々をこねる子供のようだから……。 死ぬことさえできないから。 −違うよ。 そうだね。ボクは生きようとすることさえ、できないと決めつけていたのかもし れない。 嫌い。 だから、ボクはボクが大嫌い。 自分自身を否定して。できるならば消してしまいたいと思って。 そんな不安を抱きながら、ボクは誰かに自分を重ねてしまっていたのだろう。 同じ人間がいるということで、少しでも自分自身を肯定したかったから。 −もうわかっただろ? うん。そんな愚かな事を繰り返すのはやめたい。 本当に罪を償いたいのなら、ボクは消えてしまってはいけない。 ボクはボクの自らの居場所を作ることを諦めてはいけないのだ。 −でも忘れちゃいけないんだ。彼女の事も、ボクの犯した過ちも。 ** 結局、彼女とボクはまったく違った人間だった。そんな簡単な事にさえボクは気 づかなかったなんて。 他人を他人と認められて、自分を自分と認められるようになりたい。もう、あん な過ちは犯したくないから。 だから、強くなることがボクの唯一の償い。 何もできなかったことを悔やむのではなく、何かをできるようにならなくてはい けない。 どんなに辛くても、どんなに悲しくても、たとえ孤独であっても、ボクは生き続 けなくてはいけない。 それが罪を背負った人間の運命だから。 知らないことは罪となる。だから、ボクは大人にならなくてはいけない。 (2/2) 【少年時間】〜アラガエナイ罪〜 (了)
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