長編 #3583の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
浮かんできたからだ。 神々の愛娼のごとき美貌を持つ女の顔は、微睡んでいるかのように、瞳を閉じている 。その顔は次第に前方へ迫り出して行き、頭部そのものが現れいでようとしていた。 ドルーズがふっと瞑目した時、胸の女の目が見開かれた。銀に輝く瞳が、エリスを見 る。薔薇の花びらのように紅い唇が、微笑む形に歪む。 「お、お前は」 エリスは、驚愕の声をあげる。女の頭部は完全に胸から外へ出ており、銀色の長い髪 が床近くまで垂れていた。細くて長い首がドルーズの胸元から伸びてゆく。女の口から 、快楽による呻きのような声が漏れた。 それは明らかに、竜の首である。青ざめた爬虫類の鱗を持つ細長い首の先に、官能的 な美を備えた女の頭がのっていた。 突然、黒いものが二つ、ドルーズの背後に出現する。羽であった。巨大な竜の羽が、 黒い天使の羽のように、ドルーズの背に生えた。 そして首に続いて、竜の前肢が出現する。背中からは、羽に続い巨大な大蛇の胴のよ うな、尾が現れた。それが床の上で身を捩らせ始めた時、後肢が背から現れる。 そこに出現したのは、女の頭を持つ竜であった。ドルーズの上半身は、今や竜の背に 乗せられている形になっている。 「まさか、こんなことが」エリスの目は、驚きに見開かれていた。「エキドナよ、竜の 女王であるはずのお前が、家畜ごときの使い魔まで成り下がるとは」 邪竜エキドナは、美しい若い女の声で笑った。淫猥に口を歪めてみせる。 「お前は、魔導師エリスかい。我が主ドルーズを家畜と呼ぶのであれば、お前はいった い何様だい」 エキドナは、売笑婦のように微笑む。 「善神ヌースの僕である天使達が、地上を蹂躙するため天から降りてきた時。幾万もの 天使達が真っ白に大空を覆った時、お前たちはどうしたね」 エキドナは侮蔑の笑みを見せた。 「戦ったのは、私たち竜の一族だ。それとあの、恐るべき巨人達。お前達魔族は、私た ちの影で震えていただけじゃないかい」 エリスの顔が、屈辱で歪む。エキドナは歌うように、続けた。 「このドルーズはあきれた男だよ。私を支配する為に、自分の肉体を私に食べさせた。 そして、その肉体の骨身に刻み込まれた呪縛の呪文が、私の中へ取り込まれた。それで 私を束縛するのに、成功したのさ」 エキドナはクスクス笑う。 「お前達魔族には、この退廃的な地下の巣穴が似合っているよ。確かに人間には、世界 を動かしてゆく力がある。それがどこへ向かっているかは、知ったこっちゃないがね」 「しゃべりすぎだ、竜の首領」 エリスの瞳が輝き、再び異界への扉が開き始める。 「無駄よ、無駄!」 エキドナが、勝利の雄叫びをあげる。虹色に輝く光の渦を貫いて、エキドナは、エリ スに向かって跳躍した。 七色のガラスが砕け散るように,光の破片が散らばってゆく。エキドナの体は、異界 への扉を打ち砕いた。 エキドナの紅い唇が、恋人に口づけするように、エリスの喉笛におしあてられる。ざ くり、とエリスの首が喰いちぎられ、床に転がった。 エキドナは啜り泣くような歓喜の声をあげ、エリスの肉体を貪り喰ってゆく。内臓が 引きずり出され、心臓へ、あるいは肝臓へ愛おしげに、エキドナは紅い口づけを与えて いった。 最後には、骨のかけら、血の一滴すら残さずに、エキドナはエリスの肉体を喰らい尽 くす。そして、満足気に銀の瞳を、閉じた。 その時ゆっくりと、ドルーズの黒い瞳が見開かれる。眠りについたエキドナは、再び ドルーズの胸の中へと戻っていった。 羽が背中へと畳まれてゆき、尾が縮み背中へと消えてゆく。首が胸へと入り込んで行 き、微睡む美しい女の顔だけが残った。 その顔も次第に薄れてゆき、黒衣の下へ
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「長編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE