長編 #3904の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
10 夕暮れ時の繁華街は、仕事から帰る人々と、これから仕事が始まる人々が融合 し、どこか疲れたような喧噪で満ちていた。そろそろ、居酒屋に人が吸い込まれ はじめ、ピンクやグリーンのネオンがあちらこちらで灯りはじめる時間である。 風俗業の店の入り口には、黒服の男たちが立ち、勤め帰りのサラリーマンの袖を 引いては、数十分の快楽に誘い込もうとしていた。 美奈代はそんな人混みの中を、遠くの何かを見つめているような顔で歩いてい た。どこに行こうとしているわけでもなく、さまよい歩くことだけが目的である かのように。何人かの男たちが、美奈代を好奇の視線で眺め、その中の数人が声 をかけたが、あっさり無視された。 ふと気付くと、喧噪から離れて繁華街の裏通りを歩いていた。人通りも少なく、 空いている店は安酒を飲ませる得体の知れない飲み屋ばかりだった。狭い一方通 行の道路の片側に、路上駐車している車が並んでいた。街灯は薄暗いか壊れてい て、ほとんどその役目を果たしていない。「チカンに注意!」という警告の立て 看板が目に付く。 さすがに少しばかり不安を感じた。同時にこんなことをしている空しさが身に しみた。家に帰るのは気が進まないが、テレクラやツーショットダイアルなどで 時間を潰すのもバカバカしい。一人ではカラオケに行ってもつまらないし、クラ スメイトたちを呼び出しても、きっと理由をつけて断られるだろう。 取るべき道はひとつしかないように思われた。田上紀子にいさぎよく謝り、ク ラスメイトたちとの関係を元に戻すのだ。それはきっとつらいに違いなかったが、 これからずっと卒業するまで白い目で見られ続けるよりはマシだろう。 そう決心すると、少しだけ心が明るくなった。美奈代は駅へ向かおうと振り向 いた。 突然、薄暗い道路に光が満ちた。美奈代の後ろから、一台の車がハイビームで 闇を切り裂きながら走ってきた。それほどスピードを出してはいない。美奈代は 路上駐車している車と車の間に身体を入れて、車が通り過ぎるのを待った。 走ってきたのはトヨタのライトエースだった。行きすぎた、と思った瞬間、ラ イトエースは鋭いブレーキ音とともに急停車した。同時に、ドアがスライドし、 三人の男が飛び降りてきた。 腕をつかまれるまで、男達の目的が自分だとは思いもしなかった。気付いたと きにはすでに遅く、悲鳴を上げる間もなく口にタオルが詰め込まれていた。左右 から二人の男が、腕と足をつかんで美奈代を持ち上げると、車内に放り込んだ。 三人目の男は外からドアを閉めると、美奈代が落としたカバンを拾い上げて、助 手席に乗り込んだ。 ライトエースは急発進した。 たとえ目撃者がいたとしても、あまりにも鮮やかな拉致の手際に、ほとんど何 が起こったのかもわからなかっただろう。事実、少し離れた場所の飲み屋の客が、 ブレーキ音を耳にして、現場に顔を向けたものの、目に映ったのは、数人の人間 が動いていたことだけだった。もちろん、この客の酔いで麻痺した頭には、ナン バーをおぼえようなどという考えは浮かびもしなかったし、どちらにしても暗か ったせいで車種すら定かではなかった。酔客はライトエースが走り去って数秒後 には、このことを忘れてしまった。 「はい、橋本です」 『おれだ』 「どう?」 『うまくいった。うまい具合に、人通りが少ない駅裏を歩いてくれたから、一発 だった。たぶん見ていたやつもいないだろうな』 「そう。で、今は?」 『組のマンションだ。見に来るんだろ?隣の部屋から、マジックミラーとビデオ で見れるようになってるぜ』 「行くわ。私が行くまではじめないでよ。撮影の準備はできてるの?」 『できてるよ』 「すぐ行くわ」 美奈代は恐怖で混乱した頭で、ゆっくりと自分のいる場所を見回した。 どこかのマンションの一室らしかった。車の中で目隠しされていたので、ここ がどこなのかはわからなかった。ただ、それほど走ったわけではないから、市内 なのだろう。エレベーターに乗って、ここに連れてこられた後、目隠しは外され たが、手首は細いが丈夫な紐で固く拘束されていた。口にはタオルを詰め込まれ たままだ。 かなり広い部屋だったが、そのわりには調度類がほとんどない。部屋の中央に クイーンサイズのベッドが置かれていて、美奈代はその上に座らされていた。天 井には、通常の照明のかわりに、舞台に使うような小型のスポットライトが10 個以上吊されている。美奈代が向いている方にドアがあり、その横の壁に大きな 鏡が埋まっていた。 美奈代の背後には、一人の男がいて、何かの機材をいじっていた。振り向く勇 気のない美奈代は、鏡で後ろの様子を盗み見るしかなかったが、30才ぐらいで むさ苦しい無精ひげを生やした大柄な男である。無言で触っている機材は何なの かはよく分からなかったが、ビデオカメラのように見えた。市販されているハン ディカメラではない。さらに、首にはニコンの一眼レフを下げている。 これから何が起こるのかを想像すると気が狂いそうになってくる。一部のマス コミが強調するほど、女子高校生が男と遊んでいるわけではない。美奈代も高校 を卒業するまでは守りきるつもりだった。だが、最悪の予想があたっているなら、 今日、その誓いが破られることになるかもしれない。 ほんとうにあたしにこんなことが起こっているの? 美奈代は妙に現実離れした客観的な気分で、そう考えた。きっと、これは何か の間違いに違いない。誰かが悪戯でこんなことをしているのかもしれない。クラ スメイトたちが共謀して、これをたくらんだのかもしれない。もちろん、それは、 田上紀子に対するひどい仕打ちに対する仕返しなんだ。あたしがあんなことをし たから、みんなが怒るのも無理はない。でも、あたしは明日謝るって決めたんだ。 どうして、それまで待ってくれなかったの。あたしが謝りさえすれば、全てうま く言ったのに。由希先生だって、あたしを許してくれたに違いない。由希先生は どこにいるの?先生、どこ?どこにいるの……。 ドアの向こうから、物音が響き、美奈代の思考は破られた。数秒後、ドアが開 き、三人の男たちがはいってきた。三人ともトランクス一枚である。 一人は頭髪と眉毛をきれいに剃り上げていた。一人はパンチパーマで、両手の 指にたくさんの指輪をはめていた。一人は肩から背中にかけて、入れ墨をしてい た。 ヤクザ! 美奈代は恐怖に震え上がった。 美奈代の背後にいた男が、立ち上がった。手にカメラを持っている。ゆっくり とベッドを回って、美奈代を正面から捉えるとカメラを構えながら言った。 「はじめよう。たっぷり可愛がってやれ」 悪夢の宣告だった。 マジックミラーを通して、由希は三人の男たちが教え子に迫るのを見つめてい た。その清楚な顔に浮かんでいるのは、氷のように凍てついた表情である。同情 や憐憫などひとかけらも含まれていない。わずかにほころんだ唇だけが、由希の 心を表に見せている。 スキンヘッドの男が美奈代をベッドに押し倒した。もがく美奈代をあっさりと 力で抑え込むと、他の二人に合図する。男たちは美奈代の口からタオルと取り去 り、手首の紐を切った。 たちまち美奈代の悲鳴がマジックミラーを通じて聞こえてきた。 由希の唇がわずかに動き、冷たい笑みを形作った。 パーマの男が美奈代の両手をつかんだ。入れ墨男は、ばたばたと暴れる足首を つかんで持ち上げる。美奈代の身体は人形のように持ち上げられ、シーツを取り 去ったベッドの上に仰向けに放り出された。 悲鳴をあげて跳ね起きようとする美奈代を、頭の方に回ったパーマが後ろから 肩をつかんでベッドに押しつける。素早く入れ墨が右手をつかんで横にひっぱっ た。パーマも肩を離すと、左手をつかんでひっぱる。 両手を大きく広げた美奈代の上にスキンヘッドがのしかかってきた。 美奈代は叫びながら足でスキンヘッドを遠ざけようとしたが、相手は稚拙な攻 撃をあっさりはねのけると、両足を割って巨体を近づけた。太い手がブラウスの 衿をつかむ。 ブラウスを破られる!美奈代はもがいた。だが、スキンヘッドは意外にもボタ ンをていねいに外しはじめた。だが、美奈代をいたわっているわけではないこと は、スキンヘッドの欲望に血走った目からも明らかだった。 ボタンを外し終わると、スキンヘッドは満足そうに美奈代を見下ろした。 カメラが近くに寄ってきた。 スキンヘッドがブラウスを開いた。 白のブラジャーが男たちの目の前にさらけ出された。 スキンヘッドの手がブラジャーの上から乳房を包み込んだ。 美奈代は身をよじった。 男の太い指が、乳房の谷間にねじこまれた。またもやていねいに外される、と の予想に反して、スキンヘッドはブラを力任せにむしり取った。背中のホックは 一発で破壊され、美奈代の瑞々しい乳房は、覆い隠すものをなくして直接空気に 触れた。 恐怖に恥辱が勝り、美奈代は金切り声で叫んだ。 カメラは美奈代のバストショットを撮り続けていた。それに気付いた美奈代は 顔を横にそむけたが、パーマ男が乱暴に顔を正面に向けさせた。 目を開いていることが耐え難くなってきた。だが、まぶたを固く閉ざしても、 男達の視線が乳房に注がれていることは痛いほどわかっていた。 美奈代の恥辱の時間を長引かせようとするかのように、男達はしばらく手を出 そうとしなかった。実際に十秒にも満たない時間だったのだが、美奈代にとって は耐え難いほど長く感じた。 不意に、右の乳首に、柔らかく濡れたものが触れた。思わず美奈代は息を呑ん で身体をそらした。それを押さえつけるように、左の乳房がスキンヘッドの手で わしづかみにされる。 嫌悪と恥辱の悲鳴がもれた。 美奈代の純潔が次第に犯されていくのを見つめていた由希は、目をそらさない まま口を開いた。 「あのカメラの人は?」 「あいつはマゾなんだ。女をやるより、女に踏みつけられる方が好みってやつだ よ。だから、カメラマンに選んだんだ。我を忘れて、カメラワークがおろそかに なると困るからな」 「悪いわね、克也。危ない橋渡らせて」 克也と呼ばれた男は、苦笑してタバコに火をつけた。 「今さら何を。あんたが香奈にしてくれたことを思えば、これぐらいどうってこ とねえよ」 「香奈ちゃんは元気?」由希の笑みが暖かみを帯びた。「しばらく会ってないわ ね」 「経過は順調だ。薬の量もだんだん減ってきてる。うまく行けば、来年の春には 自宅療養に移れるかもしれねえって」 「それはよかったわ。退院したら会いに行くから」由希はそう言うと、笑みを消 してつぶやいた。「それまでには、こっちのかたもついてるだろうし」 スキンヘッドが美奈代の乳房を荒々しく吸いながら、スカートに手を這わせて きた。すでに抵抗する体力は失われつつあったが、それでも腰を必死で動かして、 スキンヘッドの手を避けようとした。だが、両脚を開かれた状態では、それも思 うままにならなかった。スキンヘッドは、美奈代の抵抗など意にも介さず、慎重 にスカートのホックを外すと、巧みにずりおろした。 白いショーツは、美奈代の全身ににじむ汗で少し湿っていた。スキンヘッドは、 満足そうにそれを眺めると、美奈代の脚の間から身体をどけた。 たちまち美奈代の両脚は貝のように閉じ合わされた。だが、スキンヘッドはシ ョーツに両手をかけると、一気にそれをずり降ろした。 美奈代は弱々しい哀願の呻きをもらした。 スキンヘッドは顎を動かして合図した。 美奈代の両腕を抑えていた二人が手を離した。美奈代は、何が起こったのかわ からずに、一瞬動きを止めた。すかさずスキンヘッドがベッドの頭に回ると、美 奈代の両手首をつかんで、再び押さえつけた。 カメラマンがベッドの反対側に移動し、閉じられた美奈代の下半身にレンズを 向けた。同時に残りの二人は、両側のベッドサイドに回り、それぞれ美奈代の膝 をつかんだ。 カメラマンがうなずいた。 二人の男が美奈代の膝を無理矢理折り曲げた。 次に何が起こるのかを悟った美奈代は、いやいやをするように首を振った。言 葉にならない哀願の呻きが唇からもれる。 カメラは動かない。 いきなり膝が両側に力いっぱい開かれた。 美奈代は絶叫した。 男の手が触れたことのない場所が、隠されることなくさらけ出された。美奈代 は必死で脚を閉じようとしたが、二人の男が脚を抱え込むように押さえつけてい た。 カメラが接近し、冷たいレンズに全てを撮した。カメラマンは、カメラを固定 すると、一眼レフを手にして、続けざまにシャッターを切った。フラッシュが、 何もない室内を浮かび上がらせる。 スキンヘッドの男は、ロープで美奈代の両手をベッドに固定すると、ベッドの 後ろに回り、欲望をさらに高めようとするように、美奈代の下半身を観察しはじ めた。 そのまま数分が過ぎた。美奈代にとって、生涯で最も長い数分だった。
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「長編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE