長編 #3576の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
0センチたらずの距離から、魔族の女の腹へあたった。その瞬間、真紅の爆発がおこっ た。 魔族の女が、苦痛の呻き声をあげる。腹部には、子供が通り抜けられるだけの穴が開 いていた。白い臓物がとぐろを巻き、地面に垂れる。足元には、赤い肉と血でできた、 水たまりがあった。 体の血肉の、三分の一を失い、心臓を貫かれた女は、その場に崩れ墜ちる。ジークは 、後ろに下がった。左手はもとにもどり、人間の手の形状をしている。 ジークの額は、汗で光っていた。後ろからゲールが、声をかける。 「なんだ、今のは」 「意身術だ」 ラハン流格闘術の奥義は、意をもって身を御し、意をもって無敵とすと言われた。す なわち、不随意筋も含めたすべての筋肉を意志の力でコントロールし、身体の持つ全て の力をある一点に集中するのである。 ジークは100キロを越える、自分の身体の全ての力を右腕にのせた。魔族の女の体 は、その衝撃にたえられなかったのだ。 その右腕による、一撃必殺の技を極意とするラハン流格闘術も弱点がある。極度の精 神集中を必要とする意身術は、攻撃の前に一瞬の空白を産む。その瞬間、相手の攻撃を 防ぐ為、左腕を鍛えあげるのだ。 ジークは膝をついた。全ての力を出し切った、代償である。 ケインは、左手を振った。今度は、魔族の女も動きを完全に見切っている。しかし、 誤算があった。今度の剣はさっきより速い。 魔族の女は、身体の移動だけでかわしきれず、杖で三日月型の剣をはじこうとした。 しかし、その剣は杖ごと魔族の女の体を斬る。 魔族の女の額から胸元、そして下腹に向かい、紅い線が走った。斬られながらも、女 は前へでる。ケインの両腕が交差した。 右手に操られる剣が腹を裂き、左手に操られる剣が足を薙いだ。女の膝から上の体が 、滑るように前へ出る。切断された足を後ろに残し、女の体が地に落ちた。そして、上 半身から、十文字に血が迸り出る。 ケインは後ろに跳んで、血を避けた。足を失った女は、腹を抑える。抑えた脇から臓 物が、はみ出していく。女は自らの血だまりの中へ、沈んでいった。 ケインの左手に持たれている剣は、形状は右手で操っているものと同一であるが、色 が違う。その剣は夜の海の色のように、暗かった。それは通常の水晶の倍の硬度を持つ といわれる、闇水晶で造られている。 その太陽の沈んだ後の、赤く黒い残照に焼かれる空のような色を持つ剣は、透明な水 晶剣よりもさらに薄く、さらに鋭い。その闇水晶の剣は鉄の鎧すら、切断することがで きた。ただ、それを操るには、肉体の限界を越えたスピードが必要である。 ケインがその師である、ユンクに学んだ無意識の想念を通じ、身体を操る術によって はじめて闇水晶の剣を操ることが、可能となる。ケインの右腕は、激しく痛みを訴えて いた。ユンクの技は、肉体が持つ耐性を越えた速度を要求する。度々繰り返せば、ケイ ンの右腕は筋肉が切れ、一生使いものにならなくなってしまう。それだけの、負荷を要 求する技なのだ。 ケインは両手の剣を袖内に納めると、ジークへ声を掛けた。 「そっちも片づいたか?」 「ああ、楽勝よ」 ジークは荒い息をしながら、言った。 「おい」ゲールが怯びえた声をだす。「やつら、大したダメージうけてないんじゃない か?」 「冗談だろ…」 そういったジークは、信じられないものを見た。腹を吹き飛ばされた魔族の女の体は 、急速に修復されつつある。腹にあいた穴の中へ、再び臓物は戻ってゆき、穴の回りの 筋肉はそれ自体が独立した生き物のように蠢き、穴を塞ごうとしていた。 もう一人の魔族の女も、切断された足を傷口にあて、再び繋ごうとしている。そして なにより、魔族達の目は、明白に力を失っていない。憎悪に燃え、金色の炎のよう
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「長編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE