長編 #3373の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
画面が明るくなった。少年が目を見開いていた。 少女の持つ銃は、壁を向いていた。 『何故』 少年の問いに、少女は口づけで応えた。 『私達が最後の人類にはならない。旅に意味を持たせるためにも、新しい地球 を見付けなきゃいけない。それに……どうしても、あなたが好きなのよ!』 二人は結ばれた。初めて結ばれた。 希望の光が見えた……かと思えた。 少女が目を覚ますと、少年は冷たくなっていた。傷口から病原菌に侵され、 亡くなってしまった。 最後に人間になってしまった少女は、それでも旅を続けた。 時間の間隔は失われていた。が、あるとき、少女は身体に異変を感じた。吐 き気がこみ上げてくる。 『つわり……?』 運命が仕掛けた最後のいたずら。たった一度で、少女は彼との間に新たな命 を宿していた。 男が生まれたら、人類にはまだ可能性が残されたことになる。 女しか生まれなければ……。 「どうだった?」 綾辻さんが機械を止めながら言った。 僕は床に腰を下ろしたまま、時計を探した。二時間とちょっと、経っていた。 「きれいだったでしょ」 重ねて聞いてくる。 「う、うん、まあね。面白かった」 僕は顔を赤らめていたと思う。映画の中で、少年と少女が結ばれる場面を思 い起こしていたのだ。 見れば、綾辻さんは上っ張りを脱いで薄着になっていた。確かに、暖房が強 いかもしれない。 「共感できた?」 「共感……。うん、そりゃあ」 すると、綾辻さんは、僕の正面に両膝をつき、すっと身体を近づけてきた。 僕の目の高さに、彼女の胸が来る。襟元から、胸の膨らみが少しだけ覗けた。 「……私の身体に……興味ない?」 「な……」 とっくにおかしな気分になっているところへ、彼女の囁きは拍車をかける。 「私は……いつでもいい。ううん」 綾辻さんは強く頭を振った。 「今じゃないと嫌」 「……小学生だよ、僕ら」 自分の声は震えていた。正直な気持ち、綾辻さんの裸を見てみたい。 「こういうことって」 「もう卒業しちゃうわ」 「中学だって」 「年齢、関係ないっ。さっきの映画、思い出して。もしもあの二人が私達と同 じ十二歳だったとしても、同じ選択をしなくちゃいけない。そうよね?」 僕はぐるぐる空回りしてる頭で、答を探した。 やっと、ましなのが見つかる。 「じょ、状況が全然違うじゃないか」 「変わらないわ」 断言した彼女。 どこが変わらないんだと聞き返そうとしたとき、彼女が身体を寄せてきた。 びくりとして、後ずさる。 が、結果は前の口づけのときと同じだった。 「う」 情けない声が、僕の口から勝手にこぼれる。口の中に何かが−−彼女の舌だ。 思わず、突き飛ばす。 確かに、彼女との間に距離を保つことはできた。だけど、僕の両手は彼女の 胸に触れていた。 はっとして、綾辻さんの顔を覗き込む。 彼女も、一瞬、戸惑った様子を垣間見せていた。驚いた表情から恥ずかしげ な赤みを帯び、唇を噛みしめている。それから両手で胸を覆うような仕種を見 せた。 その仕種は途中で解かれ、行き場をなくした両腕は、僕に抱きついてきた。 「女の子の胸、初めてでしょう。どんな感じ?」 彼女の囁きが呪文に聞こえる。 「どんなって……」 「ちゃんと触ってみないと分からないわ、きっと」 強引な理由付け。 彼女は僕の手を取ると、上着の裾を握らせてきた。 「脱がせて」 「や、やめよう。やめよう」 僕は手を引っ込めようとした。でも、力が入らない。女の子に掴まれて、振 り払えないなんて。 「上に引っ張るだけ。簡単」 「−−」 聞こえる荒い息づかい。自分の鼻息だった。興奮を嫌でも自覚する。 自覚したが故に、冷静に立ち戻れた。ようやく腕に力が入って、僕は彼女を 押した。 「きゃ」 半身の姿勢だった綾辻さんは、ふらついてしりもちをつく。 −−ああ。どこまでも誘惑して来るんだろう、偶然は。 そのままの姿勢でいる彼女に、僕はつい、言った。 「は、早く起きろ。ス、スカート、めくれてる」 「……見ていたいんじゃない?」 彼女は、また少し恥ずかしそうにしているにも関わらず、強がるように言っ た。それでも恥ずかしさが勝ったらしくて、彼女は足を閉じるとさっと立ち上 がった。 僕はほっとした。これで終わると思ったから。ちょっぴり、もったいないか なと思う気持ちもあったけど、今のこれってやっぱり普通じゃない。危なすぎ る気がしていたのだ。 ところが……終わらなかった。 「見ていて」 静かに言うと、綾辻さんは腕を交差させ、服の裾を掴んだ。 あ、と思う間もなしに、彼女は上着を脱ぎ去っていた。引っかかった髪が、 ふわっと下りてくる。 「あ、綾辻さん」 「誰も見てないわ。だから平気」 露になる大きな胸。口では否定しながら、僕の目線は吸い寄せられる。 胸を右手で押さえて立ったまま、彼女は次に下を脱ぎ始めた。 下着一枚と靴下だけになる。どちらも白色なのが、何故かしら印象強い。 「だ、だ、だめだよ」 僕は背中を向けた。こうでもしないと、我慢できそうにない。いや、こうし たって、もはや我慢し通せるかどうか……。 「こっちを見て」 彼女が言ったが、僕は無視した。 すると今度は、彼女の方から僕の前に回り込んだ。すでに裸足になっている。 色白の肌に、目も気持ちも奪われる。 頭の中がくらくらする。 下着一枚の彼女は、胸を隠していた手を、思い切ったように下ろした。よく 見たら、彼女、目を閉じていた……。分からない。 「見て」 彼女の声はしっかりしている。からかう調子もなく、恥ずかしささえないよ うなのだ。矛盾している。 「きれいじゃないかしら……」 「そ、そんな。そんなことない」 きれいな身体をしていた。特に肌が。作り物の人形のように、すべすべして いるのが見ているだけで分かる。 「私のこと、嫌いになった?」 「そんなことない」 「好きでいてくれてる?」 「もちろん」 いつの間にか普通に受け答えしている自分を見付け、僕は少しどきりとする。 仲のいい女の子の裸を前にして、段々と落ち着いていく僕がいる。 「私を……愛してくれる?」 「……うん」 その答を待っていたかのように、彼女は目を開いた。 そして跪くと、僕の右手を両手で包むようにして取り、彼女自身の左の胸に 持って行く。 「あ」 「もっと力を入れてみて」 「い、いいの?」 またためらいが出て来た。僕は彼女の顔を見上げた。 「かまわない」 答える綾辻さんの表情は、授業中のように真剣だった。もしかすると、それ 以上に真剣なのかもしれない。 僕はじわっと右手に力を入れていった。 女の子の胸の感触が指先から伝わってくる。 「もうだめよ。痛いわ」 言われて、手を引っ込める。力が入りすぎた。 「ご、ごめん」 「謝らないで。さ、続けて」 彼女は僕の左手も取ると、右胸にあてがわせた。 そこから先はよく覚えていない。ほとんど、彼女の言われるままにしていた。 断片的に覚えているのは……彼女の左の乳首に口を当てたこと、彼女の最後 の下着を脱がせたこと、そして仰向けの彼女の足を開け、僕は−−。 もう一つ。 彼女は僕に色々と教えてくれる以外には、一声も発しなかった。 三月一日以降も、僕と綾辻さんは二人きりで何度か会った。場所は常に彼女 の家。ほとんどの場合、彼女の両親がいないときだった。 一度だけ、彼女のお父さんと顔を合わせたことがある。長髪で顎髭を蓄え、 腕はたくましい。おおよそ、お医者さんの雰囲気はなかった。言葉も二言三言、 挨拶を交わしただけに終わってる。 それはどうでもいい。 三月一日みたいなことになったのは、ちょうどひと月あとだった。そう、僕 らが中学生になった、四月一日。このときは、避妊具を着けさせられた。よく 分からないまま。 が、それっきりだった。 中学に入って六日、四月十四日。彼女は学校に来なくなった。 一日目はさほど心配した訳でもなく、放っておいた。 けれど、続けて休まれると、気になってくる。しかも、何故か、先生から何 の説明もなかったからなおさらだ。 電話してみたが、「おかけになった番号は、現在使われておりません」とい う女性の声が流れてきただけ。予想外だった。小学生のとき教えてもらった電 話番号だ。何度もかけて、つながっている。 焦った。すぐさま、綾辻さんの家に走った。呆気に取られた。 彼女はいなかった。 表札もなくなっている。 「引っ越した……のか?」 勝手に言葉が出ていた。 僕は−−ただ立ち尽くしていた。 −−未了
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