長編 #3566の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
砲を持っていた。雷管式の、オーラ製の火砲らしい。長さは、五十センチほど、口径は 三センチほどだ。 陶器の榴散弾を発射するタイプで、陶器の砲の中に尖った鉄のかけらを詰め込んだも のが炸裂し、命中すれば人の頭を粉々にするくらいのパワーがある。男達は火砲を片手 で保持していた。 「楽しそうな玩具を、持ってるね」 ジークは、子供のように無邪気に笑って言った。 「射ってごらんよ。ただし、射つなら必ず頭を狙いなよ。それ以外の場所に当たれば、 あんたたち死ぬよ」 ジークはそういうと、左手を揺らす。黒い死神の鎌のように、左手が揺れる。火砲を 持った男達の間に、微かな動揺が走った。ゲールは、命ずる。 「射て!」 ゲールが叫ぶと同時に、座ったままのケインの右手が素早く動く。何かが空を裂く音 がした。 「うっ」 「つうっ」 火砲を持った男達の呻き声と共に、三本の指が木から落ちた芋虫のように、床へ転が った。男達の引き金に掛けられていた指が、鋭利な刃物で切断されている。火砲の銃把 が血に塗れた。 「こんな所でそんなもの、ぶっぱなしてほしくないね」 ケインの軽く挙げた右手の先で、何かが光った。それは氷のように透明な、剣である 。透明な剣の中で閉じこめられた光が、七色に輝き、あたかも清流が日差しを浴びて煌 めくように反射した。それは三日月型をした、刃渡り二十センチほどの剣である。その 一方の端にはエルフの紡いだ絹糸がつけられており、糸はケインの上着の袖口の中へと 続いていた。 ゲールが呻くように言った。 「水晶剣……、あんた西方のユンクの弟子なのか?」 水晶製の剣、それは武器というにはあまりに華奢で、かつ清冽な美しさを備えている 。ユンクは、その剣を使った剣術を開発した西方一の剣士であり、ケインの師であった 。 ケインは苦笑する。 「よく知っているな。物知り博士か、あんた?」ケインは水晶によって造られた、透明 の三日月型の剣を、袖口にある鞘へ納めた。水晶剣は、隠密性の高い武器である。肉眼 では捕らえにくい透明の剣を飛ばし、細くて丈夫なエルフの絹糸で操るという術を知る 者は、少ない。 ゲールは、片手をあげる。まわりの男達は、剣を納めた。傷を負った者は、奥へ退が る。 「あんた達を、本物と認めよう。ケインとジーク。あんた達となら、ナイトフレイムの 宮殿へ行くことができそうだ」 ジークはケラケラ笑った。 「始めっからいってんじゃん。おれは地上最強だって。ま、いいよ。お宝の話しようか 」 そういうと、ジークはどっかりと腰をおろした。ゲールはその前に腰をおろし、改め てジークの左手を見る。 まるで日差しの下の影が、実体と入れ替わったかのような左手を、ジークはテーブル に置いていた。ゲールが尋ねる。 「それにしても、どうやったら、そんな手ができるんだ?」 「この大陸の東南のほう、クメンとバグダッシュの間のあたりの密林地帯には、黒砂蟲 というやつがいる」 黒砂は鋼鉄以上の硬度を持つ、特殊な黒い金属の砂鉄である。その砂鉄の中には、黒 砂蟲というスライム状のごく小さな虫が棲んでいた。その蚤よりも小さな虫は、柔らか い体表を外敵から守るため、黒砂を使って殻を造る。 この黒砂蟲は、動物の体にへばりつき、その血肉を喰らう。そして、黒砂蟲は一匹々 は小さな虫だが、集団になると擬態を行う習性をもつ。すなわち、動物の体の一部分を 喰らうと、その喰った部分の擬態を行うわけである。 例えば、足を喰らえば足を、手を喰えば
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