長編 #3281の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
ミリアムは白い部屋にいた。目が覚めると、広く、白い天井が広がっ ている。 「おお、ミリアム様・・・おわかりでしょうか、コンラッドでございま す」 ベッドから起きあがろうと試みたミリアムだが、後頭部に激痛が走り、 やむなく元の位置に徹した。 「いっ・・・つつつぅ」 幸いにも視界にコンラッドが見えたことにほっとした。ミリアムは辺り を見回した。 「ここはどこだ?」 「デリンガー総合病院でございます」 微かな薬の匂い、殺風景な部屋の壁、窓には白いカーテン・・・。個 室の部屋の中心に位置するベッド、せめて花の一輪でも飾ってあればま だわかるが、何一つないのでは少々息の詰まる部屋である。病院とはこ れほどまでに窮屈な場所だったとは知る由もない。ミリアムに取って、 これが初めての入院となるのだから。 ミリアムは、耳に聞き取れる程度の小さな音を感じた。音楽のようだ。 「なんだ、この音は」 「はい、イタリアの狂想曲で、カプリチオでございます。きっと何処か、 他の個室で聞いている人がいるのでございましょう。ちなみにカプリ チオとは・・・」 「あー、ここでは気が落ち着かない。家に帰りたい、どうにかならない のか?」 コンラッドは、何か違う事に気づいた・・・。とりあえず、動かないと いう制限付きで仮退院できたミリアムは、ヘリを用意するようにコンラッ ドに命令した。 エレベーターは上に昇っていた。最上階、対応が早かったらしく、屋 上にはヘリが待機していた。ミリアムの背後には、一様の警備員がいる。 コンラッドは、車椅子に乗っているミリアムを注意深見つめていた。さっ きとは何か違うような・・・ 「早くしろ!何をのろのろやってるんだ!」 コンラッドは確信した。ミリアムの行動、言葉、明らかに朝とは違うの である。それは、デリンガー家の長男ミリアムの風格である事が。 ヘリで1時間、そのくらいで屋敷につくようである。風が強いのか、 ヘリはとにかく揺れていた。 「いてて・・・、もう少し揺れないように工夫できないのか?!」 「くそ、いてっ、一体誰が・・・」 ミリアムは、記憶にない事に気づき、そのまま黙り込んでしまった。 @@@ ヘリは上空から家の門を通過すると、ゆっくりと屋敷の屋上にあるヘ リポートに降りた。着陸したと同時にミリアムは急ぐように命じ、車椅 子のロックを外した。 「じい、おれの部屋に運んでくれ」 「あの、ミリアム様。精密検査はまったく済んでおりませぬが・・・」 ミリアムはコンラッドを睨みつけた。 「後々、家に医者を呼べばいい」 コンラッドは頷くと、近くに待機している男2人を呼び、ミリアムを部 屋まで運ぶ様命じた。 「じいもついてこい」 車椅子で運ばれ様に言った。 部屋までの道乗りは中々快適だった。屋上からエレベータで部屋の階 まで10秒、そこから自動エスカレータが2分程。ボタン一つで何かと 設が整うのも、デリンガー家の特徴だった。 ミリアムは、部屋に入ると、コンラッドを残してドアをロックした。 ゆっくりと起きあがり、近くの椅子に腰を掛けた。 「なあ、じい・・・。おれは一体誰に頭を殴られたんだ?」 そして、近くにあるコンピュータの電源を入れた。 コンラッドは必死に考えた。もしもここでお父上様だと答えてしまえば、 きっと家族の関係は崩れてしまうかもしれない。隠し通す事ができなく とも、今は言うべきではないと、コンラッドは確信した。 「それは・・・、隣にあります貸しグラウンドにて左中間に反れました 野球のボールが、約3582568440分の1以下の確率で・・・・」 「わかった、もういい」 コンラッドは、再度記憶が戻った事を再度確確認した。ドアを閉め際、 冷や汗だったのだろうか、一雫何かが床に滴った。 @@@ ある日、速報が届いた。 「おい、ミリアム!」 ベルは、駆け足で2階に上がり、ミリアムの部屋の扉を勢いよく開いた。 「わあああああ?!な、なんだ、親父か」 着替えている途中のミリアムは急いでズボンを履いた。今更という事な のか、ベルは平然と笑みを浮かべていた。ミリアムが着替え終わるのを 確認したベルは、背広の内ポケットから取り出した紙を広げて言った。 「何だ、着替えていなかったのが悪いんだぞ。まあいい、これを見て驚 くな!」 それは、土地買収とその後の計画をまとめた企画書のようである。しか し、どういうことだろうか、ミリアムが望んでいたものとは違うに等し かった。 「親父!これじゃぁおれが言ったレジャー私設とぜんぜん違うじゃねー か!どこにおれが言ったやつ、あるんだよ!」 「はっはっは、まあ、ここを見てみろ」 ベルは、指を計画書の一部分に差した。計画書の方に、一部分だけ小さ く遊び場のようなものがある。しかし、せいぜいテニスがいいとこで、 間違えてもジェットコースターや、公園のような気晴らしできる施設は 無かった。また、他の場所には学業勤勉私設と書かれているようで、ミ リアムにとっての希望はまったく却下された形となっていた。しかし、 そんな事をするのは、言うまでもなくミリアムに父親の事業の跡を継い でもらいたいが為の策でもあったのである。少なくとも、ミリアムには その気持ちは届かなかったのは確かだった。 「このくそ親父!もう・・・出ていけ!!!」 ミリアムはベルを部屋から出すと、勢いよくドアを閉め、鍵を掛けた。 ふと、足元に刺繍の施された手袋があるのに気づいた。 「ちぇっ・・・」 ミリアムはベッドに寝転んだ。
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