長編 #3569の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
が天上に向かって、燃え盛っているかのようだ。 まるで、自然の巨石のような曲線を多用した、黒曜石のように輝く壁は、複雑な幾重 にも入り組んだ螺旋を描き、天へと伸びている。それはまさに、群青の空の下に、黒く 輝く炎であった。 白衣のフレヤの足元から、ナイトフレイム宮殿に向かい、一本の白い道が続いている 。その両脇の地面は、広大な湿地帯のようであった。 「さて、行くか」 ロキがフレヤに声をかけ、湿地帯の中央を走る道に、足を踏み出す。黒衣のロキに導 かれる、純白のマントのフレヤの姿は、冥界を死神に導かれる死者のようにも見えた。 湿地帯は、黒く淀んでいる。頭上に広がる群青の空の光は、地上の光と異なり、全て を幻想的に蒼ざめさせているた。湿地帯の表面も青白い光が散乱していたが、その奥は 、濁った血のように黒く静かにゆらいでいる。 突然、水面が割れ、巨大な盲目の蛇のようなものが、目の前を横切った。それは直径 1メートルはありそうな胴体でアーチを描き、水面に波紋を造り、水底へと帰ってゆく 。 思わず剣に手をかけたフレヤを、ロキが止める。湿地は揺らぎ、波が白い道を濡らし た。 「心配するな。我々に危害を加えるような、生き物ではない」 フレヤは剣から手を離す。ロキが宥めるように、言った。 「かつて、善神ヌースと、邪神グーヌが地上の覇権を争い、幾億年もの長き戦いを繰り 広げる前、ああした生き物達が地上を支配していた。原初の黄金の林檎の光が地上を満 たしていた時代、そのころの生き物だよ。ヌースとグーヌの戦いには決着がつかず、ど ちらも地上から手を退くこととなり、地上は魔族の支配下に置かれた。そして魔族が地 下へ下った時、原初の生き物もそれに従ったということだ」 フレヤは改めて、湿地帯を見渡してみる。そこは、始めは静まり返った世界に思えた が、よく見ると様々な物が蠢いていた。 時折、球体の胴に、細く長い両性類の手足をつけた小さな生き物が、地表の様子を窺 い、水底へ帰ってゆく。広がる湿地帯は、大きな生き物が泳いでいるらしく、一瞬小島 のような背中を水面に見せたかと思うと、波紋だけを残し姿を消す。 「なるほど」フレヤは、どこか物憂げに呟いた。 「ここは、魔族たちの郷愁に基づいて造られた世界なのか」 ロキは、皮肉な笑みをみせる。 「そうさ。原初の混沌とした時代。いかなる神も共存をゆるされた時代。それを懐かし んで造られた世界だよ」 フレヤは微笑んで、言った。 「魔族が人間に、中原を譲った理由が判る気がするな」 ロキは頷く。 「もうすぐ、その魔族と会える。先へ行こう、地上に残った最後の巨人よ」 宮殿付近の湿地帯には、白銀の枝葉を持った植物が生えている。それらの植物は、ゼ リー状の透明の皮膜に、覆われていた。 その水辺に浮いたあぶくのような植物の間を、白い道は通っている。その白い道は、 黒い巨石のような宮殿の門に遮られていた。 ロキがその巨大な門を押す。音もなく、その巨大な門は左右に開いた。門の向こうに は、黒い通路が口を開けている。ロキは冥界へ続く洞窟のような通路へ、足を踏みいれ た。フレヤがその後に続く。 「これは珍しい。この宮殿に訪れる者がいるとは」 通路の奥から声がし、白い影が現れた。その影は、白衣を身につけた、魔族の男であ る。 魔族の男は夜の闇のような漆黒の肌に、輝く夜明けの太陽を思わす黄金色の髪と瞳を 持っていた。その微かにつり上がった目はアーモンド型であり、耳は先が尖っている。 闇の中で輝く黄金の髪と瞳を別にすれば、
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