長編 #3589の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
ケインの口から、呻き声がもれた。ブラックソウルの余裕の意味が判った為だ。 (あの野郎、左手と同じ位、右手を使いやがる) ケインの右手は、左手よりスピードが落ちる。ブラックソウルが右手の水晶剣を、左 手で操るのと同じ速度でできるのなら、コンビネーションでの戦いは、ブラックソウル の勝ちと決まっていた。 (負けたな、こりゃ) ケインは、他人事のように、思った。 (こりゃあ、死ぬわ) ジークは待ちの構えと、なった。自分から、しかけるつもりは無い。今度は二人とも 、足を止めている。二人の間に空間が歪みそうな、緊張が流れた。 (来るか!) フレディの殺気が極限まで高まった時、すっと張りつめていた気が消えた。フレディ の視線が宙をさまよう。 (何?) ジークは、フレディの目の中に、怯えがあった。その視線は、ジークを越え、ジーク の背後にむけられている。ジークの背後には、この礼拝堂への入り口があった。つまり 、その入り口から何者かが、入って来たということだ。 魔族でないことは、確かである。魔族は、フレディの敵では無い。とすれば、魔族以 上の敵が、出現したということだ。目の前のジークを忘れ、隙だらけになってしまうほ ど、畏るべき敵が。 ジークは後ろに退がり、ゆっくり振り向いた。 ブラックソウルが右手を使い始めたとたん、ケインは守勢にまわった。ブラックソウ ルの攻撃を防ぐのに精いっぱいであり、反撃の糸口が無い。 そしてついに、受けきれぬ瞬間がきた。ケインは、死を確信する。 (やられた) しかし、その一撃は来なかった。無限に思える数秒が、過ぎる。ブラックソウルは、 動きを止めていた。ケインは、ブラックソウルの黒い瞳の中に、感動の色を感じとる。 (何が起こったんだ) ケインは、混乱した。勝利を手にする直前に、それを投げ捨てるようなことが今、起 こっているらしい。おそらく、ケインの背後で。 ブラックソウルの目はケインの背後へ、いっていた。そこに、何かがある。 (くそっ、何んなんだよ、一体?) ケインは素早く後ろに下がり、振り向く。衝撃が、ケインの精神を揺さぶった。(こ いつは) 礼拝堂の清浄な光の降り注ぐ下、そこを一人の巨人族の女戦士が歩いている。純白の マントを纏ったその姿は、地上に破壊と殺戮をもたらす為に降り立った、凶悪の大天使 を思わせた。 金色の炎のように、歩にあわせて髪が揺れ、清冽な真冬の青空のような瞳は、地下の 淀んだ礼拝堂の空気を貫く。4メートルはある長身に一分の歪みも無く、古代の美神の 彫像のような、完璧さを誇示している。 そしてその巨人の美貌は、地上のものとはとても思えない。天上界に住まう天使です ら、彼女の前では色あせるであろうと思われた。 ケインは、思った。この完璧な巨人の前では、人間はまったく矮小で、とるにたらぬ 存在であると。 白いマントと鎧を身につけた巨人の傍らには、黒い影のような男が、つき従っている 。その男はつば広の帽子を目深に被って眼差しを隠し、冥界の死神のように漆黒のマン トで身を覆っていた。 荘厳といってもいいあゆみを止めた白衣の巨人フレヤは、凶々しい笑みを見せる。 「くくっ」 人間達は、白い巨人が低く笑うのを聞いた。 「こんな最深部まで、ムシけらが入り込むとはな。魔族の守りも、おそまつなものだ」 フレヤは、人間達に、侮蔑の眼差しを向ける。 「地上へ帰れ、地べたを這いずるものたち。
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