長編 #4471の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「さてどうしましょう、どうやって箱を開けましょうか?」 「どうしまようって言われてもねぇ。スパッ、って箱を斬ったり、ドカ ッ、って壊しちゃ・・・・・・だめに決まってるわよね、もちろん・・・・」 「もちろんだめです。マユカ、今本気じゃありませんでしたか?」 「ははっ」 笑ってごまかすマユカに、ふう、と本日二度目のため息をつく。明る く育ってはくれたが、まわりの環境のせいで一般常識がかけているのか もと、インストールは頭のコンピューターで分析する。つまり自分の教 育が失敗したかもしれないということだが・・・・・・ マユカとインストールは屋敷の一室ですわっている。倉庫ではおちつ かないだろうということで移動してきたのだ。 ここなら広いので、箱を開けるためにゆっくり考えられるだろう。 マユカが住んでいる屋敷はとんでもなくひろく、マユカもすべてを知 っているわけではない。宇宙開拓時代から土地がたくさんあまるように なってきたので、その時にかったものだ。なかにはまるまる星を買って いる人もいる。 マユカの母は日本人だが、宇宙船でとおくに出かけたときに原因不明 の事故で亡くなっている。大変に好奇心がおうせいな人だったらしく、 宇宙船にのってバンバン人が住めそうなところを探していたらしい。 そんな矢先の事故だった。まだマユカが小さかったころので覚えてい ないが、父がそれから秘書&補佐につかっていたインストールを自分の 教育係にしてくれたのは、そんなことがあってからなのだ。それから仕 事でいそがしい父やもういない母のかわりに、インストールはずっとマ ユカの両親役をしていてくれた。そしてきっとこれからもそうだろう。 「ええっと、おじい様が言っていたことってなんだっけ?」 「旦那様が得られなかったものをささげれば箱は開く、とおっしゃって いました」 「そうだったわね。けど得られなかった物ってなに?おじい様はこ〜ん なにお金持ちだったのに、なにが得られなかったのよ!?」 「さぁ、そこまでは・・・・・・」 念のために箱に仕掛けがないか調べたりいじったりしたが、なにも見 つからないまま終わった。結局はやはり祖父がいいのこした言葉にヒン トがあるのだろう、ということになったが、成果があがらないまま時間 だけがすぎていった。 まどの外で太陽が顔をかくし、月がかわりに出てきた頃になると、マ ユカは考えることも嫌になって半分ねかかっていた。 その間にコンピュータから情報をしいれてきたり、祖父の友人からそ れらしい話をしていなかったかなどと、インストールは忙しくかけまわ っていたので、マユカが目の前で寝ていてもいっこうに気づく様子がな い。 「・・・・ん?・・・・・・あ、わたし、寝てたのね」 やっとマユカが起きたのはもう夕飯のころだった。 「インストール、今日はこのへんで調べるのをやめない?」 まだ電話とコンピュータの間をいききしていたインストールにマユカ が声をかけると 「もう少し待ってください。マユカは夕飯でも食べたらどうです?もう 8時になりますよ、メイドの人がよびに来るころだと思いますが」 「わかった。インストールも無理しないでね」 「わたしはロボットですよ」 インストールが手を振っているのに答えながらマユカは扉を閉めた。 夕食を食べおえて、好きなテレビを見て、入浴をすませてもまだイン ストールは顔を見せなかった。 そのうちにあっちから来るだろうと思っていたが、あまりにも待たせ るので自分から先ほど箱をおきっぱなしにしていた部屋に足をむけた。 やがて長い廊下のむこうに扉がみえると、扉はわずかに開いて中から 光がもれているのがみえた。 こんなに時間がたっても部屋からでないなんて、今日はインストール の珍しいことばかりだわ。おかげで勉強の時間になってもインストール がこないからさぼれたんだけど・・・・・・ そんなことを考えているうちにやっと部屋の前について、マユカがゆ っくり扉を開いて中にはいった。 中ではまだインストールが忙しくしているはずだったが・・・・・・・・ 「 ! インストール!!どうしたの!?」 インストールは散らかった紙やフロッピーの中にうずまって倒れてい た。マユカがさっと近寄ってから、かがんで顔をのぞき込む。 「インストール!インストール!だいじょうぶ!?」 マユカが肩を揺さぶりながら声をかけると、インストールの黒くなっ ていた目がすこしばかり緑色の光にかわった。 よかった、まだ壊れてないとマユカが一安心すると 「マ・・・・マユカ・・・・・です・・か?」 その声からインストールが危ない状態だということがわかる。 「そうよ、わかる?わたしよインストール!何があったの?わたし、な にをすればいい!?」 マユカが必死で声をかけると、インストールは弱々しく答えた。 「はは・た・・だ・・・バッテ・・リーが切・・れ・・・・かかってる・・・んです」 「バッテリー切れって・・・・!あぶないじゃない!!予備はどこにしまっ てあるの!?すぐに取りにいくから!!」 「・・あ・さ・・・しまっ・・た・・・・ばかり・・で・・・しょう?」 「わかった。待ってなさいよ!すぐに戻るから!!」 そう早くまくしたてると、マユカは走って部屋を飛び出した! バッテリー切れ・・・・普通の機械ならたいした問題ではないかも知れな い。けれどインストールのようなロボットだと決定的な故障のひとつだ った。 インストールはそのデータを保存するさいに電気を使っているのだ。 普通のデータ保存と違って人間の記憶ににたように保存してあるので、 一回電気が切れるとそのデータが全て消えてしまうことになっている。 データにも様々な種類があって、言葉や一般知識のようなものは電気 が消えても無くならないようになっている。問題は動き出してから得た 記憶などのデータだ。主人の顔や声、その主人に関わることなどの全て は、動き出してから自分で入力したデータだ。こっちの方のデータは一 度電気が切れるとなくなってしまう。 ロボット(インストール)がまえの持ち主から次の持ち主に変わると き、前の持ち主が自分のことを知られたくない場合のための、一種のプ ライバシー保護のためにこのリセット機能がついているのだ リセットの方法は簡単、ただ電気をきればいいだけ。 つまりはバッテリーが切れれば、今までの記憶がなくなってしまうの だ。インストールがマユカの祖父の時からからずっと暮らしていた記憶 を永久になくしてしまう。それは人間でいうと死んでしまうことと同じ ことだ。 だってそうだ。バッテリーが切れてから他のものに替えても、その時 ははもうマユカが知っているインストールはいない。もう二度と会えな い。永遠のわかれ・・・・それを死といわずしてなんと言おう。 「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」 マユカはこの時ばかり広い屋敷を恨んだことはない。鬼ごっこをする にも広すぎたこの屋敷は、倉庫のところまで走って5分かかる。 「バッテリー・・・どこ?」 朝、自分とともに落ちたダンボールの中身があたりに散らばっていて 、いったいどれにバッテリーをしまったのかわからない。 「これでもない、これでもない・・・・」 ダンボールをひとつひとつ開けてみるが、どれも中身はどうしようも ないものばかり。閉まった何百というダンボールのひとつにバッテリー は入っているはずだった。 「これでもないし・・・・・・・・・・・わっ!」 何かに足を取られて転んでしまった。 そこで思わず手にとってしまった物が・・・・・・・・・バッテリーだった! 「し、しまい忘れてたんだ〜・・・・」 不幸中の幸い。ダンボールに全部バッテリーをしまったかと思ってい たが、一つマユカが手にもっているものだけは違っていたらしい。 バッテリーを片手にぎゅっと握りながらマユカは走った。 「お願い・・・・間に合って・・・・・・・!!」
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