長編 #3597の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
フレヤ殿と同様、記憶を封印されるおつもりか」 ヴェリンダは、夢幻の花園の中で微睡む乙女のように、微笑んだ。 「お前の意見など、聞くつもりは無い、クラウスよ。再び、太古の夢へ戻るがいい。未 来を愁えるな、古の夢だけを抱いていろ」 クラウスは、口を閉じた。その金色の瞳は、ヴェリンダを見てはいない。その視線は 魔族の王女を通りこし、礼拝堂の入り口へ向けられていた。 その大きな入り口の扉の影に、黒衣の魔導師が佇んでいる。ドルーズであった。 「これは、おそろいで、皆様」 その顔は死者のように蒼ざめ、その声は墓地を渡る風を思わせた。荒廃した大地を哀 しむ女神のようなその美貌は、黒衣の上に白く輝いて見える。 訃報を知らせる為、大地に降り立った黒い鳥のように、マントを靡かせドルーズはあ ゆみだす。死せる神を悼むように、その目を伏せたまま。 一同は、無言でドルーズの登場を見守っていた。ドルーズは、あたかもこれから喜劇 を演ずる道化のように、魔族の王女と神官、最後の巨人と神の造った模造人間、そして 人間にして魔族の夫である男の前で、優雅に一礼する。 「オーラの間者殿、まずは礼を言っておきましょう。この宮殿の真の主ともいえる邪神 ゴラースは、我が掌中に納めました」 ブラックソウルは慈父のように、微笑んだ。 「ほう、いったいいつの間に?」 「たった今ですよ」 巨大な獣達が、どこか地下奥深い所で目覚め、唸りをあげ始めたように、その瞬間空 気が蠢いた。宮殿自体が巨大な生き物であり、その生き物が息を吹き替えしたように、 奇妙な波動が地底より立ち昇ってゆく。 「それでこの宮殿を、支配したつもりかね」 クラウスは、いたずらをした子供を見つめる親のように、笑っている。ドルーズは平 然と笑みを返す。 「さてね。この宮殿の存在する空間、これ自体が、我々の生きる宇宙から切り放された 、虚空としての小宇宙といえます。その小宇宙に意志があり、その意志が邪神ゴラース になるのですが、この小宇宙は様々な物理的接点を我々の宇宙に持っています」 ドルーズは、教義を伝導する信徒のように、語った。 「つまり、無数の次元回廊というべきものがあり、その接点としてこの小宇宙がある。 例えば、こんなふうに」 ドルーズの足元に、五芒星が輝いた。空気の焦げる臭いが、あたりに立ちこめる。礼 拝堂全体が電気を帯びたように、透明な輝きが拡散した。 「貴様、」クラウスが呻いた。 「ゴラースの道を開いたな」 ドルーズは夢見る乙女のように、美しく微笑んだ。礼拝堂の中に、エネルギーの塊が 生じていく。それは、白く輝く光の球体となり、クラウスの回りを囲んだ。 光の球体は、全部で五つある。ドルーズは黒衣に包まれた右手を上げ、さっと降ろす 。それと同時に、輝く球体はガラスが砕けるように拡散し、光の中から青灰色に光る鋼 の巨人が姿を現した。 「機動甲冑だと!」クラウスが、呻くように言った。 五体の鋼の巨人は、フレヤとほぼ同じ背丈である。その体の厚みは、フレヤの倍以上 あった。鋼の巨人達は、その手に持つ4メートルはある槍を、クラウスに向けて構える 。 「貴様ら!」 クラウスは叫んだ。しかし、魔導の力を使う暇は無かった。五本の長大な鉄柱のよう な槍が、クラウスの体を貫く。真紅の血が、漆黒の肌の上に散る。 「なめたまねを」 クラウスの金色の瞳は、死んでいない。むしろ、激しい怒りに燃え盛っている。ドル ーズは親しい友人を見るように、クラウスの視線を受けとめた。 「さようなら、旧世界の支配者」 クラウスは、両手を天に掲げる。目映い極彩色の球体が、出現した。青灰色をした
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「長編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE