長編 #3282の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
ここはどこだろう・・・。 花の咲いた野原の向こうに、一つ、小屋が顔を覗かせている。どこから ともなく聞こえてくるせせらぎ、なんだか懐かしい。盆地のような感じ で、回りは全て山に囲まれている。 小鳥のさづりの中、吸い込まれるように小屋に足を踏み入れた。 辺り一面は一瞬で工事現場の風景に変わる。花は根こそぎ抜き取られ、 川には汚泥が流れ込み、その近くには悪臭を香らせるゴミが敷き詰めら れていた。 「・・・・ミリー・・・」 「・・・ミリアム・・・」 誰かが自分を呼ぶ声、頻りに何かを伝えようとしていたと気づいた時、 その声も消えていった。目の前にはブルドーザによって削られ、斜面の 地盤が緩んだ所があった。ふと、地響きが始まった。山崩れは、その勢 いからその場の全てを埋め尽くした。もちろん、小屋も、作業者も、そ して自分さえも・・・ 「うわああああああ!」 ミリアムはベッドから転げ落ちた。そこには、土砂ではなく自分の部屋 が広がっていた。 「ゆ、夢・・・か・・・・」 汗が首筋を流れるのをぬぐううと、汗で濡れた服を着替えた。ミリアム は、とりあえず夢であることを確認したかったが、こんな事を確認する 事はできないな、と一人笑っていた。 ふと、TVモニターに映像が流れているのに気づいた。そこには、コ ンラッドが一人野原に立ち竦んでいる状況に見える。なんだか見覚えの ある風景。音量がゼロになっているのに気づいたミリアムは、急いで最 大まで上げた。 「・・ム様、ミリアム様!聞こえないんですか?!」 TVのニュースではなく、直接デリンガー家の通信網を使っていようだ。 「ああ、聞こえている。どうした、何かあったのか?」 「お父上様が現場視察の際、山崩れに巻き込まれて・・・」 @@@ コンラッドの言うことによれば、ベルは作業中の数人が被害に遭う瞬 間、素早く先導したが、数メートルの差で自分がその対象となってしまっ たらしい。レスキューはすでに現場へと向かっているはずなのだが、ど うも時間がかかっているらしく、まだ到着に至っていない様子。 「急いでくれ!まだ浮上できないのか?!」 屋上のヘリポートで燃料を注入している技師に叫んだ。死んでしまって は困る、今はうるさい存在であっても、父親としてのベルはかけがえの ないものなのだから。 「終わりました、急いでお乗りください!」 さっそうと乗り込んだミリアムは、すぐに離陸するように命じた。中型 のヘリだが、中は広い。きっと怪我人を乗り込ませるだけの余裕はある だろう。ふと、後ろを覗いたミリアムは、その奥にシーナが乗り込んで いたのに気づいた。 「何かあったのですか?楽しい事を一人じめにするなんて」 「ば、ばかやろ・・親父が−」 「お父様がどうかしたのですか?」 「あ、いや、待ちくたびれているだろうなって・・・」 真実はまだ教えられない。本当ならば、家に置いていきたかったが、 すでに飛び発ってしまってからの事、今更戻るには時間が無い。しかた なく同行させた。ヘリは、晴れ渡った大空を、例の山に向かって飛んで いった。 @@@ 「ミリアム様!ここでございます!」 ヘリの音に混じって、コンラッドの声が耳をついた。ミリアムは地上 を眺めた。確かに下は大変な事になっている。山の半分は抉るように崩 れ、建設機器は脆くも土砂から顔を覗かせていた。 ヘリはホバリングをしながら待空、手袋を握りしめながら座席から立 ち上がりったミリアムは、シーナに遠くで待つよう命じるとロープを垂 らすと下へ降りた。ヘリはそのまま着陸できる場所まで降りていった。 「おい!親父はどこだ?!」 ミリアムは回りを見渡すと、コンラッドを睨みつけた。 「しかし、危険極まり無い場所にて・・・レスキューをお待ちになられ たほうが・・・」 「うるさい!つれてゆけ、さあ!!」 しかし、コンラッドは頭を横に振るばかり。根気に負けたミリアムが我 に返ったのは、それからすぐの事だった。現場は瓦礫、自然は無残にも 刈られたあと・・・ 「お・・・親父・・・」 絶望の縁に立っていたミリアムは、その場からぴくりとも動こうとはし なかった。記憶には記されていないものの、潜在的な意識には、空しさ が込み上げていたのだろう。夢で見た風景がもう一度見てみたい、そう 考えていた。 ふと、誰かがミリアムの肩を叩いた。 「ミリー・・・元気だして。まだ死んだわけではないのですし・・・」 「そうだ、君は決して遅かったわけではない。レスューが来て、真実 を知る権利もある。見守る事も一つの真実だ」 ホフマンとクリスであったが、無論、記憶に残っているわけでもなく、 また誰が久しぶりで懐かしくても、今はそんな状況ではなかった。 「誰だ、あんたら・・・」 考えもしていなかった答えに、ホフマンとクリスは唖然としていた。
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