長編 #3574の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
らない。 頭の中を、清浄な光が貫く。意識のスペクトルが変化し始める。闇のような恐怖を、 和らげるのにケインは成功した。手足に再び生きた血が通い始め、動けるようになる。 隣のジークも、ステップを踏んでいた。精神統一により、魔族の瘴気をはねのけたらし い。 「ようやく、おれ達にふさわしい相手が、出てきたじゃねぇか」 ジークが、楽しげにいった。ケインはそれが強がりだけではないと感じ、苦笑する。 (脳天気にもほどがあるぜ) しかし、その脳天気さは、多少心強くもあった。ジークは左手の包帯を、外す。漆黒 の闇に包まれた左腕が、姿を現す。 ジークはいつもの左半身を前に出し、黒い左手を振り子のように揺らすスタイルで、 魔族の女と向かい合った。滑るようにスムーズなフットワークで、間合いをつめる。白 衣の女は、金色に輝く瞳で、ジークを見つめた。その瞳の奥で、邪悪な精神波が、揺ら めいている。 目に見えぬ波動が、津波のようにジークを襲う。見ているケインのほうが、吐き気と 目眩を感じた。当のジークはつぶらな瞳に、笑みを浮かべたままだ。 「黒いお肌がセクーシーだぜ、ベイビ」 ジークの膚は蒼ざめ、肉体は衰弱しはじめているようだが、減らず口はそのままただ った。魔族は、暗い笑みをみせる。 「家畜は生きのいいほうが、旨い」 ケインは横に動き、もう一人の魔族の女を牽制する。背後でゲールが背中の荷物から 、火砲を出す気配を感じた。ただ、準備には多少手間取る。 (こういうのは、苦手だな) ケインはもう一人の魔族と向かい合いながら、心の中で呟く。ケインの技は、暗殺の 技である。普通であれば、ジークが正面に立ち、後方からバックアップするのが、ケイ ンの役割であった。ただ、この女達は、ジーク一人では荷がかちすぎる。ケインは、間 合いを測りながら、魔族の女に近づく。 (一撃できめるしかない) ケインの技は不可視であるがゆえに、有効である。見切られれば、それまでであった 。正面から向かい合えば、一撃目をかわせば見切られてしまう。 3メートル、そこが確実に決められる距離であった。ただ、近づくにつれ、邪悪な精 神波動は強力になってゆく。どこまで耐えれるか、疑問であった。 (いずれにせよ、やるしかない) 一方、ジークのほうは、軽くステップを踏みながら魔族の前に立っている。まだ、自 分の間合いに入り込む、タイミングが掴めていない。 魔族の女が持つのは、杖である。剣であれば、動きはおのずから限られていた。斬る か、突くしか無い。 しかし、杖であれば、足を払うことができる。槍のように、突くこともできる。メイ スのような打撃系の武器のように、叩くこともできる。 しかも、杖であれば、両端で攻撃ができる。一方の攻撃をかわしても、もう一端の攻 撃を受けることになる。 ジークとしては、間合いに入りにくい。魔族の女としては、待つ構えのようだ。ネズ ミをなぶる、ネコのような気持ちなのだろう。 (えい、いっちまえ) 待てば、体力の衰弱してゆくジークが不利だ。ジークは杖の間合いに飛び込む。杖が ジークの頭部めがけて、左側から襲う。 ジークは素早く踏み込み、鞭のようにしなる黒い拳を、放った。杖がへし折れる。ジ ークは、自分の間合いに飛び込んだ。 (いける!) ジークは、黒い疾風のような手刀を、魔族の女の胸へ突き立てた。確かな手ごたえが あり、指の根元もで胸の中央へ食い込む。 魔族の女は、慈母のような笑みをみせた。 「素敵だわ、お前は。魂の底まで貪ってあげる」 ジークの全身を真冬のような悪寒がはしり、左手をひこうとした。しかし、その左腕 は、魔族の女に捕まれている。
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