長編 #3521の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「祥子たちはどこに行ったの?」 「さぁ、今起きたばっかりだからわからないんだ」 「理恵は?」 稔はそう言われるまで、理恵がいないのに気がつかなかった。 そして、辺りを見回したが、理恵の姿はどこにもなかった。 「散歩かな?」 美香はそう言った。でも、こんな遅くに一人で散歩に行くは ずがないと思っていた。 それから二人は、時間(トキ)が経つのも忘れて話していた。 祥子と剛が何を見たのかも知らず、3人がいなくなったのも忘 れるほどに・・・。 それから10分くらい経ったとき、突然草むらが激しく揺れ、 何かが走ってくるような感じの音が聞こえた。その時、風はま ったくと言ってもいいほど吹いていなかった。 「誰だ!」 稔が振り向きざまに言った。しかし、その音の主は何も言い 返さなかった。そしてまだなお、稔たちのほうへと向かって走 り続けてきてきた。 草むらから、「バサッ」と飛び出してきたのは昼間出会った 猫だった。 「昼間の猫かよ。たくー、ビックリさせるなよ」 「でも、この猫の体に血みたいのがうっすらと付いてるけど、 ケガでもしているのかな?」 稔はそう言われて猫を抱き上げた。 「いや、ケガじゃないみたいだ。でも、おかしいなー」 「美香〜」 暗闇の中から祥子の声が聞こえてきた。稔たちはその声が聞 こえる方へと、たき火の火の一部を持って歩み寄っていく。す ると、そばにいた猫が急に草むらへと走っていった。 「パット、どこ行ってたの」 祥子はパットを抱いて、稔たちの前へと表れた。 「どこ行ってたの祥子、理恵もいなくなっちゃったし・・」 美香が祥子に言った。それと同時に、理恵が昼間来た道から 姿を見せた。 「事情は後で話すから、ちょっと私に付いてきてくれない?」 祥子がそう言うと、稔は懐中電灯を出してきて、皆に渡した。 そして、その場所に行く前に、ある程度の状況を説明した。 「ということなの」 「で、剛がそっちに残っているんだな」 「うん。だから、なるべく早く行かないと、火がもたないの」 そして祥子たちは、剛の待つ場所へと走り始めた。 その場所までの道のりは至って簡単だった。ただの一本道だか らである。でも、所々獣道になっていて、走りにくいは所もある。 さっきまであった月は、薄雲に覆われていて、あの輝かしい光 が半分以上カットされていた。祥子はそんな夜空を見上げて思っ た。また何か、いやな出来事が起こるのではないかと。 行きには見なかったものが近くに落ちている。祥子はそれを拾 いあげた。それには「月光塚」と書かれている。確かこれは、キ ャンプ場の入り口と、女性の死体があった場所にあったと祥子は 思った。 祥子はその看板を草むらに立てかけた。そして、さらに先を急 いだ。 やっとの思いで剛の所まで戻ってきた。そこには、思いがけな いものが目に入ってきた。 女性の死体がなくなっていて、その代わりに剛が倒れていたの だ。 「剛、ねぇ剛。しっかりして、大丈夫?」 祥子がそう言って、剛を抱き起こした。 まさに、手品師が手の中でハンカチを消して、帽子の中から鳩 を出したような風景である。 「うっ、うぅ」 剛がようやく目をさました。後頭部を自分の手で押さえながら、 「祥子が稔たちを迎えに行って直ぐ、誰かに殴られて、気を失 ってしまった見たいなんだ」 剛はまだ、殴られた衝撃が残っているらしく、時折頭を押さえ ていた。幸いにも、出血はしていないようだった。 「それで、女性の死体はどこ?」 理恵が肩越しに言った。確かに、あったはずの死体はなくなっ ていた。 祥子は地面をじっと見ていた。すると、何かを引きずった跡が ついていた。 「これ、何の跡だと思う?」 祥子は指で指しながら皆に尋ねた。すると、 「死体を引きずったときにできたもの?」 「そうだと思うの。で、その方向は崖になっているの」 「ということは、死体は崖下に?」 「そう言うことになるな」 祥子たちはそう言って崖淵まで歩いていった。暗いせいもあっ て、あまりよく下が見えなかった。崖下は森になっている。明日 捜せば、見つかることは見つかると祥子は思った。 「で、どうするのこれから」 美香が皆に言った。 「とりあえず、朝になるまでキャンプ場にいよう」 稔はそう言うと、剛に肩を貸して歩き出した。 月にかかっていた雲は、いつの間にか晴れていた。それは、こ のいまわしき事件を歓迎するように輝きだった。 祥子は誰が剛を殴ったのか?そして、何のために殴ったのか? ひょっとすると、死体を発見したために?色々なことが頭を駆け 巡った。でも、剛が無事で、何よりだったと心の中で思った。 「こんばんは。ニュースの街の時間です。まず、行方不明のニ ュースです。2週間前から行方がわからなくなっていた木戸真理 子さん(19)は、何らかの事件に遭遇したものとみて、警察は 今日、捜索本部を設置して模様です・・・」 警視庁捜査一課の手塚晋太郎は、テレビでこのニュースを見て いた。晋太郎は2週間前から、この事件を地道に追っていた。 警察に捜索願が出されたのは1週間前で、非番になっていた晋 太郎は、この事件の解明のために繰り出されたのであった。 「それで、木戸真理子が行きそうな所は、わかったのか」 晋太郎は近くにいた部下に大声で言った。いや、言ったのでは なく、叫んだという方が適切である。 「はっ、はい。山梨県にある月光山という所によく行くと、親 と友人が言っていました」 部下は自分の手帳に書いてきたことを、ただ棒読みしていた。 なにせ、目の前にいるのは、新人狩りの晋太郎だからだ。ただ、 新人狩りをしているのではなく、訓練として行っているのである。 新人狩りとは「いらないものは捨てる、いるものだけを採用す る。努力無いものは必要ない」という考えをもとに、捜査一課に 配属されてきた新人を1人前に仕立て上げる影の努力者に与えら れた称号らしきものである。 「月光山か、で、そこには何があるんだ」 「ええ、(赤月光荘)という山荘がありまして、木戸真理子さ んはよく、その山荘を利用していたということです」 「赤月光荘」 どこかで聞いたことがあるように思えたが、ど こで聞いたか思い出せなかった。晋太郎はどこで聞いたかを思い 出そうとしていた。何か、重要なことのように思えたからである。 そして、 「プルルルル、プルルルル」 捜査一課の電話が鳴った。部下の一人が受話器を取った。 「はい、捜査一課。手塚警部ですか?はい、いますが、少々お 待ち下さい」 部下は電話を保留にして、 「警部。所長から電話です」 晋太郎にそう言った。 晋太郎はまたかと思って受話器を取る。 「はい。手塚ですが。はい、わかりました。では、後ほど」 晋太郎はそういうと受話器を置いた。机の上に広げていた、今 回の事件の書類を片づけた。それをカバンに入れると、晋太郎は 足早に部屋を出て所長室を目指した。 「コンコン」 晋太郎は所長室のドアをノックする。 「どうぞ」 中から聞きなれた声が返ってきた。 「失礼します」 晋太郎は所長室の中へとは言っていった。 「まぁ、そんなにかしこまるな、晋太郎。今は誰も入ってこな いから」 所長はそう言った。晋太郎と所長は親子なのである。 「そうだけどな、親父。これも一応形式だろ。守らないでいい のかよ」 「形式か。昔はそんな堅苦しいもの、あまりなかったからな」 「で、話の内容は」 「おまえはこの事件の担当だろ、ちょっと現地に行って、捜査 をしてきてくれないか」 所長の手塚孝太郎が、タバコをふかしながら言った。 「いいけど、また何で急に・・・」 「それは、”あいつ”があそこに行っているんだよ。今日から」 晋太郎は今まで引っかかっていたものが取れた。そういえば、 確かに”あいつ”が言っていた。頭は良いくせにこういうときに 限って何回も念を押すように言うのだ。 「今すぐ行けって言うだろ?」 「我が息子、わかっているなぁ」 「親父が言うことくらいはな。それで、捜査報告は、どうすれ ばいいんだ」 「そうだな、実家に電話でかけてこい。それと、あっちで”あ いつ”に会ったら、やたらに声をかけるなよ。事件にかかわって でも見ろ、余計大変になるからな」 「わかってる。そんなのは」 晋太郎ずく警視庁を出て、車で山梨を目指した。 晋太郎が山梨県についたのは、夜中の4時だった。「月光山」 まではまだ少し距離があるようである。 「向こうで、あいつに会わなければいいんだが・・・」 晋太郎はそう思いながらハンドルを握っていた。”あいつ” がいるとややこしくなる。でも、”あいつ”のずば抜けた能力は、 晋太郎も認めていた。 東京を出てから何時間経ったかわからなかったが、ようやく目 的地の「赤月光」が見えてきた。まだ、建物の姿ではなく、建物 の照明だけだった。 「赤月光」の玄関先に着いたのは6時だった。晋太郎は腕時計 を見てから車を降りた。 「いらっしゃいませ」 奥から女中が声をかけてきた。まだ朝早いというのに、せっせ と働いていた。刑事が忙しい忙しいと言っていても、ここの女中 を見ると何も言えなくなるなと、晋太郎は思えた。 晋太郎は今日からここに泊まるための手続きをして、女中の後 について歩いていった。 はっきりと言って、山荘と言うよりもホテルに近かい造りだっ た。 「あのー、一つ聞きたいことがあるのですが・・・」 女中の後ろから晋太郎が言った。 「何ですか?」 晋太郎は胸ポケットから1枚の写真を取り出した。 「この女性なのですが、ここに来ていませんか?」 女中はその写真をじっくりと見て言った。 「ええ、この人なら今ここに泊まっていますよ。だけど、昨日 から返ってこないんですよ。 いつもなら、どこに行くからって言うのに、今回は何も言わな かったんですよ。おかしくありません?」 「そうですか・・・。それと、月光山ってどこの辺りにあるの ですか?」 「月光山なら、ここから10分もしませんよ。あそこは秋にな ると、いつもより景色が綺麗になるんですよ。」 「そうですか」 晋太郎がそう話しているといつの間にか部屋の前に来ていた。 「ここです。結構な眺めですよ、この部屋」 女中はそういって部屋のドアを開けた。女中と晋太郎はそこで、
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