長編 #4041の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
巨大なビームライフルの放出する熱で、陽炎ができている。サイボーグの男の 姿が、ビリーの視界の中で歪む。ビリーは甘い笑みをうかべたまま、言った。 「どうしたいんだ?」 「降伏しなよ、キャプテンドラゴン。ここを抜けでても、あんたはもう、無事に 自分の船へはたどりつけないよ。それなりの手配を、おれの仲間がしている。ま ぁ、あんたも相応の準備をしてここへきたんだろうが」 「いいや」 ビリーは、楽しげといってもいい口調でいった。 「おれの武器はこいつだけさ。他にはなにも用意してない」 サイボーグの男は、笑って言った。 「好きにいってな。とにかくおれは、あんたを生きたまま、パトロールへ引き渡 したい。そのほうが、なにかと都合がいいんでな。どうだい、死ぬか、降参する か、どっちだ?」 「降参するよ」 ビリーは、あっさりといった。 「オーケイ、まずその銃をこっちになげろ」 ビリーは、無造作に銃を投げる。サイボークの男は、足元にきた銃を見て叫ん だ。 「てめぇ、これはダミー!」 男が引き金を引く前に、ダミーの銃が炸裂した。大した爆発ではないが、男は 膝をつく。 「貴様…これ…は」 「AEE弾(アンチ・エレクトリシィティ・イクイップメント弾)だよ。あんた の身体を維持しているサイバーシステムは、機能を停止しているはずだ。AEE を至近距離で喰らうと、電子装備はおしゃかになるからな」 ビリーは涼しげに微笑んで言った。その手には魔法のように、本物の銃が戻っ ている。リンが、感心して言った。 「なんて、器用なの」 「特技なんだ」 「サーカスにいっても、手品師で食べていけるわ」 「ありがとう」 ビリーは、弾倉をスイングアウトさせて銃身からはずすと、銃弾を一発抜く。 かわりに腰のサックから、徹甲弾を取り出し補弾した。 ビリーは優しく微笑むと、動きの止まったサイボーグの男へ、徹甲弾を撃ち込 む。特殊金属で被甲され、火薬量を増量された銃弾は、サイボーグの男の身体を 貫いた。サイボーグの男は完全に機能を停止され、死んだ。 ビリーは手にした銃を、天井へ向かって連射する。轟音が響き、空カートリッ ジが煌めきながら、床に撒き散らされた。 「次は誰が死ぬんだ?」 人垣から出てくるものは、いなかった。ビリーは、リンに声をかける。 「いこうか」 「待ってよ」 「なんだ」 「ホットミルクを飲んでないわよ」 ビリーはうんざりした顔をすると、一息でホットミルクを飲み干す。 「これでいいか」 リンはにっこりと微笑む。ビリーはリンを盾にする形で、出口に向かう。出し なに、バーテンにコインを投げると、ビリーは甘い声で言った。 「次からは、ミルクに砂糖をいれたりするなよ」 ビリーとリンは、外に出る。ビリーは、そのまま宇宙港の施設の外に出た。外 は真夜中であり、静まりかえっている。道端に止めてあるジープに近づくと、運 転席に座っている、痩せた目付きの鋭い男に、声をかける。 「ヤン、依頼主をつれて来たよ」 ヤンと呼ばれた運転席の男は、リンの姿を見て目を丸くした。ビリーはリンを 後ろに座らせると、自分は助手席につく。ヤンが言った。 「依頼主って、まさか仕事を受けたんじゃ…」 「受けたよ」 ヤンはため息をつくと、ジープのエンジンをかける。 「まぁ、いいすけどね、私としちゃ最近の生活に退屈してたから。ただ、宇宙港 で、派手なことをしなかったでしょうね」 「しない、しない」 ビリーは、手を振りながら言った。 「派手なんてことは、しちゃいない。ただ、4人ほど殺したけど」 ヤンは絶句した。 「まさか、キャプテン・ドラゴンと名乗ったりは?」 後ろでリンが言った。 「私がいったわよ」 ヤンはジープを発進させると、大きなため息をついた。 「どうして、そんなやっかいばかり起こすんですか!キャプテン、あんたはいつ も事をややこしくする。だいたいですよ」 「落ちつけよ、ヤン」 「そうよ、落ちつきなさい」 「あんたに、言われる筋合いは無い!」 ヤンは後ろの席の、リンに向かって怒鳴った。 「キャプテン、我々はお尋ねものなんですよ、戦後最大級の。銀河パトロールの 巡洋艦が、百隻ほどこの星の軌道上に、待機してたらどうすんですか」 ビリーは夢見るように、微笑んだ。 「おれたちは、もっとタフな状況だって切り抜けてきただろ」 「そりゃ、あのころは戦争中だったから」 「そういうなら」ビリーは優しく笑う。「もう一度戦争をおこせばいい」 ヤンは絶句して、天を仰いだ。 「はいはい、好きにしてくださいよ、もう。あんたと組んだ、おれが馬鹿なんで すよ」 「いや、ヤンには悪いとは思っている。一応ね」 「はいはい」 「今だってほら」 ビリーは、前方を指さした。そこにはバリケードが築かれ、道路が封鎖されて いる。その前には、4体のパワードスーツが待機していた。 「こういう状況を引き起こしたのは、おれのせいといわれても、しかたないから なぁ」 ヤンは、車を止めると下を向いて、首を振った。 「まぁ、いいっすよ、どうでも。とことんやりますよ、こうなりゃ」 ヤンは、傍らに置いていた、グレネードランチャーを取り出す。AEE弾を装 填し、照準をパワードスーツに付ける。 4体のパワードスーツのほうでもこちらに気が付いたらしく、ビームライフル の銃口をこちらに向けていた。ビリーは、ジープにとりつけてあるバリアのスイ ッチを、入れる。 ヤンが発砲したのと、ジープが7色の光に包まれたのは、ほぼ同時であった。 ジープの回りで、無数の宝石が砕かれまき散らされたように、極彩色の光が跳ね 回る。 ジーブの回りの地面が、乱反射したビームのエネルギーを受け、炎の地獄のよ うに煙を上げ気化してゆく。ジープの前面は、狂気に犯された画家の造ったホロ グラムのように、原色の光が乱舞する。ジープのバリア発生装置が過負荷に耐え かねて、悲鳴をあげるころに、AEE弾が炸裂した。 一瞬にして、光の乱舞が消える。回りの地面は、灼熱地獄のように沸騰して煙 をあげてはいるが。4体のパワードスーツは、足元で爆発したAEE弾の発する 一時的な時空間の歪みの影響を受け、コントロールシステムが停止し、立ちすく んでいる。 「つっこむぞ、ヤン」 ビリーは、宇宙刀を抜くと叫ぶ。 「がってんだ」 ヤンはジープのエンジンをかけて、急発進させた。パワードスーツにはAEE 弾に対する自己防衛機能が組み込まれて入るため、システムがダウンしても数分 後には再起動される。 ビリーは宇宙刀のスイッチを、入れた。宇宙刀自体は長さ20センチ程の棒で あるが、起動することにより、1メートル程の黒い刀身が出現する。その夜の闇 より尚昏い刀身は、エネルギーフィールドが空間を歪めて創り出す疑似物質であ った。理論的には、無限の硬度を持っている。接近戦では、これ以上強力な武器 は無い。 ビリーは、車体をスライドさせながら急停車するジープから、飛び降りた。棒 立ち状態のパワードスーツへ向かって、宇宙刀を薙ぐ。 胴体を両断されたパワードスーツの上半身が、地面に転がる。その勢いで、も う一体のパワードスーツに宇宙刀を、叩きつけた。前面装甲が地面に落ち、中の パイロットの両断された上半身が、その上に落ちる。こぼれた内臓が白い蛇のよ うに、のたうちながら蜷局を巻いた。 残りの2体のパワードスーツの機能が、回復してくる。急激に動作させている 為、駆動モータが悲鳴を上げているパワードスーツに、ビリーは切りかかった。 ビームライフルの銃身を切断し、宇宙刀を下から上へ切り上げる。 下半身を縦に切られたパワードスーツは、膝を付き機能を停止した。残った一 体のパワードスーツは、ビームライフルにエネルギーのチャージを行っている。 ビームライフルの強制冷却装置が、エアを吹き出す。白熱した光が、夜の闇を 貫くのと同時に、ビリーは地面へ身体を投げ出していた。 宇宙刀で、パワードスーツの足を薙ぐ。足を切断されたパワードスーツは、後 ろに倒れた。その胴体へビリーは宇宙刀を突き立て、とどめを刺す。 ビリーは宇宙刀のスイッチを切ると、ジープへ飛び乗った。ヤンは、ジープを 発進させる。バリケードは、跳ね飛ばした。 「この程度で終わりってこた、ないでしょうね」 ヤンがうんざりしたように、言う。ビリーが物憂げに、頷いた。 「第2ラウンドが、始まりそうだな」 その言葉を裏付けるように、背後の空に黒い影が三つ現れた。瞬く間に接近し てきたその影は、ガンシップである。20ミリ機関砲を装備した、戦闘ヘリだ。 サーチライトが凶悪な輝きで、地上を舐め回す。 「豪勢だな」 ビリーは、小春日和のベランダで日光浴をしているような呑気さで、言った。 ヤンは、ジープのスピードを上げながら叫ぶ。 「キャプテン、後ろにあれがあります」 「やっぱり、あれか」 ビリーは、ため息をつく。リンが尋ねた。 「あれって何よ」 「D.D.C(デジタルデストロイキャノン)だ」 ビリーが平然と言った言葉に、リンの表情が凍りつく。 「D.D.Cって宇宙戦艦とかが、装備しているやつ?」 「正確にはパトロール艇だが、まぁ、そう考えていい」 ビリーは、漆黒の無反動砲のような形をした筒を、とりだす。ケーブルをジー プのジェネレータへ接続していく。 「D.D.Cって空間に歪みを作りだして、情報エントロピーを増大させて、シ ステム上にバグを自然に生み出すんでしょ。そんなの地上で使えるの?」 ビリーは、ヘリに照準を合わせながら言った。 「地上では使えないんじゃなくて、使われていないんだ」 D.D.Cが閃光を放つ。3機のヘリは一瞬燃え上がったように光に包まれる。 ふっと闇が戻り、3機のヘリは蛇行し始めた。 ヘリは空中を迷走した末、近くの林に落ちる。燃料タンクに引火したのか、火 柱が上がった。 「何か」リンが呆然として言った。「向こうのほうの街の明かりが消えたみたい だけど」 リンは、D.D.Cの射線の先にあった街を指さしていった。その街は、黒い 布を被せたように、闇に閉ざされている。 「街をコントロールするコンピュータが、死んだようだな。ま、D.D.Cの射 程を制御するのは難しいからね。しょうがない」 「地上でD.D.Cを使うと、近くの街が壊滅するといってるわけ?それはやっ ぱり使われていないんじゃなくて、使えないのよ」 ビリーは、恋人を口説く時のように、優しくいった。 「感性の違いだね。戦争に犠牲はつきものさ」 リンは、自分の呼び出した男が何者であるか、理解し始めていた。 「あんたに、高い賞金がつくはずだわ。キャプテン・ドラゴン」 ビリーは、楽しげな笑みをみせる。 「離発着場ですぜ、キャプテン」 宇宙港の施設は、一般旅客用シャトルの離発着用の施設と輸送船の離発着用の 施設は別の場所にある。ビリーたちのジープは、フェンスの破れ目を抜け、輸送
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